なぜ今回の震災は復興が遅れているのか?~被災地レポート

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地震被害ではなく、津波被害であり、原発被害のために、
「壊れたところを元に戻せばいい」では済まされないから。

この当たり前の大原則をしっかり理解しないと、
今回の大震災の被災地の状況把握はまったくできない。

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阪神大震災の死因の8割は建物倒壊。
東日本大震災の死因の9割は津波。

この違いを見れば一目瞭然だが、
地震で壊れたから耐震強化をして、
元の同じ場所に建て替えして、
復興しましょうとはいかないのだ。

だから今回、なかなか復興が進まない。
町が壊滅するほどの津波被害があった場所を、
復興すべきなのか、それとも高台移転すべきなのか。
どちらもメリット、デメリットあるため、
復興計画がはっきりせず、
被災者の方が先が見えない不安を感じている。

私個人の意見だが、あの惨状を現地で見れば、
もはや津波被害のあったエリアに、
元のように住まいを建てるのは自殺行為だと思う。

言っておくが大津波は想定外なんかではない。
福島に津波は少なかったらしいが、
宮城、岩手は大津波は多く、
そのために莫大な税金をかけて、
大堤防を建てたりしていたわけだ。
それが通用しなかった。
(なかにはそのおかげで平気だった場所もあったが)
さらに地盤沈下もしている。
また津波が起きればやられることは間違いない。

だから過去の大津波に学んだ町や村は、
昔からの言い伝えで決して海のそばには家を建てない。

でも高台移転するにはお金もかかるし、
そもそも移転する土地を探さなければならない。
また海沿いだからこそ仕事が成り立っていた、
ビーチ観光客目当ての民宿や食堂などは、
高台移転したら仕事にならないだろう。

だから復興が遅れる。
8月6日に取材した、津波被害で家が全部流された被災者の方は、
「今まで自分が住んでいる地区がどうなるのか、未だに何も決まっていない。
今の住まいは仮。
2年で出ていかなければならないのに、
その後、自分が住んでいた地区がどうなるのかわからないのでは、
生活設計のしようがない・・・」と苦しさをにじませていた。

さらに福島は原発の問題もある。
仮に津波被害エリアに堤防造れば絶対に安全だとわかったとしても、
原発に近いことから放射能汚染がどうなるかわからない。
しかも津波被害エリアの人たちの多くは漁業関係の仕事だが、
海が放射能汚染されている可能性は高く、
仮にそうでなくても、このような事態に、
福島県産の魚を食べる人は少なく、
水揚げしても暴落し、商売として成り立たないことから、
津波被害エリアを復旧しても仕事ができない可能性が高い。

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だから私は被災地取材で、
毎回、津波被害エリアを見る度に思うのだ。
「この場所をきれいにしてどうするんだろうか?
また地震が来て津波が来たらまた元に戻るだけじゃないか」と。
そして福島の場合はもう1つ。
「風向きが変わったらここは放射能で住めなくなるのでは?」と。

今回の大震災は、初期の段階ならともかく、
今の段階で、まだ目の前にガレキやヘドロがあるから、
それを処理すればいいという単純な問題ではなくなっている。
それは地震倒壊ではなく津波被害であり原発被害だから。

住民も津波や放射能が恐いから、
移住してしまった人も多いなか、
被害が再発する恐れがあるところを、
元に戻してどうするのだろう?と。

これだけの大災害が起こった今、大事なことは、
目の前に見える問題をただ解決すればいいということではなく、
復興プランをいち早く立てた上で、
それを実現するために役に立つことをすることだと思う。
ところがそのプランがない。
だから復興が進まない。

大局を見ないで目の前の課題にばかり専念するから、
がんばったのに報われないことになる。

東日本大震災は阪神大震災とは違う。
被害の性質を考えた上で、
被災地をどう支援するか考えなくてはいけないのだと、
8月に再取材をしてあらためて思った。

・想定「内」の大津波
http://kasakoblog.exblog.jp/14767413/

・被災地レポ&写真
http://www.kasako.com/110311top.html

by kasakoblog | 2011-08-12 00:22 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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