福島の除染に意味はあるのか?

原発事故から7ヵ月が過ぎた今も、
「福島2号機、一時的に臨界」といったニュースが平然と報道されるように、
福島原発事故は現在進行中だし、根本的な問題解決もできていないし、
一部の人は勘違いしているが、まだ放射能物質は漏れ続けている。
しかも廃炉にするにも30年以上かかるという。

そんな状況にもかかわらず、
原発から20~30km圏内の、
福島県いわき市久之浜や南相馬市の小中学校が、
10月に再開されている。
はっきりいって子供に人体実験させているとしか思えない。

ろくに除染もされていないもんだから、
あわてて通学路だけとか学校だけはと、
除染しているみたいだけど、
除染したところでまだ原発事故は収束しておらず、
放射能物質は出続けているわけで、
しかも今日みたいに「一時的に臨界か」、
みたいなニュースが出てくるわけです。

そこで被ばくの危険を犯してまで、
除染する意味がまったくわからないし、
小手先の除染で子供たちを通わせてしまうのは、
危険を促進しているだけにしか思えない。

私は久之浜にも南相馬にも行っていて、
放射線量を測っているが、
福島市の1マイクロシーベルト以上みたいな高い数値ではなく、
0.10~0.40ぐらいで、低いところは東京と変わりないし、
確かに今は大気中の放射線量に限った話で言えば低い。

しかし東京でも雨どい測ったら高いとか、
公園の草むら測ったら高いとか、
これまでに蓄積されたものでホットスポットがいくらでも出てくる。
放射能汚染は原発の距離に比例するわけではないにしても、
まだ放射能物質が漏れている原発から、
20~30km圏内で学校再開しちゃうって、
どう考えてもクレイジーだと思う。

福島に取材に行くと、現地の人や、
現地に深く関わっている人の何人もから、
こんな話を聞く。

「本当は福島は封鎖してガレキ処理場にすべきだ。
そしたら岩手や宮城も助かるし、
他県に放射能汚染されたガレキの拡散も防げる。
福島は大好きだけどもうこうなってしまった以上、
それしか方法はない」と。

福島の人に接すると、
他県の人より異常に地元愛が強いと感じる。
それは他のボランティアの方も感じているようだ。
だから「福島を封鎖してガレキ処理場に」とか、
「放射能が危険なんだから復興ではなく避難すべき」
といったところで「そんなの許せない!」
と意地になって反論する人が多い。

いや別に大人はいいんです。
他県に出てきた経験が少なく、
慣れない土地でストレスためて暮らすぐらいなら、
放射能で20年後30年後にガンになろうが、
愛する土地で生きて死にたいっていうのは。
それは勝手にすればいい。
ただ子供は巻き込むな。
学校は再開するな。
そこで子供を通学させてしまう免罪符を与えてしまう、
抜本的解決にはならない除染なんかするな。
と思うわけです。

政府も官僚も東電も信用できないことは、
3.11以後のことで明らかになったわけで、
学校が再開されたからじゃあ除染して、
子供たちを通わせようじゃなく、
除染しないと通えないところにある危険な学校に、
子供たちを行かせるべきではないのではないか。
そもそも事故から7ヵ月以上が過ぎた今も、
原子炉内の正確な状況すら把握できてない。

じゃあどこに逃げるんだっていうけど、
西日本の過疎自治体で人が移住してほしいところなんか、
いっぱいあるわけだから、
そういうところに移住支援をするとか、
でも過疎自治体だと職がなくて困るというなら、
首都圏で雇用支援と移住支援をするとか、
そういうことが本当の支援であって、
原発から近い地区に、子供たちを引きとめさせることは、
支援じゃなくて、政府や官僚や東電と同じ、
現実の危険を無視して都合のいい低い数値だけをとって、
「ただちに影響がないから大丈夫」といって、
数年後はどうなるかわかりませんよという、
将来被害に加担することではないかということが、
前々からずっと思っていたことだけど、
震災から7ヵ月が過ぎた今も「一時臨界か」
というニュースが出るとあらためて思うわけです。

以前「福島を復興してもいいのか?」
http://kasakoblog.exblog.jp/15354976/
という記事を書いたら、自称福島を愛しているという人から、
おまえは許さないみたいなコメントを書かれたことがある。
福島を愛しているなら、小手先の除染で、
子供たちを被ばくさせることじゃなかろうに。

福島を「復興」させたいのなら、
1:福島原発の放射能漏れを完全に止める
2:福島全域の放射能汚染状況を徹底調査
3:その上で除染して生活できるところは除染すればいい
という順序通りにやらなければならない。

今は「1」「2」もやらずに、
学校再開されたから「3」をしますって、それは違うだろう。

除染してもすぐ高い値に戻ってしまうところもある。
それどころかたいして放射線量が減少しない場合もある。
そもそも至るところで汚染されているわけだから、
自宅だけとか学校だけとかやったところで、
汚染からは逃れられない。

にもかかわらず福島では除染ボランティアを募集している。
日本中の人間を被ばくさせることが目的なのだろうか、
とすら思えてしまう。

物事には順番が大切だ。
順番を間違えたらやっている作業に意味はない。
福島原発は7ヵ月たっても今だ核分裂し、
放射能物質を撒き散らしている。
そこを考えずに目の前の除染に没頭することは、
「現実逃避」であり「自己満足」であり、
子供たちの将来健康被害の加害者になる恐れもある。

原発が爆発したという重い事実をしっかり受け止め、
小手先の除染で支援したつもりになるのは、
考え直した方がいいのではないかと私は思う。

福島の放射能汚染は、世田谷のラジウムみたいに、
ガラス瓶を撤去すれば低くなるみたいな話とはまったく違う。

ものすごく単純に考えれば、
除染する労力と金と時間があるなら、
それを避難支援に回せばいいのではないだろうか。

しかしこの先、どうなるかわからない。
結果は、5年後なり10年後に、
福島の子供たちに現れる。

もしかしたら今、騒いでいるほど、
子供たちに健康被害はないかもしれない。
でも恐ろしいのは、
リスクがあるのかどうかすら、
よくわかっていないということ。
リスクがわからない=リスクがないではないし、
最も恐ろしいリスクとは、
どこにリスクが潜んでいるかわからないことだ、
というのは投資の世界なんかでも常識だが、
リスクがわからないことをいいことに、
短期的な視野でしか動けない人間が多いように思う。

書籍「検証・新ボランティア元年」

・福島2号機で核分裂 原子炉安定遠のく。1・3号機も調査急ぐ

by kasakoblog | 2011-11-02 23:25 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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