富士山と工場写真
2008年 02月 12日

富士工場写真1
http://www.kasako.com/0802huzi1foto.html
富士工場写真2
http://www.kasako.com/0802huzi2foto.html
仕事柄、しょっちゅう東海道新幹線に乗っているんだけど、
静岡県の新富士駅付近を走っている最中、
その車窓に何度となく目を奪われ続けていた。
見事な美しい雄大な富士山の手前に、
もくもくと煙を吐き出す工場の群れ・・・。
いつか撮影に行きたいと願い、
新富士を通過する度に、車窓から撮影スポットを物色していた。
富士山をテーマに撮影する人はかなりいる。
湖や他の山々など、自然と調和した富士山の写真は確かに美しい。
何度となく山奥に入り、撮影スポットを探し、
時間と天候を見極め、ここだ!という瞬間の富士は、
私たちが見たこともない美しさが映し出されている。
でもそんな素晴らしい美しい写真より、
私が惹かれるのは、工場地帯と富士山という、
この異様な組み合わせだ。
富士山を世界遺産にしようだとか、
いやゴミが多くて無理だとか、そんな議論があるけど、
あの美しい富士山の前に、
ある種、毒々しい、禍禍しい工場群があるとは思いもつかなかった。
神々しい富士山と人間界の生々しい俗世の対照的な光景は、
なかなかに皮肉めいてシュールであり、そして魅力的だった。
単なる美しい富士ではなく、
俗世にまみれた富士を見事に撮ったのは、
作家・藤原新也の『俗界富士』である。
セブンイレブンと富士山とか墓地と富士山とか、
その生々しい現実社会と富士との対比は、
これまでに見たことのない富士山写真で、
とても興味深く見たのを覚えている。
ちなみに富士山を撮るのは簡単なようでいて難しいらしい。
山ゆえ天候が難しいのだ。
富士山が全部見えている日というのは意外に少ない。
富士市役所の統計データによると、
1ヵ月で15日以上見えるのは、11~2月の4ヵ月しかない。
6~8月はひどく1ヵ月で5日未満しか見えないという。
全部見える日でもその中でさらに晴れているのは限られていて、
時間帯によっては、富士山の頂上を雲が隠してしまうということも多い。
富士山は世界的に見ればたいした高さの山じゃないけど、
あれほど美しい稜線を描いている山というのはそうそうないんじゃないか。
見事なまでの美しさとシルエット。
そして付近に高い山が少なく、忽然と現れる圧倒的な雄大さ。
今回、写真を撮りに行き、富士山をあらためてじっくりと見て、
日本人のアイデンティティになるのはうなづけると思った。
工場ビューポイントを探しながら、
自分の目の前に素晴らしい工場が立ち現れるだけでもうれしいのに、
さらにそこに富士山まで見えるポイントを発見できる喜びはたまらない。
なんとも楽しい撮影旅行だった。
もし富士山工場写真を撮影に行きたい方は、
昭文社の富士市の地図を購入すると便利です。
あと撮影に非常に役立った自転車ですが、
レンタサイクル屋はないものの、
いくつかのビジネスホテルに泊まれば自転車を貸してくれる。
その中でも、スーパーホテルJR富士駅前禁煙館が特にいい。
ホームページには貸し自転車の表記はないが、
2台あっていえば貸してくれる。
関連リンク
・富士市による富士山の見え方統計データ
・藤原新也「俗界富士」
・かさこワールド工場地帯目次
http://www.kasako.com/kouzyoufotomokuzi.html