山岡氏「ユーロは破綻する」

Yahooのトップニュースで一番上に『山岡氏「ユーロは破綻する」』の見出し。
クリックすると、
<山岡担当相>「ユーロ破綻する」「大津波がくる」と発言
という見出しとともに、

山岡賢次国家公安委員長兼消費者担当相は5日、内閣府職員への年頭訓示で
「ユーロは破綻するんじゃないか。中国(経済)のバブルも破裂する可能性がある」
との見方を示したうえで「金融・経済の大津波がやってくる」と述べた。
欧州債務危機への懸念を強調する意図があったとみられるが、
担当でもない閣僚が具体的な根拠を示さずに他国通貨の破綻を予言し、
それを「津波」に例えたことに批判が出そうだ。

という記事(毎日新聞)が掲載されていた。

バカじゃないかと思う。
バカとは山岡氏のことではない。
この記事を書いた毎日新聞および、
こういう記事をトップにもってくるYahooのことだ。

2012年、世界最大の関心事は何か。
欧州債務危機がついに暴発するかどうかである。

金融・経済の取材ばかりしている私の感覚からいうと、
もう昨年もずっとこの「欧州債務危機」一色。
そしていよいよ今年やばいんじゃないか、
リーマンショックなんて目ではないとんでもない事態、
金融・経済の大混乱が起きるんじゃないかということは、
もはや金融業界では常識であり、
ユーロは破綻するのかどうかとか、
ギリシャがユーロを脱退するのかどうかとか、
ギリシャだけでなく、イタリア、スペインまでもが、
破綻するんじゃないかとか、
さまざまなシナリオが想定され、活発な議論が行われている。

つまり『山岡氏「ユーロは破綻する」』発言は、
批判が出ることでもなんでもない。
むしろ記事のいやらしさを見ればわかるが、
“批判が出そうだ”という書き方をしているように、
まだ誰も批判が出ているわけでもないのに、
「批判が出そうだ」といって、
批判を促そうという扇動がみえみえすぎる実に劣悪な記事である。
しかも「担当でもない閣僚が具体的な根拠を示さずに他国通貨の破綻を予言し」
と書いているが、
「ユーロ安止まらず 一時98円56銭、11年ぶり安値」
というニュースが今日出ているのにである。

私なんかはふだんは金融関係者とばかり取材しているので、
金融業界の感覚が当たり前になりがちで、
ユーロが今年破綻するのかしないかとかは、
今年最大の懸案事項みたいに思っているわけだけど、
でも一般感覚はまったく違う。

先日、金融業界とは関係のない人に、
「来年は欧州債務危機がついに爆発したら、
世界経済はとんでもないことになるよね」
といったら「えっ、何それ?そんなことが起きるの?」
って不思議そうな顔をしていた。
ギリシャ問題とか欧州債務危機問題とかは、
ニュースで聞いて知っているんだろうけど、
金融業界で今年はどうなるのか?!
と注視されているとはまったく知らないのである。
でもそれは普通の人の感覚だと思う。

欧州債務危機。
なんだか難しそうだけど、
ようは借金たれのばかもんのせいで、
連鎖倒産が起きて、みんな大変になるかもしれないって、
そういうことです。

ギリシャが放漫財政で借金いっぱい抱えて、
返せなくなろうとしている。
するとギリシャに金を貸している隣国のヨーロッパの国々が、
困ってしまうわけです。

借金というのは信用で行われている。
「あなたなら返してくれるからお金を貸しましょう」という信用。
ところがギリシャが返せなくなった。
ギリシャに金を貸していたヨーロッパ諸国が、
金が返ってこなくなり、財政が不安定になる。

このような状況が起きた時に、
実際に財政が不安定かは別問題として、
「信用不安」という問題が起きる。
つまり「ギリシャは返せなかった。イタリアは大丈夫だろうか?
スペインは大丈夫だろうか?
あいつらも返せないかもしれないな」
という不安の連想が働き、
ギリシャだけでなくイタリアやスペインに誰も金を貸さなくなる。

