震災によって日本は変わると思ったが、
1年たって失望の方が勝っている。
まだこんなことやっているのかと。
変わる機運はどこへ行ってしまったのだろう?
絆美談や復興美談にうんざりしている被災者。
「がんばろうって何をがんばればいいの?」
絶望的な状況の中で、被災もしていない人に、
上から目線で同情されて支援を振りかざされても、
ただ虚しくなるだけだ。
また被災地に同情することが、
人気とりになると思っているのか、
政治も行政も長期的ビジョンなきまま、
単なる復旧、単なるバラマキだけを繰り返している。
困難な環境下で人ががんばれるのには、
明確なゴールが必要だ。
どんなに険しい山だとしても、
山の頂上に登りつめれば、
素晴らしい景色が広がっていると思うからこそ、
人はどんなに苦しいことにも耐え抜き、
歯を食いしばって山を登っていくことができる。
しかし今の被災地や今の日本にはゴールがない。
今は苦しくてもがんばったら、
将来、こんなに明るい未来があると思えば、
みんながんばれるけど、
被災地にも日本にもゴールがない。
というよりどの山を登るのかも決まっていない。
そんな状況で、がんばれだの増税だの働けだの、
何だのって言われてもがんばりようがない。
がんばっても山に登れないのだから。
美しい景色が待っているわけではないのだから。
被災地の復興、日本の活性化には、
長期的ビジョンに基づくゴールが必要だ。
そのゴールさえしっかり設定すれば、
日本人はどんなに苦しくてもがんばるだろう。
ただ短期的な視野でしか物を見れず、
感情論でしか動けないのは、
政治や官僚や企業が悪いという以前に、
一人一人が悪いんだと思う。
とりあえず今が良ければそれでいい。
どこかでどうにかなるやと楽観的に構えている。
変化を恐れて変革者に対しては抵抗勢力になり、
批判ばかりして出る杭はうつわりに、まったく対案なく、
ただ一時の感情論に突き動かされて「正論」を振りかざす。
でも、日本は変わった。
そして、世界も変わる。
変わらないのは自分だけ。
それでは今はよくても希望はない。
だってどこの山に登るかも決めておらず、
それどころか苦しいことはしたくないから、
今までの山の周辺をぐるぐるぐるぐる回っているだけ。
それで前に進んでいるような気になっているけど、
結局はなだらかな下り坂をおりているに過ぎない。
やがては谷底へ落ちていく。
そんな状態ではないか。
100年に3度も大津波が来ており、
その度に多数の死者が出て、
多数の家屋が倒壊しているにもかかわらず、
また元の町を復旧してしまうことが復興なのか。
もともと過疎化していて、少子高齢化も進み、
跡継ぎもいない一次産業を、
莫大な金を注ぎ込み、今まで通り復旧することが復興なのか。
原発危機はまだ何も終わってはいないのに、
除染と称して元の町に住むことが復興なのか。
潰れそうな中小企業にただ金を融通すれば、
その企業は潰れないのか?
失業者に金だけバラまいて失業者の生活再建ができるのか?
円高だから為替介入すれば問題は解決するのか?
自動車業界を救うためにエコカー補助金を延長すれば、
国内で自動車が売れるようになれるのか?
10年先、20年先、30年先の町や社会をイメージして、
そのために今、何をすべきかという視点がなく、
ただ元の町に住みたいという感情論だけで、
「復興」を進めれば、また地震・津波・原発事故で、
同じ過ちの繰り返しをするだけだろう。
同じ過ちを繰り返すのは人災だ。
天災のせいなんかじゃない。
だって被害があることが十分想定内なのだから。
今がかわいそうだからとか、
今はこうしたいからとかではなく、
10年、20年先の理想の自分の姿や町の姿をイメージして、
そのために、今、何をすべきで、
今、何をすべきでないのか考えて行動しなければならない。
それが311の教訓のはず。
311以前のようにただ漠然として過ごしていれば、
なんとなく今をやりすごせる時代ではなくなった。
一人一人が自分の登るべき山を決め、
その山に登ったらこんないい景色が広がっていると、
イメージしてから行動しないと、
311の教訓を生かせない日本は、
また自然災害をきっかけとした人災の拡大により、
ますます疲弊・衰退していくだろう。
日本は変わった。
あなたは変わった?
既得権益はあなたです。
過去の常識を見つめなおし、
長期的ビジョンを持って、今を生きよう。
さすればどんなに厳しい状況でも、
10年後、20年後にきっと笑って暮らしているはず。
311の教訓を忘れてはならない。
それが生き残ったものの使命であり、
来たるべき災害が起きても、
被害を最小限にする知恵だと思う。
経験を知恵に変えない限り、
日本は再び人災を繰り返す。
※「日本は変わった。世界は変わった。あなたは変わった?」
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