分配金に目がくらんで大損する投資信託~金融知識のない客、販売会社が日本の資産を目減りさせる

運用益超す配当9割――。
投資信託のイカサマぶりがここまでひどいとは正直思わなかった。

投資信託(ファンド)とは投資家に代わって運用のプロが、
株式や債券など様々な資産に投資してくれる金融商品である。
例えば「インドファンド」といったら、
インドの株式に投資してくれる投資信託。
日本の個人投資家がインドの株式に投資しようと思ったら、
なかなか大変だけど、
投資信託なら、プロが代行してくれて、
かつ良さそうな銘柄を複数選んでくれるから便利というものだ。

新興国に投資するファンド。
日本株に投資するファンド。
株だけじゃなく債券に投資するものや、
コモディティ(商品)に投資するものもある。
1万円程度の少額から買えることも魅力の1つだ。

2005年頃から「貯蓄から投資へ」という大号令や、
年金不安だから自分で運用して自分年金づくりをしろ、
といった煽りから急速に売れ始めた。

ところがである。
「運用益超す配当9割」というイカサマぶりが明らかになり、
やっと金融庁が規制に乗り出した。

運用益超す配当9割とは何か。
いわゆるタコ足配当というやつだ。

例えばみなさんが100万円銀行に預けたとする。
1年間で利子が1万円つくと、
資産残高は101万円になる。

これが今の日本の投信だとどうなるか。
100万円で買いました。
1年後に10万円分配金が出ました。

この分配金の額だけ見て投資家は大喜びするわけです。
「さすが投信!預金なんかに預けているよりもいい!」

ところが100万円で購入した投信の価格は、
90万円になっていました。
つまり90万円+10万円=100万円。
単に自分の資産を取り崩しただけじゃないか!

本来、投資信託は、
100万円で運用して、
株とか債券で利益を上げて、110万円になったから、
運用でプラス10万円になった分、
分配金として10万円払いましょうというものだ。

ところが日本では分配金の金額しか、投資家の頭にない。
そこで運用しても利益が出なかったにもかかわらず、
いやむしろ損してしまったにもかかわらず、
分配金がいっぱいあるからすごいでしょ、
と見せかけるために、
投資家の資産を取り崩して分配金を出していた。
それが9割もあるというのだから、
いかにイカサマかがわかるだろう。

いや、運用ってものは波があるから、
運用成績が悪い時もある。
それは致し方がない。
ならば無理して資産を取り崩して、
分配金を出さなければいいわけだけど、
日本国民の金融リテラシーがあまりに低いことと、
そこに対して業界がきちんと教育をしてこなかったために、
見せかけの分配金の多さでちょろまかすという、
とんでもないことが行われ続けてきた。

日本は借金があっても大丈夫。
なぜなら個人金融資産が1400兆円あるから。
といわれてきたが、
こうしたまがいものの商品のせいで、
どんどん金融資産は目減りしてしまっている。

確かに預金金利は超低金利だ。
金利がゼロといっても過言ではない。
そこで「金利が低いから預金だけではダメです。
運用しなければならない」と悪魔のささやきを働きかけた。

するとどうなるか。
預金はどんなに金利が低くても、
預けた金額が減ることはない。
ところが投信などの運用商品は、
マイナスになることもあればプラスになることもある。
今の状況だとあまりにも市況が悪いのと、
投資したタイミングが2005~2007年のバブル期ということで、
ほとんどの人が資産半額ぐらいまでに落ち込んでいる。

いやそれでもこの先は上がるかもしれない。
私が問題にしているのはここ数年、
たまたま下がってしまったから悪いといっているのではない。
投信の場合、上がろうが下がろうが、
毎年マイナス1~3%引かれてしまうということを、
認識している人が少ないということだ。
なぜ必ずマイナスになるのか。
運用のプロに報酬を払うためだ。

つまり預金は低いけど0%より低くなることはない。
ところが投信は毎年必ずマイナス1~3%。
つまりこのハンディを上回る成績をあげなければならない。

さらに販売時には手数料と称して、
これまた1~3%ものの手数料が引かれる。

これ預金で考えてみればどれだけひどいかがわかる。
100万円預金を預けたら、
「口座作ったので3万円マイナスね」といわれて、
97万円になってしまい、
毎年、運用成績が良かろうが悪かろうが、
必ず3万円ずつ引かれていくわけだ。

そこまでしても運用のプロに頼んでいるのだから、
それなりの成績を上げてくれればいいわけだけど、
市場が下がっているからどうにも勝てない。
さらに日本では為替の問題があり、
海外投資している投信は、
円高で20~30%やられてしまっている。

ここまでくると投信を購入するのは、
ドブに金を捨てるようなものだとしかいいようがない。
運用成績のアップダウンがあるのは仕方がないとしても、
1:運用益が出ていないのなら分配金は出さない
2:プロのくせしてマイナスだったら報酬はとらない
3:販売手数料は高すぎるからもっと低くすべき
といった点が改善されない限り、
日本の個人資産を目減りさせる、
金融テロみたいな商品だ。

いや本来仕組みとしては素晴らしいのに、
分配金の多さでしか判断できない客、
その客に合わせるために、
損しているのに分配金が多いファンドばかりを買わせる販売会社、
その客と販売会社の圧力に屈して、
分配金が多そうに見えるファンドばかりを作る運用会社、
この悪循環の三者連合が本来の商品の良さをねじ曲げ、
日本の個人資産の富を収奪している。

もちろんこのひどい商品の仕組みをよくわからず、
購入している投資家の頭の悪さが一番の問題なのだが、
それをちゃんと説明できない販売会社=金融機関も悪い。
というか販売会社の販売員の頭も極めて悪い。
先日、販売員の話を聞くと、
「コモディティってお客さんに言われてわからなかった」
とか言っているのである。

販売員がこの程度の知識で、
まともに投信が売れるわけもないし、
客にちゃんとリスクや商品特性を説明できるわけがない。

あまりにも遅い金融庁の対応だが、
日本全体の金融リテラシーの低さをどうにかしない限り、
不動産バブルや株バブルで資産をなくしたように、
今回は投信バブル、また次は新手の金融商品バブルで、
次々と国民の資産が減ってしまうだろう。

金融機関が熱心に進める商品のほとんどはまがいもの、
と思ってもいい。
日本の金融機関も投資家とWin-Winになるような、
セールスをすべきだが、
金融機関の人材の金融知識があまりにもお粗末なのだから、
どうしようもない。

その意味では早いうちから学校での金融教育が必要だ。
それは現状行われているような、
金融機関主導の投資商品買わせる教育ではなく、
まがいものかを見分けられる目を養うための教育を。

by kasakoblog | 2012-02-14 02:01 | 金融・経済・投資

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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