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遠くからでも継続的にできる自立支援を普通の主婦が行う

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ボランティアの中には未だに同情支援、自立妨害支援、
効率が悪くても現地に行くことに、
こだわる支援をしている人もいるが、
どこにでもいる普通の主婦が、
1:現地に行かなくてもできる
2:継続的にできる
3:自立支援に役立つ
という3点を実現した支援を見事にしている人がいる。
それが1月14日のブログ、
311で価値観が変わったお母さん」で紹介した梅津さんだ。

梅津さんは東北出身とかではない。
ボランティア経験があるわけではない。
どこにでもいる普通の主婦だ。

でも「あれだけの災害が起きたにもかかわらず、
義援金だけでいいのだろうか?」
と多くの人が思うであろう疑問を持ち、
自分ができることはないかと考えた。

「義援金だけでいいわけなんかない。
何かやらなければ自分自身が後悔する」

そこで思いついたのが、
東北の物産を販売することで、
被災地の自立支援を手助けすること。
そして行動した。

自分自身で物販販売をやったことなど、
これまで一度もなかったが、2011年7月末から21回も、
さまざまな地域イベントなどに出店して販売を行った。
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「現地に行くには時間もかかるしお金もかかる。
若い人と違って自分にはやれることも限られている。
一発打ち上げ花火みたいな支援の仕方にも疑問を持っていた。
現地に行かなくてもできること。
継続的にできること。
かつ自立に役立つ支援になること。
この3つを実現できるのが物産展だった」

被災地には2011年6月に1度行っただけ。
その後はずっと地元、鎌倉で物産展という支援を続けている。
はじめは販売する物を仕入れるルートがなかったが、
横浜の岩手県人会など、
さまざまなルートから仕入れるようになり、
今では60~70品目を扱うまでになった。

高台で難は逃れたものの、
町がほぼ全滅し、販売先が少なくなり困っていた、
岩手県陸前高田市の障がい者施設「あすなろホーム」からも、
物を仕入れて販売するなど、
被災者支援にとどまらず、
障がい者の自立支援にもつながる活動にもなっている。

しかし物産の仕入れ、販売、会計まで、
すべてを1から企画したことのない梅津さんの活動は、
はじめからうまくいっていたわけではない。

まず一時、収支でマイナス40万円になってしまったこと。
物産は委託販売ではなく、
梅津さんが全額買い取りで販売しているため、
売れ残った賞味期限の切れた食品などは赤字になる。
物産展の活動はできるようになり、
無我夢中でやっていたものの、
自腹でこれだけのマイナスを抱え込んでしまったのでは、
継続的支援などできない。

回を重ねるごとに、
売れる物/売れない物の見極めや、
適切な仕入れ数を考え、
2011年後半になんとか挽回し、
収支はとんとんになるようになった。

もう1つの問題は、継続的に行う場所がないこと。
何かイベントがある度に、そこに参加し、出店する、
ということを繰り返していたが、
定期的に同じ場所で販売ができるところはないと、
継続的な支援が困難になってしまうと考えていた。

しかし場所問題にもメドがついた。
2012年から、鎌倉駅すぐそばにある、
鎌倉生涯学習センター前で、
毎月第二土曜、第四土曜に、
物産販売ができることになったのだ。
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梅津さんほか鎌倉で同様の支援を行っている、
他の団体と協力し、人通りがむちゃくちゃ多い、
絶好の場所で定期的に販売できる機会を得ることができたのだ。

「せっかく場所を借りることができたのだから、
単に物産販売をするだけでなく、いろんな情報発信をしたい」
という想いから、自立支援のブログ記事を書いていた私を思い出し、
フォトエッセイの展示をしてほしいと考え、
私にメールをくれたのであった。

本当に素晴らしい支援の仕方だと思う。
個人でできる義援金なんてたかがしれている。
でも物産販売をしたことで、
梅津さんはこれまで数百万円を、
売上金として被災地に送っている。

しかも単にお金をあげているのではない。
被災地で作った物を販売している。
被災地で必要とされているのは、仕事や生きがい。
ただ何もせず、物を恵んでもらうだけでは、自分がみじめになる。
みじめになるだけでなく、
ボランティア依存するようになってしまい、
自分の足で立てなくなってしまう。

