チェーン店に負ける店たち
2008年 02月 26日
ネガティブなイメージで捉えられることが多い。
「どこもかしこもチェーン店ばかりになっちゃって」
「個性がない店ばかりになっちゃって」と。
確かにそうなんだけど、最近思うに、
そんな画一的なチェーン店に勝てない、
サービスも悪い、コストパフォーマンスも悪い、個性もない、
そんな店が多いような気がする。
先日、富士山と工場撮影に出かけた時のこと。
富士市でホテルを探していた。
じゃらんで安いホテルを探していたんだけど、
バストイレ別、ネット環境なし、駅から遠い、見るからにボロそうなど、
そうした昔ながらのビジネスホテルが多かった。
ところがなんと4980円でバストイレあり、ネット環境あり、駅から徒歩1分、
かつ朝食無料サービスで自転車まで貸してくれるホテルがあった。
スーパーホテルである。
スーパーホテルは全国各地にチェーン展開する、格安ビジネスホテル。
いらんサービスがない代わりに、
これだけはあってほしいといったサービスがついていて、
値段が安いわりにきれいな設備で、ビジネスユースには実にありがたい。
私は迷うことなくこのホテルに決めた。
観光地でもないのにこのホテル、私が泊まった前後はすべて満室だった。
その時しみじみ思った。
チェーンホテルの方が、個人経営のビジネスホテルより、
値段も同程度でこれだけすべての点でサービスを上回ってしまえば、
そりゃ、勝敗は明らかだよなと。
チェーンじゃないホテルはよほど工夫しないと、
生き残っていけないんじゃないかと思った。
私は今、神楽坂のオフィスに通っている。
神楽坂といえば度々テレビでも特集されるように、
風情ある町並みとおいしいレストランや飲み屋がある場所でもある。
ただこの場所に毎日通っている立場からすると、
値段が高くて、量が少なくて、たいしてうまくもない店が多いというのが感想だ。
気取った店が多い。
そんな店が多いせいか、数少ない、
値段が安くて、量が多くて、そこそこうまい店というのは、
閑古鳥が鳴いている店をよそめに、連日大盛況だ。
たとえば東京でチェーン展開している小諸そば。
500円程度でそば&ごはんセットが食べられるとあって、昼は大混雑だ。
長崎ちゃんぽんもしかり。
こちらも500円程度で野菜たっぷりのラーメンが食べられる。
神楽坂からやや離れてはいるが、昼はいつも満員だ。
そして松屋しかり。
330円で味噌汁つきで豚めしが食えて、
350円でカレーライスが食える。
私は神楽坂にいながら、どこにでもある、
こうした安くて腹いっぱい食える店を、
ローテーションする毎日を送っている。
まあ私がやや値段重視、量重視だから、
コストパフォーマンスに優れたチェーン店が重視される結果になるのだが、
そうならないのがラーメン屋である。
長崎ちゃんぽんと、のれん分け的チェーンの大勝軒は別にして、
私がラーメンを食べようと思ったら、
安いラーメンチェーンには行く気がまったくしない。
それだったら倍の値段を出してでも、
うまいラーメン店に行きたいと思う。
それはやっぱりチェーン店にはない個性的な味があり、
かつそれだけのコストを支払っても、
それに見合う店が多いからなんだと思う。
また神楽坂というより飯田橋駅よりだが、
私がコストを度外視してランチで950円もの大金を払っても、
何度も行きたいと思うのが「タベルナ・ラ・グロッタ」のランチ、
「牛肉の薄切りステーキとバターライスとスパゲティ添え」だ。
http://r.gnavi.co.jp/g099501/menu8.htm
松屋で350円で済む、長崎ちゃんぽんで450円で済むと思っても、
950円という値段に見合ったうまさのあるこの店のランチは、
高くても何度も行きたいと思う。
スケールメリットを生かしたコストパフォーマンスの良さと、
安定的なサービスを提供するチェーン店が多い今こそ、
チェーン店に負けない個性ある店が増えてくれればなと思う。
それは店だけでなくどんなサービス企業も同じで、
たとえばネット証券やFX業者が、
手数料の格安競争でしか差をつけられなくなってしまうように、
サービスに差がないと価格競争の体力勝負になって、
大資本が勝つという結果になる。
これは労働力でも同じで、
たいした能力に差がないとするなら、
または誰がやっても同じ単純作業なら、
頭でっかちで賃金だけ高い日本人より、
今は安い賃金で使える中国人をということに、
取って代わられてしまうんだろう。
店も企業も労働力も、
チェーンに組み込まれて、コストパフォーマンスで勝負するか、
チェーンや大資本ではできえない、個性で勝負するかの、
二極化がくっきり選別される時代になっているのかなと思う。