ヨーロッパも日本もアメリカも、
借金しては金を返し、また借金しては金を返すという、
自転車操業をしているわけです。
するとお金を貸してくれる人=すなわち国債を買ってくれる人がいるうちは、
借金の返済期限がきてもまた借金して返せるからいい。
ところが「信用不安」で、
お金を貸してもギリシャのように返してくれなくなるんじゃないか、
と思うと、誰もお金を貸さなくなり、
借金を返せなくなってバンザイ=破綻する。
これが信用不安・信用収縮による金融危機の勃発なんです。

そして連鎖倒産が起きるわけです。
ギリシャが金を返せなくなったら、
ギリシャに金を貸している国の財務状況が悪化する。
そのなかで他の国が金を返せなくなったら、
その国に金を貸している国の財政状況が悪化する。
こうして1国が金を返せなかったがために、
連鎖して他の国まで潰れてしまう。
これが今、懸念されている欧州債務危機であり、
すなわち「ユーロが破綻するかも」という発言につながるわけです。

しかもこの危機は欧州だけに限定されない。
欧州のお財布状況がおかしくなれば、
欧州に輸出して稼いでいる日本やアジアだって、
物が売れなくなってしまい、収益が減少してしまう。
連鎖倒産の恐怖はドミノ倒しのように、
あらゆる人に災難が降りかかってくる。

ヨーロッパの国が借金返せないなら、
借金まみれの日本やアメリカは大丈夫なのか?
と普通の人は想像するだろう。
そしてこの借金まみれの国の国債なんか買っても、
お金が返ってこなくなってしまうかもしれないと思えば、
国債は売れない=金を貸す人がいなくなり、
日本もアメリカも破綻してしまう。
ギリシャだけの問題なのが、
全先進国の自転車操業ができなくなり、
みんな破綻して紙幣は紙くずになる、
ということが2012年に起こる可能性はかなりある。

しかもヨーロッパの場合、複数の国が1つの通貨を使っていることが、
今回、大きな問題となりそうだ。
たとえばギリシャが破綻し、ギリシャの通貨ドラクマが紙くずになったら、
ギリシャは大変だけど他の国には影響はない。
しかし統一通貨ユーロを使っているため、
問題を深刻化・複雑化させる要因になっている。
だから「ユーロ破綻」が懸念されているのだ。

かさこマガジン2で「日本は変わった」というのは、
2011年の東日本大震災を指していることは容易に想像はつくだろう。
「世界は変わった」として各国紙幣を載せているのは、
2012年は紙幣が紙くずになり、
本当に100年に1度の危機が来るかもしれないということを、
警告している意味合いだ。

本当に私たちは原発事故や東日本大震災だけじゃなく、
世界経済クラッシュ、資本主義の崩壊といったような、
誰もが経験したこともないことを経験する可能性が今年にはある。

それをね、あほみたいに、
民主党の政治家を不謹慎発言だみたいにして、
批判させようなんて姑息な記事を書いて、
それをヤフーのトップに載せてしまう危機感のなさ。
そんなことやっている場合じゃない。
本当にユーロ破綻するかもしれない。
それに日本はどう備えるべきか、考えなきゃいけないのに、
「津波にたとえたから批判が出そうだ」とか、
「根拠もなく他国通貨の破綻を予言した」なんて、
とんでもないとんちんかんなこと言っている。
そんなことで政治家批判しても誰もトクしない。

今年は世界経済クラッシュが起きるかもしれない。
その事態に一個人ができる対策はあまりないかもしれない。
しかし起きるかもしれないとあらかじめ覚悟をしておくのか、
起きてはじめて「想定外だった」なんていうのかでは、
その後の混乱時の対応が大きく変わっていく。

今年はとんでもない事態が起きるかもしれない。
ユーロ破綻を津波にたとえたから不謹慎なんて、
のん気なままごとやっている場合ではない。

米国も自転車操業の多重債務者(2011/8/1)
http://kasakoblog.exblog.jp/15210307/

現金から物に換えておけ(2011/7/21)
http://kasakoblog.exblog.jp/15148987/

by kasakoblog | 2012-01-05 23:37 | 金融・経済・投資

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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