今できる被災地支援~リハビリ職のボランティア団体報告会レポート
2011年 10月 02日
避難所も閉鎖されたところが多く、
一般ボランティアの数が激減している中、
今だからこそできる支援を続けている団体が、
リハビリ職の有志が集った、
個人ネットワーク団体「face to face(FTF)」だ。
10/8~10/10まで現地同行取材を行う予定だが、
10/1に活動報告会があったので出席した。
そこで今の被災地支援を考える上で、
非常に興味深かったことがあったので紹介したい。
報告があったのは下記の4人。
1:台風12号豪雨災害による紀伊半島緊急支援活動 森本直(理学療法士)
2:陸前高田市における介護保険事業スタート報告 木村佳晶(理学療法士)
3:作業療法士にできる被災地支援について 大下琢也(作業療法士)
4:宮城県雄勝町・旭町におけるモバイルデイケア 山本尚司(理学療法士)
・東日本大震災だけに限定しない
まず一人目の支援活動報告が、
東日本大震災の被災地ではなく、
紀伊半島を襲った台風被災地というのが興味深い。
ボランティアとか被災地支援という意味では、
何も東日本大震災に限った話である必要はない。
いろんなところで自然災害が起き、
そこで被災している人がいるわけだから、
何も東日本大震災に限らず、
ひどい被害があった地域にはボランティアとして行く。
今回の地震を契機にボランティア経験をした人は多くいると思う。
そのノウハウを東北だけでなく、
他の被災地にも応用するという発想が、
もっとあってもいいのではないか。
特に台風被害報道は初期の頃だけで、
今はほとんどないが、東北の被災地なみにひどい状況らしい。
こうしたエリアにも目を向けるという発想が必要だと思った。
報告した森本氏が最後にこんなアドバイスをしたのが、
とても印象的だった。
「情報を広めてくれるだけでも十分支援になる」
・現地雇用を生むための事業スタート
2人目の木村氏は、壊滅的な打撃を受けた陸前高田市で、
ボランティアではなく介護保険事業をスタートさせようとしている。
狙いは2つ。
1:現地でヘルパーを養成し、職がなくなった被災地で雇用を創出する
2:高齢化率の高いこの地区で永続的な介護支援を行うためにも、
ボランティアではなく事業であることが必要
実に興味深い取り組みだ。
震災からすでに半年以上が過ぎ、
切実な問題は雇用と自立支援。
ボランティア頼みから地元が地元を支えられるよう、
そうした足がかりとなる介護保険事業というのは、
うまく機能すれば復興の大きな力となる。
こちらについては来月に現地取材をしたい。
・手芸教室が喜ばれる
避難所から仮設住宅などに移った高齢の被災者にとって、
今、大きな問題は「やることがない」ということだ。
コミュニティが分断され、孤立しやすい高齢被災者に、
今後の自立のきっかけを与える手段として、
大下氏が被災地で手芸教室をやったところ大盛況だった。
手芸という趣味1つあるだけでも、
被災者の心境は大きく変わるし、
同じ趣味を持つ被災者同士が連携をとることにもつながる。
私が取材しているいわき市の避難所に、
高齢の女性単身で原発エリアから避難してきた方がいて、
すでに借上住宅に移ったのだが、
その方は手芸が趣味で、
先日の避難所同窓会でも「編み物していれば楽しいし1日あっという間!」
なんてにこやかに話してくれた。
また避難所では編み物がきっかけで、
他の地区の被災者と仲良くなることができた。
趣味を持たせるきっかけ作りというのも、
今後有効な支援になる可能性が高い。
そして大下氏が最後に言ったこともまた印象的だった。
「私たちが関わらなくてもよくなることが目標。
単発のイベントじゃなく自立するきっかけがあくまで活動の目的」
ここを履き違えたボランティアが多い中、
しっかり自分の立場をわきまえた、
支援活動をしているのが印象深かった。
このFTFはゆるやかな集合体で、
あくまで個人個人の集まりにしか過ぎないのに、
非常にうまく機能して支援活動を行っている。
被災地支援を目的とした、
理学療法士主体の個人ネットワーク団体だが、
「手芸教室」に見られるように、
理学療法士でなくても、
今、求められている支援ができる可能性があるため、
いろんな人材を募集しているので、
興味のある方は気軽に問い合わせするとよいと思います。
http://ftfreha.net/
http://ftfreha.net/contact/
そんなわけで私も来週は1取材者として被災地に行くだけでなく、
カメラマンとして何か生活支援活動ができないかという命題を帯びて、
彼らと同行することになっています。
FTFの活動理念について山本氏インタビュー
http://kasakoblog.exblog.jp/15444262/