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政治家も国民もカンフル剤がお好き~問題先送りにしてお祭り騒ぎでやり過ごす~

「また首相が変わるのか」と思っている人も多いだろうが、
思えば国民自体が目先を変えれば何かが変わると思っている、
「カンフル剤」がお好きなんだろう。

パフォーマンス、イベント、お祭り騒ぎ、顔のすげかえ、景気対策。
これで改革した気になる。
これで社会がよくなった気になる。
どれも一発打ち上げ花火に過ぎない。

政治家がパフォーマンスや大イベントや、
大風呂敷の景気対策が好きなのは、
1:やったことが国民にわかりやすい
2:自分がこれだけのことをしたとPRしやすい
の2点からだろう。

そして国民もそれをどこかで望んでいる。
そして国民一人一人も地道な努力なんかより、
一発打ち上げ花火を上げて、どうだすごいだろう!
と言いたい。

だから1年もしないうちに首相をおろせとたきつけ、
次は誰になるのかなんて予想しながら、
首相変わりのお祭りイベント騒ぎを楽しみ、
顔がすげかわった2~3ヵ月ぐらいは、
前よりよくなったような気がする。

しかしそんなイベント騒ぎをやったって、
別に何の問題も解決していないわけだ。
それに気づいて、また時の首相を批判し、
新しく顔をすげかえれば一時しのぎでよくなると勘違いする。
国民がそういう姿勢だから、
自民党も民主党も政権に居座るには、
首相の顔を1年に1回ぐらい変えればいいんでしょ?!ってなもんで、
最近では随分慣れてきた感じがある。

金融危機が起きた。
震災危機が起きた。
その際には、とにかく早期に、
危機回復を行うためのカンフル剤が必要だろう。
お金がどうのとか長期的視野がどうのとか、
言っている暇はない。
目の前で溺れている人を全力で助けること。
これが危機直後に必要なカンフル剤=超短期的政策だ。

これは国民受けしやすい。
エコポイントみたいにいくら還元になるとか、
定額給付金で2万円もらっただとか、
義援金で数十万円もらったとか、
人命救助で何人助けられたとか。
成果が見えやすく、評価が得やすい。

しかし危機直後の時期が終り、
状況が落ち着いてきたら、緊急救助的措置ではなく、
根本的に病状を治すための長期的なプログラムが必要だ。

景気対策と称して金をばらなくことじゃなく、
ボランティアと称して、
自分たちが楽しむイベントを企画することじゃなく
病状の根源にメスを入れ、そこを治し、
病人が自立して生きていけるように、
長期的な側面支援を行い、病原の根本を正す。

これには時間がかかる。
方法も代表選だのオリンピック誘致だのエコポイントだの、
わかりやすいものではなく、
体質改善を行っていくための非常に地味で地道な作業だ。

だから国民=患者から見ると評価されない。
何やってんだ。ぜんぜん治らないじゃないか?
おまえはやぶ医者なのかと。
ならば医者を変えるまで。
そういって首相をコロコロ変えてきて、
国民受けするイベントをぶち上げるような、
そういう政策ばかりを支持するようになり、
政治家もそれを知って、地道な体質改善治療より、
すぐに効果がわかるようなカンフル剤を使いたがるわけだ。

しかし何度も何度もカンフル剤を打っても、
問題の根幹は何も解決されない。
それどころかカンフル剤頼みの体質になり、
すぐ体が弱くなると次のカンフル剤を要求するようになる。

こうしてまた新たな強力なカンフル剤を注入するため、
借金して高い金払ってカンフル剤を打ち続け、
日本という社会が弱り続け、
震災被害の被災地がいつまでたっても立ち直れないという状況が続いている。

