橋下氏はタレント政治家か?~横浜市長が批判
2008年 02月 08日
丸山和也氏参議院議員に続き、
橋下氏が大阪府知事になったことについて、
「日本はテレビに出ている人が選挙に出ていく。
日本の構造は健全なのかと疑問を持つ」と、
タレント政治家を揶揄したらしいが、
私はその批判は一部的外れではないかと思っている。
橋下氏の圧勝は予想外だった。
選挙前に2万%出ないだとか、
過激な発言が多い橋下氏を嫌がる人は、
何も既得権益にしがみついた政治家支持層だけでなく、
無党派層、支持政党なし層にも、嫌われる要素があった。
にもかかわらず彼が圧勝したのは、
たとえば「そのまんま東」のような、
“単なるタレント”ではないからだ。
橋下氏しかり丸山氏しかり。
タレントである前に彼らは法の専門家、弁護士なのである。
もともとタレント出身者が、テレビ知名度だけを売りにして、
何の知識も経験もなく当選する、
横浜市長が批判するようないわゆる「タレント議員」とは別物だ。
法律には間違いなく詳しい。
政治家が法律に詳しい必要はもちろんないが、
詳しいに越したことはない。
だから弁護士である両氏を単なるタレント議員と批判するのは、
少々筋違いのような気もする。
そして橋下氏が予想外に圧勝した要因。
それはタレントとしてだけでなく、
弁護士であり、かつ、
現役最年少の38歳という若さであり、
そして、この少子化時代に、
7人もの子どもを持つ父親だったからだと、私は分析している。
7人もの子どもを持つ父親が、
大阪の未来のために子どもが笑う社会をつくりたいというのは、
政治家が国民から人気を得るために、
または子どもを多く産ませて、
経済成長をさせる働き手にさせようという、
これまでの政治家のいわゆる「少子化対策」という名の、
不純な動機とは一線を画していたのではないか。
もちろんテレビ出演による知名度は、
圧倒的にプラスに働いていることには間違いないが、
「単なるタレント議員だから何もできないし信念もない」
みたいな批判は当てはまらないんじゃないかなと思っている。
それにしても橋下知事や東国原知事など、
知事の圧倒的なメディアの取り上げられ方に比べて、
同じタレント議員でも丸山弁護士を筆頭に、
橋本聖子氏や丸川珠代氏など、
参議院議員になってもいかに目立たないか、その違いは天と地との差だ。
単にメディア露出度の差だけならともかく、
一知事ができることと、
一国会議員ができることは圧倒的な差がある。
大政党の一新人参議院議員や一新人衆議院議員になったところで、
自分の公約や政策を実現する力は皆無に等しいわけだけど、知事は別格だ。
だからこそ知事の一挙手一投足が注目されるのだろう。
だから私は国会議員から政治家をスタートしようとは思わない。
将来、政治家になりたいというと、なかには、
「だったら次の衆議院でも参議院選挙でも、
民主でも自民でも出ればいいじゃないか」とか、
「市議会議員、県議会議員になって、
それから国会議員になればいいじゃないか」とかいわれるんだけど、
そんなことしていたら、
自分の政策などろくにできないまま、
下手をするとミイラ取りがミイラになってしまうように、
政党内での政治的実力を持つために、
政治改革とは相反する行為に、
自らが手を下さなければならない場面に遭遇してしまうと思う。
というわけで、今、政治をドラスティックに変えるために、
既成政党に入らず大きな力を持てる道筋は、
1:知名度をあげる
2:大都市知事で実績を残す
3:二大政党への失望機運の中、新党結成で一挙に天下取りをめざす
のが、今の日本の政治システムでは、
最も早く確実な方法ではないかと考え、
私はその実現に向けて、まず「1」の部分に力を入れている段階だ。
1、2までできた人間は多くいる。
石原都知事、青島幸男都知事、田中康夫長野県知事、東国原知事などだ。
(これ以外のユニーク例としては、猪瀬直樹氏)
しかし3を実現した人がまだいない。
やはり想像以上に国政で多数派を占めるには、
物理的な人集めが必要になってしまうから、
なかなかうまくいかないのだろう。
とはいえ今回の橋下氏の大阪府知事当選は、
丸山弁護士のように一国会議員になるより知事路線の方が、
はるかに自分の政策を実現できるルートなのだということを、
再確認はできた。
自民でも民主でも公民でも共産でもない、
既成政治家以外の人間が政治を行わなければ、
この国の根本的な政治改革は無理だろうなと思っている。