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若者ほど焦り迷うが、大人はそれをわかってくれない

「トラベルライターになるにはどうしたらいいですか?」
とメールで問い合わせてくる人は多い。
「ちょうどオフ会があるんで、
私だけでなくいろんな人の話が聞けるので、
参加したらどうですか?」と尋ねると、
住んでいるのは札幌だが、
このために東京に来るという。

いやー、そのぐらいの行動力があってこそ、
トラベルライターへの第一歩と思いつつも、
ネット経由で私に直接メールで問い合わせするだけでも、
それ相応の勇気がいるだろうに、
オフ会にわざわざ北海道から来る行動力は、
素晴らしくもあり驚きでもあった。
大学4年生の男の子だ。

オフ会時はいろんな人と参考になる話を聞けたようだが、
肝心の私とはあまり話せていないので、
月曜日の夜、再びお会いすることにした。
その間、ずっと東京に泊って。

普通の学生ではここまではできないのではないか。
なぜそこまでの行動力があるのか、
それには1つのきっかけがあった。

「大学3年の時にロスに1カ月留学した。
そこで日本人の良さも知ったけど欠点も知ってしまった」

向こうにいけばみなアグレッシブに生きている。
はっきり自己主張しないものは、
誰からも見向きもされない。
みんな何らかの明確な意志や夢を持ち、行動している。

ところが日本に帰ってきたらどうだろう。
突飛な行動をするものは「変な人」の烙印をおされ、
みな同じ行動をとるよう無言の圧力や牽制がある。
変わったことするより、無難に、
いい大学を出ていい企業にすればそれでいいって、
そんな風にみんな思って過ごしている。

でも本当にそれでいいんだろうか?
後悔はしたくない。
サラリーマンなんて、公務員なんてつまらない。
何かもっと視野を広げた仕事をしたい。
そこでたどりついたのがトラベルライターだった。

いろいろな話をした。
確かに今やもう大企業に働いて安泰の時代ではなくなった。
私が勤めていたアイフルだって、昨年リストラの嵐で、
私の先輩は会社を辞めさせられた。
私だって転職せずにアイフルにいたら、
今頃リストラされて職を探していただろう。
まあアイフルはサラ金だからともかく、
でもJALだって東電だってこんなに急に風向きが変わることはある。
だから大企業に一生働けば安泰ということに、
違和感を覚えるのは当然だと。

でもその一方でこんな話もする。
高度成長時代は確かにサラリーマンは組織の歯車だったかもしれない。
なぜなら何もしなくても作れば売れる時代だったから。
でも今のサラリーマンは違う。
グローバルの厳しい競争にさらされ、
歯車どころか1人1人が経営者的視点を持って、
仕事をしないと海外勢に打ち負かされてしまうぐらい、
厳しい状況にあり、
歯車どころか大きな仕事を任されて、
おもしろいやりがいのある仕事をしているサラリーマンもいっぱいいると。

それに大企業に就職できるのは新卒の特権でもある。
弱小編プロなんていつでも転職できるし、
大企業に勤めたことがある人の方が、
編プロでしか勤めたことがない人より視野も広い。
遠回りになるかもしれないけど、
一度、大企業に勤めてみるのもいいかもしれない。

視野を広げたいなら、仕事で海外に行くより、
今、学生のうちに世界一周旅行でもしてきたらいいんじゃないか。
お金がなくても、今、世界で個人宅に無料で泊めさせてくれる、
サイトとかあるみたいだし、
向こうで物売ってもいいわけだし。

でもそういえば学生の時に旅するより、
一度社会人経験してから旅する方が、
海外に行った時に見れるものが多いので、
一度大企業に就職してお金をためて、
それで世界一周に出かけるのもいいかもしれない。

