沖縄少女の自己責任論?~ニュースの事実関係を確認するクセ
2008年 02月 17日
「アメリカが悪い」「アメリカ出て行け」とメディアに煽られて、
事件の事実に目が行かない・・・。
私は恥ずかしいなと思った。
この事件が起きてニュースで騒がれた際、
私は一歩立ち止まって、単にアメリカが悪いではなく、
何か重要な視点が欠けているんじゃないかと思い、
性犯罪についての刑罰の甘さを指摘したけど、
今回の暴行事件はメディアで騒いでいるような、
1995年に起きた沖縄米兵少女暴行事件とは、
まったく質が違うということに気づかなかった。
先日たまたま友人が沖縄少女暴行事件の話をした。
そして彼が思わぬことをいった。
「っていうかさ、ついてちゃった女の子が悪いってことでしょ」
私にはそのような発想はまったくなかったし、
私もどこかでアメリカ=悪=加害者、日本=善=被害者と見ていただけに、
その指摘をされた時、すごく違和感を覚えた。
「それは違うんじゃない?襲われたのはまだ中学生なんだし・・・」
その後、家に帰ってから、ずっと彼の指摘が引っ掛かっていた。
ものすごく大事な本質をついていることではないかと思い、
改めて沖縄少女暴行事件のニュースを調べ直してみた。
新聞記事やネットニュースを改めて見ると、
襲われた被害者が未成年ということもあるが、
肝心の細部がなく、どこも今回の事件が起きたことに対する、
沖縄県民の反感感情記事ばかりなのである。
「ついていった女子中学生が悪いのか」を不謹慎な発言だと批判する前に、
それを判断するためには、
一体彼女は、どこで、どのような状況で、
何時頃、どのようにして連れていかれたのか、
ということを知りたいと思ったのだが、
意外とそういうことを詳しくきちんと書いている記事が少ないのだ。
そしてやっと求めているニュース記事に辿りついた。
米海兵隊ハドナット容疑者は、2/10(日)20時半ごろ、
沖縄市の繁華街(コザ・ミュージックタウン)で、
アイスクリーム店から出てきた3人連れの少女たちに声を掛け、5分ほど会話した。
うち1人の少女が自宅へ送ってもらえると思いバイクに同乗したが、
基地外の容疑者宅へ連れて行かれ、キスやわいせつな行為を迫られた。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080211STXKB003811022008.html
1995年の沖縄米兵少女暴行事件とはまったく質が違うじゃないか。
95年の事件は、買い物をしていた小学生を3名がかりで殴って、
粘着テープで顔を覆い手足を縛ったうえでレンタカーに押し込み、
それで暴行を行った。
到底懲役7年で許されるような犯罪行為ではないし、
あれだけ沖縄で騒ぎになったのは理解できる。
ところが今回は同じ暴行事件でもまったく中身は違っている。
1.女の子は3人でいて、米兵は1人だった。
2.1人の女の子だけが自ら誘いについていった。
3.声を掛けられたのは、日曜日の夜、基地近くの「繁華街」だった。
だからといって14歳の女子中学生の自己責任だというのは言いすぎだろうし、
仮にのこのこついていったからといって、
嫌がっているにもかかわらず暴行した非道な犯罪行為は変わらない。
このような悲劇が起こらないために、
米兵の綱紀粛正だというが、
実は日本の子どもに対する教育もしっかりやらなきゃダメじゃないかと。
・知らない人についていかない。
・夜遅く「繁華街」のような場所に子どもだけで出歩かない。
今回は極めて微妙である。
日曜日の20時に中学生が外の「繁華街」に出歩いていることを、
「遅い時間にとんでもない危険な場所に行って」とは言い切れないだろうし、
被害者が小学生だったら、言葉巧みに誘われてついていってしまっても、
それはやっぱり加害者が全面的に悪いんだろうけど、
14歳の中学生という年齢はそうした判断ができるか否かは微妙なところだ。
襲われた女子中学生の自己責任論なんてバカらしいとは思うけど、
そのような観点から事件を考えてみる視点も忘れちゃいけないんだな。
それによって事件の見え方も変わってくるし、
再発防止の対策も何をすべきかがうんと変わってくるだろうから。
そしてもう1点、今回、調べ直して気づいたことだが、
声をかけられた「繁華街」といわれているコザ・ミュージックタウンは、
全額税金でつくられたものだったのである。
市中心部の空洞化に頭を痛める沖縄市が、
音楽を通して活性化を図ろうと建設した施設。
ようは地方経済活性化のためのハコモノ公共事業だったのである。
すべての公共事業を悪いというつもりはないし、
すべてのハコモノ事業が悪いというつもりはないが、
公がやるこのような経済事業って、
どこか本質的にピントがズレてやしないかと思う。
コザ・ミュージックタウンが経済活性化に役立つような、
売上をあげているのかは私にはわからないが、
旧来のハコモノ公共事業という税金の無駄遣い的施設が、
このような事件の舞台になったということも、
単に米兵出て行けとはいえない沖縄の経済事情も合わせて、
いろいろな面からこの事件を考えるべきじゃないかなと思った。