仮設住宅撮影会
2011年 10月 09日
津波で家を流された人に新たな思い出を。
土曜、日曜の2日間、
宮城県石巻市中心部から車で1時間。
津波で壊滅的な打撃を受けた雄勝町の、
仮設住宅2カ所を回って、撮影会を実施しました。
「避難所閉鎖後、必要とされるボランティアとは」
というテーマで興味を持った、
リハビリ職のボランティア団体「face to face(FTF)」の活動を取材したいと考え、
FTFのメンバーと同行して、
2日間、被災地取材をしていたわけですが、
「かさこさんも取材だけじゃなく、なんかやってよ!」
というFTFの山本さんとの話から、
仮設住宅に入っている人たちに、
プロカメラマンが写真を撮影して、
プリントアウトしてプレゼントするのはどうだろうという話になり、
FTFの協力のもと、雄勝町の大須と名振という2つのエリアで、
撮影会を行いました。
「離れて暮している子供に元気でやっていると、
手紙とともに写真を送りたい」
そんな方が多く、大須で5世帯、
名振で15世帯の方々の写真を撮影しました。
「息子から支援金をもらって、
そのおかげで津波で流されたけど、
新たに車を買うことができた。
そのお礼に写真を送ってあげたい」
「娘から仮設住宅に移った際に花をプレゼントされた。
その花と一緒に撮影した写真を送ってあげたい」
「流された家の前で撮影してほしい。
子供たちが“ふるさと”を忘れないよう写真を送りたい」
正直、写真をプリントアウトするぐらいで、
どれほど喜ばれるものか疑問に思っていた部分もあった。
福島いわき市で被災地の方々の写真を送って、
喜ばれた経験はいくつかあるが、
わざわざ撮影会と名をうって撮ったわけではなく、
取材のなかでよかったらという程度のものだった。
でも案外喜ばれたみたいでよかった。
高齢化・過疎化しているこのエリアでは、
ほとんど子供たちは都会に出てしまっている。
離れ離れに暮す子供に元気な姿を見せてあげたい、
という思いは強いようだ。
かといってパソコンを持っているわけでもなし、
ケータイで写真を撮ってメールするというのも、
なかなか難しいようだった。
世代から考えるにプリントアウトした物であげるのが、
一番使い勝手がよかったみたい。
ある被災者の方は「お茶のんでいきなさい!」と、
仮設住宅の部屋に招き入れてくれて、
うれしそうに過去の写真アルバムを見せてくれた。
「津波で全部流されたんだけど、
娘が前に撮った写真を送ってきてくれてね。
避難所でそれ見た時は涙が止まらなかった」
と話をしてくれた。
人の記憶はあいまいなもの。
記録があれば思い出すきっかけにもなる。
写真は時を止めることができ、
その時を記録として残して、
鮮明に思い出すきっかけにもなる。
「仮設住宅に入っていたことも、
いい思い出になる日がくるかもしんねえから、
仮設の前で撮ってもらおうかな」
という人もいた。
津波ですべてを流されたから、
写真なんて残っていない人がほとんど。
寒い冬が始まり厳しい仮設住宅暮らしが続くなか、
新たに撮影した写真が、
離れた家族と連絡をとる1つの手段になってくれたらうれしい。
「face to face」の支援活動
http://kasakoblog.exblog.jp/15444262/
被災地取材レポ
http://www.kasako.com/110311top.html