2012年 02月 19日
客に損させ罪悪感にさいなまれる投信販売員
「お客さんに何百万円も投資してもらったのに、
半値以下にさせて大損させてしまった・・・・・・」
営業成績優秀な投資信託の販売員ほど、
「客に悪いことした」と悩んでいる現状がある。

2005年、世界全体がバブルに浮かれ、
日本もその煽りを受けてバブル真っ盛り。
株式投資をはじめ様々な投資が次から次へと登場。
「貯蓄から投資へ」という大号令、
「預貯金が超低金利だから投資をすべき」というムード、
「投資は経済の勉強になる」というでまかせ、
「将来インフレになり、投資をしないと資産が目減りする」という脅し、
さらには「年金不安の今こそ自分年金づくりを」
というキャッチフレーズのもと、
多くの人がたいした投資知識もないまま、
金融機関の手数料稼ぎのために、
言われるがままに金融商品を購入していった。

その中でも圧倒的人気を誇ったのが投資信託。
「毎月お小遣いがもらえる」感覚にしてくれる、
毎月分配型投信が「年金のたしになる」と、
年金受給者に大受けし、急速に残高を伸ばしていった。

しかしみなさんご存知の通り、
2007年のサブプライムショックや2008年のリーマンショックで、
ほとんどの資産は半値以下になってしまった。

いや今は大分戻ってきているはずだが、
日本人は不幸なことに円高でダブルパンチを浴びた。
投資している海外株式や海外債券の値が、
ショックから回復してきたとしても、
空前の円高で為替差損だけで2~3割やられてしまっている。
しかも最近では欧州債務危機が騒がれ、
依然として市場は低迷気味。
もし1000万円を様々な投信に投資していたら、
今は多分500万円か600万円ぐらいになってしまっているだろう。
超低金利の預貯金に預けておけば1000万円のままだったのに!

いやでも金融機関は客が損しようが、
手数料が入ってくるから「そんなの関係ねえ」。
投資は自己責任だから投資した人が悪い。
もちろんそうなのだが、金融機関にだって善人は多くいる。
それが直接投資家に投資信託を販売した販売員だ。

販売員は金融危機前の投資の常識を信じ、
お客さんのためを思って素晴らしい商品だと思い、
お客さんに投資信託を勧めていた。

「預貯金だけじゃ楽しい老後は過ごせない。
資産分散しなければならないが、
気軽に投資ができる投資信託はいかがでしょうか」と。
そして心からお客さんのためを思って販売した人ほど、
投信を売りまくり、優秀な成績を上げた。

ところがわずか数年で潮目は変わり、
あっという間に半額以下。
それでも投信販売員たちは信じていた。

「お客様、あわてて狼狽売りしたらダメです。
きっと値段は回復しますから。
10年、20年の長期運用していれば、
きっと必ず回復しますから」と。

しかしどうもこの「長期投資」というのが、
実はでたらめなんじゃないかと販売員も気づき始めた。
それは先進国の債務危機問題で、
この先、先進国が大きな成長は期待できないこと。
また今後の成長が期待できる新興国は、
すでに株価がバブルだったため、
成長はしても株価が上昇するかはわからないこと。
投資の金科玉条だった「長期投資」が、
実はもはや通用しない世の中になってしまったのではないかと、
気づいてしまったのだ。

さらにもう1つ。
いろんな投資信託を組み合わせて買えば、
ショックに強く、急激には下がらない、
というセールストークを駆使し、
それを本当に信じていた。
ところが実はその「分散投資」という常識も崩れてしまった。
すべての資産が連動し、
下がる時はみんな下がってしまい、
分散効果が発揮できなくなったことを、
優秀な販売員たちは気づいてしまった。

そして今、客に大損させてしまった、
優秀な販売員の一部の人が罪悪感にさいなまれている。
「いい商品だと思って販売したのに、
お客さまのためになると本気で思ったのに、
私はなんてことをしてしまったのだ・・・」

まじめで優秀な販売員ほど、
自分たちがやってきた仕事に疑問を持ち、
客に損をさせてしまったことを、
自分のせいだと責めて、
今、お客さんにどう接したらいいのか、
何を勧めたらいいのかわからず、苦悩をしている。

投資の常識はあっという間に180度、変わってしまった。
誰のせいというわけではない。
でも売った販売員はお客さんに販売時に、
「ありがとうね」といわれながら、
結果、感謝の気持ちを裏切ってしまった。
「客の自己責任だ!」と言い放てる薄情な輩はいいが、
優秀な販売員ほどそんなことは思わない。
だから自分を責め、仕事の意義が見い出せず、
うつな状態に陥ってしまっているのだ。

商売って基本的に相手を喜ばせて対価を得るもの。
だから本来なら売った側も買った側も幸せになるはずだ。
しかし客が損をしても売った方だけ儲かる仕組みでは、
ハッピー・ハッピーな関係になれない場合もある。

でもそういう商売はもう続かないと思う。
投信バブルは崩壊し規制が強化され、
というかはるかに手数料が安く、
流動性もあるETF(上場投資信託)買えばいいんじゃん!
みたいな話になって、投資信託はぐんと減る可能性大。

でもETFは日本では流行らない。
なぜなら金融機関に販売手数料が入らないし、
運用会社の存在意義もなくなってしまい、
これまた仕事が減ってしまうから。
つまり金融機関の食い扶持を確保するために、
大損させた商品をバカ高い手数料で売って、
それに代わる安い商品を勧めようとしないのだ。

このようにして既得権益ができると、
消費者のためにならないことが平然と行われるようになる。
でも直接顧客と接している販売員は、
良心の呵責にさいなまれ、
商品そのものに疑問を持ち始めた。

しかし客のためにならない商品は、
一時のバブルで儲かったとしても長くは続かず、
必ず市場原理で淘汰されるだろう。
今、日本で淘汰されないのは、
はっきりいうと販売員も投資家もバカだから。
でもそれに気づき始めている人も増えている。

投信バブルはもうまもなく終わるかもしれない。
いや、もう終わっているかもしれないが、
既得権益を持つ金融機関は、
自分たちの食い扶持確保のために、
手を変え品を変え、客を「騙そう」としている。

・分配金に目がくらんで大損する投資信託
http://kasakoblog.exblog.jp/17367789/


by kasakoblog | 2012-02-19 00:43 | 金融・経済・投資


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