もうカンフル剤はやめないか。
もう一発打ち上げ花火は終わりにしないか。
一時的な景気対策なんてやめないか。

カンフル剤を打てば一瞬だけ体はよくなるかもしれない。
景気対策をすれば一瞬だけ経済はよくなるかもしれない。
大がかりなイベントをすれば楽しいかもしれない。

しかしそれがその場限りのもので終わってしまい、
今後の生きる糧とならないのなら、
どんなに華々しい政策やイベントを行っても大失敗ではないか。

なぜなら、イベントをしたのに、
今後の社会構造に何大きな変化がなければ、
またイベントをやり続けるしかない。
やがて自己破産で破滅する。

例えば年金制度なんかがいい例だ。
年金制度は若い世代が高齢世代を負担する、
世代ピラミッド負担なわけだから、
いくら目先の給付額を減らして負担額を増やそうが、
人口ピラミッドがひっくり返っている限り、
絶対に破綻するしかない。
ところがその問題の根幹から目をそらすから、
いつまでたっても問題が解決しない。
そうやって根本の問題に目を向けず、
小手先だけの改革に労力とコストを使っても、
それはすべて無駄になる。

年金制度を例にしたが、
今、日本の社会に横たわる問題はみな同じ。
政治家も国民も問題の根幹を見ようとしない。
なぜならそこを見たら問題解決するには時間がかかってしまうから。
時間がかかることより目の前で花火でも上げて、
ほら、オレはすごいだろう、
こんなきれいな花火を何発も上げたんだぜ、
といえば自分の成果がわかりやすいからだ。

今回の震災復興でいえば、
阪神大震災とは決定的に違う点が2つある。
津波被害と放射能だ。
倒れた建物を耐震補強して、
元あった場所に立て直せばはいそれで終わりではない。

また津波が来るかもしれないし、
原発から近いエリアはたとえ今、放射線量が低くても、
風向きが変われば再び死の土地と化す可能性がある。
そんな場所に再び復旧・復興してどうするのか?

それは首相をすげかえれば、
政治がよくなると思っている発想と同じ。
問題の根本に何も触れていない。

人は危機が起きると無意識にネガティブ情報を避けようし、
センチメンタルな感情に流されやすくなる。
ネガティブな情報を見ないようにするというのは、
放射能や地震や津波といった人智を超えた問題に、
まともに向かい合っていたら生きてはいけないから、
その問題を考えないようにして復興ごっこ・政治ごっこをする。

米国債が紙くずになり資本主義経済が崩壊しようとしている最中、
国民の一部の声に押されて、
為替介入して紙くずの米ドルを買い込んでしまう。
それは米国債デフォルトというネガティブ情報を考えないようにしているから、
根本的な治療策ではなく、
目先の景気対策や円高対策をして満足してしまう。

こうした短期的に有効でも長期的に有害な政策が、
行われてしまうのは、
一部の国民がセンチメンタルな感情に流され、同情するからだ。
「かわいそう」「助けなきゃ」
それはそれで素晴らしいけど、
それで本当に助けているのかはわからない。
ただ感情で動く。

人間は感情の生き物だから、
すべてを数値で割り切ったように、
合理的・効率的な判断などできないし、
感情に配慮することも重要だろう。

しかし感情に流され続けて、
かわいそう→助けるということばかりしていると、
かわいそうな人はあなたに寄生・依存し、
自分では生きられなくなり、
寄生されたあなたも負担に耐え切れず、共倒れになるだけだ。

目先の感情に流されるな。
短期的な成果ばかり追い求めるな。
一発打ち上げ花火に誤魔化されるな。
顔のすげかえで満足するな。

すぐに成果は出ないかもしれない。
華々しいイベントはないかもしれない。
でも地道に1つ1つ、問題の根幹に向き合い、
時には非情とも思える決断もし、
みんなが感傷に浸って共倒れになることを防ぎ、
1人でも多くの人が助かる方法を考えるべきだ。
それがこれから100年に1度の本当の経済危機と、
もう何回か起こる大地震危機を乗り越える、
唯一の生き延びる方法ではないか。

過度な感傷や過度な同情はいらない。
華々しいイベントも国民受けする政策もいらない。
名より実を取る。
そういう意識に国民がならない限り、
政治はいつまでたってもよくならないだろう。
政治家は所詮、国民レベルを超えられない。

さて次の首相は何をしたいのか。
いつまで持つのか。
いつになったらメディアや国民はバッシングをし、
首相を変えろと言い出すか。

問題の根幹に目を向けないと重病患者は治らない。

※無事に日本帰国しました。

by kasakoblog | 2011-08-29 21:52 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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