しかし物産販売なら、自分たちが作るという仕事が発生し、
そこに対価がつきお金をもらうという形。
理想的な支援だと思う。

これを一介の普通の主婦がやっているということがすごい。
「これまで会社勤めをして経験していたことが、
この物販販売にすべて役立っている」というが、
すべてを自分でするのははじめてであり、
仕入先の確保、在庫管理、場所の設置、イベント告知、
会計管理、接客対応など、相当、手間や面倒があるはずだ。

「ほんとに大変です。でも楽しいから苦にならない」と梅津さん。
自分がしたいことをしているからこそ、
今までやりもしなかったフェイスブックやツイッターも、
率先してやるようになった。
大学生の娘さんはお母さんがフェイスブックをはじめると聞いた時、
「ウソ、マジでやるの???」とたいそう驚いたようだ。

ようは、やりたいことが先にあって、
はじめてネットツールを使うべきであって、
やりたいこともないのに登録したって、
そりゃ、使わないで終わってしまうに決まっている。
目的なく手段(ツール)にばかり追われる人が多い中、
梅津さんはやりたいことが明確だから、
それに必要なツールをうまく使いこなしているのだと思う。

家族の協力もあり、
お父さんや2人の娘さんも販売に加わっている。

そんなわけで写真展示をするため、
その下見に1月14日に鎌倉生涯学習センター前に行ってきたが、
観光客はものすごいし、地元の人も多いし、
ものすごい人通りの多い場所。
もうそのせいか販売が大変!
そんなわけで私も思わず、ちょっとだけですが、
お父さんが来るまで店の手伝いをしてました。

でも販売っておもしろい。
10時から飲まず食わずで手伝っていたら、
あっという間に14時になっていた。
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売っているものはほとんどが食べ物。
岩手県が中心で、あとは宮城の気仙沼の物が多い。
南部せんべい、気仙沼工房のパン、岩手のゆべし、
クッキーやケーキ、海苔などが売れ行きがいい。

ただ福島県産がないとはいえ、
東北の食品には放射能という問題はある。

もちろん東北すべての食品が危険なわけではないし、
というより東北産でなくても、
関東で出回っているものだって危険な可能性あるものは十分あるが、
気にする方は東北食品を買う必要はないと思うし、
小さな子どもがいる家庭は、
食べないに越したことはないと思う。

実際に私が販売していた時、東北の物産展と気づかず、
(大きなのぼり旗があるが気づかなかったようだ)
「煮ぼし欲しいんだけど」と言われて、販売しようとしたら、
「これってどこの産地?」というので、
「宮城県の気仙沼です」と答えると、
「じゃあいらない」と態度を急変させて、
帰っていった60歳前後のおばさんもいた。

ただこう言ってはなんだけど、
高齢の方こそ東北の食品を買ってくれと思う。
10年~20年先に影響があろうが関係ないんだから。

実際に販売していると、
鎌倉という場所のせいもあるかもしれないが、
物産展をのぞきこんで、
物を買っていくのはほとんどが、
50歳以上の年配の方々ばかりだったし。

それはともかく、とにかく人通りが多く、忙しい場所。
もし鎌倉観光がてら、
販売をボランティアで手伝いたいという方いたら、
梅津さんに連絡してみてください。
noeru1225@kind.ocn.ne.jp

またそんなわけで、梅津さんの物産展とコラボし、
ミニ写真展をする予定です。
第一回目は、1月28日(土)10時~16時まで、
鎌倉駅そばの鎌倉生涯学習センター前。
写真数枚のパネル展示と、
かさこオフ会時に作った被災地写真アルバムを展示する予定。
第一回目なので展示でてんやわんや混乱が予想されますが、
この日は10時~14時ぐらいまでは現地に私もいる予定です。

第一回目の展示がうまくいけば、
引き続き、毎月第二土曜、第四土曜は、
この場所で写真パネルを展示する予定です。

写真パネルを展示することで、
・食べ物目的で物を買っていく人が、
少しでも被災地について深く考えるきっかけになってほしい、
ということと、
・写真があることで目をとめた方が、
ついでに物産展にも寄っていただき、
物を買っていただければありがたい、
という2つの目的があります。

そんなわけで、かさこ読者といい形で、
今年もコラボしたり、協力し合い、
いろんなことをしていきたいと思います。

鎌倉で会いましょう。

・書籍「検証・新ボランティア元年~被災地のリアルとボランティアの功罪」


かさこツイッター(お気軽にフォローどうぞ)
https://twitter.com/#!/kasakoworld

by kasakoblog | 2012-01-15 19:40 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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