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東電不要の六本木ヒルズが震災で見直されている件

オフィスビルとして人気が低迷した六本木ヒルズが、
震災後、180度、世間の評価が一変し、見直されているのをご存知だろうか?
それは東電に頼らない独自の電力システムを持っていたからだ。
「東電なんぞ関係なく停電とは無縁」と、
オフィス入居の問い合わせが相次いでいるという。

六本木ヒルズはかつてヒルズ族なんて呼ばれたように、
かつては人気のあるオフィスビルだった。
今は刑務所に入れられているホリエモンのライブドアが、
入居していたことでも知られている。

ところがライブドアに強制捜査が入った陰謀あたりから、
六本木ヒルズの人気は急落する。
いや、ライブドアだけじゃない。
一時、六本木ヒルズのテナントは不祥事だらけだった。

破綻したリーマンブラザーズの日本支社。
強制捜査を受けたライブドア。
インサイダー取引で逮捕された村上ファンド。
違法派遣や介護事業コムスン不正請求で、
大問題となったグッドウィルグループ。
株の信用取引をめぐり投資家の代金未払いで、
証券会社に20億円の損害を出して失踪した椿総合法律事務所。

成り上がりのヒルズ族が、
続々と不祥事でビルを去る中、
そもそも六本木という場所が、
東京では不便なこともあり、
またさらには六本木ミッドタウンという、
新たなオフィスビルができたこともあり、
オフィスビルとしての人気は低迷していたのだ。

ところがである。
3.11のおかげで六本木ヒルズの評価は一変した。
これほど評価が真逆に変わったオフィスビルも珍しいだろう。

原発事故により東電域内の電力不足が生じ、
計画停電というとんでもない人災が行われていたが、
六本木ヒルズは東京電力に、
一般家庭約1100世帯分に相当する電力を融通していた。
なぜか。
都市ガスを燃料とする発電設備を持っていたからだ。

六本木ヒルズの電気は、このガス発電によってすべてまかなわれていた。
だから普段から東電の電気は使っていない。
なぜそんなことをわざわざしたのかといえば、
1995年の阪神・淡路大震災を教訓に、
電力会社の電力供給が止まっても、
エネルギーを安定供給できるビルをつくろうと考えたからだ。

ただし災害によって電気ではなくガスが止まることもある。
その際には東電から電気を買って発電機を動かす。
ガスも電気も両方止まった場合には、
備蓄してある灯油で自家発電を行うという。
http://www.mori.co.jp/img/article/110317_1.pdf

3月、4月は首都圏でも計画停電になるのではないかと、
脅える日々が続いた。
停電になったら通常業務ができず、
企業にとっても取引先にとっても大迷惑・大損害になり、
社会的にも大きな悪影響を与えてしまいかねない事態を避けるため、
東電電気がストップしても発電ができる六本木ヒルズが、
「災害に強いオフィスビル」として再び脚光を浴びるようになったのだ。

震災が起きる前は、六本木ヒルズの電気を使わない発電設備は、
「なぜバカみたいにお金をかけてこんな設備つくるのか?
普通に東電の電気使えばいいじゃないか」と思われていた節もある。
ところが大災害が起きてその真意がやっと認められたのである。

ちなみに六本木ヒルズは水対策も行っており、
雨水貯留槽を地区全体で13カ所設置など、
雨水や中水を利用して水を節約している。
http://www.mori.co.jp/company/urban_design/environment/aquatic_source.html

不動産にも環境対応や省エネ対応が求められていて、
企業はうわっつらのエコごっこや、
ひたすらCO2削減競争ばかりに走っていたが、
真のエコ対策を行ったオフィスビルが、
災害に強いと証明されたのだから、
エコごっこをやめて、
真のエコ対策をやるべきだという教訓になったのではないか。

もちろん六本木ヒルズが本当に災害に強いのかは、
議論のあるところだろう。
電力復旧よりガス復旧の方が一般的には遅いと言われており、
たとえば東京直下型の地震があった場合、
ガス発電がかえってあだにならないのだろうかとか、
2004年の新潟県中越地震の長周期地震動によって、
震度3だったにもかかわらず、
エレベーター6機が損傷したりとかもしている。
(今回の震災では損害はなく1時間後に復旧したらしい)

そういえば回転ドアが大きな社会問題になったが、
2004年に6歳の男の子が六本木ヒルズの回転ドアで、
はさまれて死亡するという痛ましい事故も起こしている。

六本木ヒルズの過去の不祥事はともかく、
今回はガスでも電気でも灯油でも発電できるという、
バックアップシステム、リスク分散機能により、
電力不足でも電気を融通できるほどの力を示した。

この教訓は大きい。
経団連のバカがほんと世間知らずというか、
死の商人というか高放射線量地区で暮らしてこいって話だけど、
経済活動の基盤であるエネルギーの安定供給を損なわないように、
原発再稼働を提言などというとんでもないことを言い出している。

でも六本木ヒルズのガス発電設備とか、
原子力以外の自然エネルギーとか、
他に選択肢があるにもかかわらず、
とにかく原発利権にしがみつきたい一身で、
息の根をとめてしまう町がいくつも出ているにもかかわらず、
法人税は下げさせて、
莫大な賠償金や除染費用は消費税増税して、
国民にまかなわせようみたいなことしか考えていない。

地震大国の日本経済を今後も活性化していくには、
経団連みたいなところこそ、
原発に頼らない電力供給の選択肢を増やすために、
政府に規制緩和や政策誘導を訴えかけるのが、
本来のあるべき姿ではないか。

六本木ヒルズみたいなオフィスビルが他にもいっぱいあれば、
莫大な前払い賠償金=原発交付金を支払い、
事故が起きたら莫大な賠償金を支払い、
さらには町に住めなくさせ、
健康被害を及ぼす可能性のある、
原発依存度を下げることができるのだから。

結局、あれだけの原発事故が起きた原因となっている、
東電の電力独占体制には何のメスも入れられないまま、
六本木ヒルズのようなガス発電の事例は取り上げず、
原発がないと電力が足りなくなるという、
真っ赤なウソをつき続けている連中がいる。
言っておくが、今の東電管内は原発依存度はたったの4.7%に過ぎない。

火力に頼っているからだけど、
他にいくらでも選択肢はある。
ただ原発利権、東電利権を守るために、
東電がなくても自分で電気を発電できるなんていう、
六本木ヒルズみたいなビルが増えると困ると思って、
いろんな規制でジャマしたりしているから、
原発に頼らざるを得ない構造になってしまったのだろう。

311の震災によって、六本木ヒルズが急に見直されたように、
これまで信じられてきた常識や評価が、
180度変わることがあちこちで起きている。

今までの価値観に縛られず、
災害に強い社会をめざしていくべきだと私は思う。

目の前の損得しか考えられない人間が多いから、
社会がおかしくなる。

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by kasakoblog | 2011-11-12 00:33 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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