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捨てる作業が大事

素人ほどあれもこれも入れたいっていう。
いろいろ入っていればおトク感があるように見える。
でもいっぱい入りすぎると、
一体何を伝えたいのか、何を見て欲しいのか、
これは何の意図を持って作られたのか、
焦点がぼやけて、広いけど浅いものになり、
結果、あんまり読まれずに捨てられてしまう。

カメラマン、ライター以外に編集という仕事もしている。
書籍、冊子、パンフレット、雑誌などの編集をしている。

編集というとあれもこれも材料を集める作業だと思いがち。
もちろんいろんな材料がなければ作れないわけど、
どちらかというと入れたい要素はいっぱいあるけど、
読者に読まれるために何を捨てるか、何に絞るか。
そっちの作業の方が比重が大きいと思う。

例えば中国を紹介する冊子を作るとしよう。
でも中国だけじゃなく韓国も紹介したいね、
インドも紹介したいねみたいな話になれば、
その分、中国の部分はぐっと減るわけだ。

そこで考える。
読者は何を知りたいのか。
どんな読者をターゲットにしているのか。
アジアを網羅した内容が知りたいというならそれでいいが、
中国を伝えたい冊子なのに他の国を入れたら、
何を伝えたい冊子なのかよくわからなくなってしまう。

だから捨てるわけです。
伝えたい情報のみに絞って、
それを効果的に見せる工夫をする。

ところが素人さんはいっぱい入れたがる。
「せっかくお金をかけて冊子を作るんだから、
中国だけじゃもったいない!」みたいな。

しかもさらに悪いパターンは船頭がいっぱいいること。
Aさんに聞いたら韓国を入れたい。
Bさんに聞いたらインドも入れたい。
Cさんに聞いたらベトナムも入れたい。

こうやっていろんな人に聞けば聞くほど、
いろんな意見が出て収拾がつかなくなる。

だからそれを取り仕切り、
「これは今回の趣旨とは違うからいらない」
とばっさり切れる人が必要。
それが編集の仕事でもある。

でもクライアントの言うなりばかりになっていると、
いやとはいえず、何でもかんでも入れてしまう。
結果、情報量はいっぱいあるけど、
何を伝えたいんだかわからない、
誰に読んでほしいものなのかわからない、
情報が多すぎて読むにたえない、
どうしようもないものができてしまう。
そうならないように仕切るのも編集の仕事だ。

編集の仕事に限った話ではない。
人生において、あれもこれも欲張ってつめこむより、
何かに絞る、何かを捨てるという作業もどこかで必要になる。
ただ他人に嫌われたくないからと、
みんなに受けようと、みんなにいい顔していると、
結局誰にも役立たないものができあがってしまう。

今は情報はいくらでもあふれている。
それをかき集めることは簡単だ。
問題はそれをどういう基準で絞って、
どういう基準で捨てて、
本当に自分が伝えたいこと、
読者が欲していることだけを取り出した、
小さくても強く輝く玉を作れるか。

それが今の社会において人生において必要な、
「編集」作業ではないかと思う。

なんでもかんでも入れすぎるな。
集めた材料を断腸の思いで捨てる勇気を持つこともまた、
いい仕事、いい人生を歩む秘訣だと思う。

みんなにいい顔しようなんて、子供みたいにいつまでも思っているから、
何も得られないし、何も伝わらないし、何も評価されない。
捨てる勇気、切る勇気を持つことも大事。

by kasakoblog | 2011-10-20 01:22 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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