ようはいろんな選択肢がある。
でもいろんな選択肢があり過ぎて余計に迷ってしまう。
でも36歳になった私からすれば、
22才のその選択肢の多い悩みは、
「若さゆえの特権」であり、うらやましくもあり、
「どうにでもなるから大丈夫!」「失敗しても取り返せる、若いから!」
とついつい言ってしまうんだけど、
そう言った後に気づくんです。

私も同じ年の頃、そんなこと言われても、
ぜんぜんピンとこなかったな。
むしろ若いからこそ経験もないし特技もないし、
今、人生の選択を誤ったら、
一生何もできず後悔してしまうのではないかと。

そんな話を彼にすると、
「そうなんです!今、年配の人にアドバイスされても、
わからないんですよね。
経験がないからすごく焦っているんです」と。

年をとれば若い頃を冷静に振り返り、
選択肢がいっぱいあっていいとか、
何でも失敗したって平気とか、
遠回りしたってそれはムダにならないとかいえる。
でもそれは年をとって後づけでわかったことで、
自分だって若い頃はそんなアドバイス、
まったく聞き入れなかったように思う。

若い頃って焦る必要ないのに焦っている。
多分、実績や経験がないからだ。
だからあわてて実績や経験を積もうと焦るし、
すぐに成果を求めがちだし、
回り道ではなく最短距離を行きたいと願う。
そういう気持ちが痛いほどよくわかる。
それは私が同じような悩みを若い時にいだいたからだ。
だから年取ってえらそうに、
「若いから失敗したって平気!」なんていっても、
若い人の気持ちに響かないってわからなきゃダメだよなって。

若い人は経験がないことを気にする。
「僕には語学力もないし旅行経験も多くないし、
これといった特技もない。
就職活動した時、特技をなんて書いていいかわからなかった。
どんなものでも食べられることとか、
もちつきがうまいこととかぐらいしかない。
でもそんなこと書くわけにもいかないし」

今、就職活動はネットによって便利になった反面、
企業も学生も双方リアルな姿がわかりずらくなり、
簡単に条件入力で応募ができてしまうため、
かえってミスマッチが拡大している面もある。

これも社会人を何年も経験したから言えることだけど、
はっきりいって学生に特技や経験なんて期待していない。
むしろ中途半端な経験や栄光があると、
かえってそれがジャマになるケースだってある。
むしろやる気とか行動力とか性格とか素直さとか、
そういうところの方が重要だと思う。

彼は無数の選択肢のなかで答えが見つからないことに、
焦り、迷い、悩んでいるみたいだけど、
学生にもかかわらず、これだけの行動力と、
人に会って話を聞く耳を持っていれば、
必ず自分のやりたいことにたどり着ける人だと確信した。

「5年後どうなっているかすごく楽しみ」

若い時には自分の無限の可能性には気づかず、
現実を前に妥協を選んでしまいがちだが、
彼のような人は大丈夫。

「かさこオフ会に参加したら、
今まで出会ったことのある人の種類とは違い驚きました」

確かに50人以上もいるのに、
まともなサラリーマンというのは少なく、
得たいの知れない人ばかりだったのかもしれない。

「でも君もそういう人と同じ部類の仲間になったってことだよ。
オフ会に参加したってことは」

彼はもう知らないうちに変わっている。
きっと同じ仲間うちの学生からは、
余計に奇異な目で見られるかもしれない。
でもその学生だって今、気づかないだけで、
いつか気づくはず。
ようはタイミングの問題だ。

大丈夫。彼は「こちら側」の人間になってしまった(笑)。
私には大学4年の時に彼のような行動力は微塵もなかった。
きっと彼は大物になるんじゃないかな。
そんな未来の大物に出会えることも、
ネットをやっていてよかったなと思える。

自分をごまかすな。
今、一番やりたいことのために何をするか逆算していけばいい。

自分が一番自分のことをわからない。
その自分が覆うマントを脱ぎ捨てられた時、
人生はぱっと開ける。

by kasakoblog | 2011-11-01 01:23 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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