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おたくの会議室はいりますか?~無駄なスペースの有効利用

「旅館の大広間って夜中は空いてるんですよね?
お金払うんで、使わせてもらえませんか?」

社会にあるムダの1つがスペースだ。
スペースを使いたい人はいっぱいいる一方、
スペースだけ確保しているわりに、
あまり使っていない店や企業も多い。

スペースを借りていれば莫大なコストがかかる。
「サラリーマンと自営のコスト意識の違い」
を持ち出すべくもなく、
自分が働いているスペースやロッカー、会議室、倉庫などには、
毎月賃料という形でコストが発生している。
そのコストを上回る利益を上げないと、
賃料は固定費ゆえ、収益を圧迫する。

夜しか営業していない居酒屋やレストランは、
昼間はスペースを無駄にしているわけだ。
1週間に1度ぐらいしか会議しないのに、
そのために広い会議室スペースを、
社内に設けていることは無駄なコストだ。

じゃあそこをマッチングすればいい。
すなわち昼間使っていないレストランで、
会社の会議を行えば、どちらにもメリットがある。

レストランからすれば夜の営業時間以外にも、
レンタルスペースにすることでお金が入る。
会社からすれば会議室をつぶして、
他の用途に使うことで、その分のコストを削減できる。
まさにWin-Winの関係だ。

実際にはいろんな問題やデメリットもあるから、
上記のようにすんなりといくわけではないが、
今、こうした事例がかなり導入され始めている。

不景気だとか売上が上がらないとかいって、
店でも企業でも既存の枠組みの中で、
体育会系のごとき「2倍働け!」「売上もっと上げろ」
なんていっても需要には限度があるんだから、
知恵なきかけ声だけで売上なんてのびるわけがない。

そこで頭を使う。
会議室っていらないんじゃない?
借りればいいんじゃない?
って発想に切り替える。
昼間にレストランや居酒屋を営業しても、
夜メニューの強い店で入らないなら、
貸しスペースとして貸せばいいんじゃない。
そういう発想の転換を行わないと、
今の時代、バカみたいに四六時中働いたところで、
絶対に会社も成長しないし、社員は疲弊していくだけだ。

昨日かさこオフ会を行ったのは老舗旅館の大広間。
場所だけ貸してくれて、飲食は持ち込みOK。
ゆえに老舗旅館でも高い宴会代でなくて済む。

旅館の大広間を宴会場として貸し出すきっかけとなったは、
20年ほど前にある大学生が旅館にこう尋ねたからだそうだ。

「旅館の大広間って夜中は空いてるんですよね?
お金払うんで、使わせてもらえませんか?」

その言葉を聞いて、旅館の人は困惑したという。
「夜中使ってないけど、宿泊者でもない人に、
大広間を貸し出すなんて・・・」

しかしよくよく考えてみると、
これはひょっとして、
いいビジネスチャンスなのではないかと思ったという。
確かに大広間は夜中は空いている。
そこを貸し出してお金を得ることができれば、
旅館のスペースは有限でも売上も利益も増やすことができると。

こうして老舗旅館・鳳明館では、
大広間を宴会用に貸し出したり、
「素泊まりコンパプラン」と称して、
大学生に夜から朝まで、
宴会場を貸し出すサービスを始めたという。

「今はスペースもシームレスな時代なんです。
この場所はこの用途だけにしか使わないといった、
既存の概念にとらわれず、
空いているスペースをうまく活用すれば、新たな収益にもなる」
と旅館の人は話してくれた。

最近、居酒屋チェーンが営業時間外に、
セミナースペースとして場所を貸し出すサービスを始めた。
http://www.colowide.co.jp/fair/east/fair.php?fair_no=1583
どうもこのプランだと、
セミナーの後の飲み会コースの注文が必須みたいだが、
お金を払って会議室を借りて、
その後、懇親会をすれば二重にお金がかかってしまうが、
これなら会議室分が浮くというメリットがある。

私は日経新聞のCRE(企業不動産)戦略の取材を、
3年ぐらい担当し、各社を取材していたが、
外資系の会社なんて、
「1人1席、座席を割り当てるのは無駄」として、
個人の座席指定のないフリーアドレス制にし、
かつ社員2~3人あたりで1席しか用意しないという、
レイアウトに変えた。
それによって借りるスペースが従来より狭くて済み、
コストを削減できるからだ。

「そんな1人1席ないなんてひどい!」と思うかもしれないが、
実際にはそんなに困らなかったという。
なぜなら、これまで1人1席時代に、
どれだけの人が座席に座っているのか調査をしたところ、
半分にも満たなかったという。
ようは営業マンが多い会社ではほとんど出先に出っ放しで、
朝と夜の事務作業ぐらいしか会社にいない。

そのためにスペースを借りているのは無駄ではないかと見直し、
ノートパソコンやケータイを支給し、
直行直帰や在宅勤務、社外勤務を大幅に許し、
社内の座席スペースを減らしたのだ。

しかし既存の価値観に捉われた社員の抵抗はすさまじい。
ある外資系IT企業ではIT企業にもかかわらず、
社員から在宅勤務推奨し、座席を減らすことに、
大きな反発をくらったという。
「そんなのできるわけがない」

ところが昨年、震災が起き、
電車本数が激減し、原発事故や余震が頻発していたため、
やむなく在宅勤務となったが、
そこで社員の意識が変わったという。
「なんだ、意外と在宅勤務ってできますね」

既存の常識に捉われているからできないのであって、
やってみれば意外とできるのだ。
それで不動産の賃料が安くなった分、
社員の給料が上がればこんなうれしいことはない。

これから私もいろんなところで講演をしたいなと思っていて、
しかし講演のために借りる会議室代が高いと、
参加者にも経済的負担が重くなり、
人数が集まらないと主催者のコストにもなるので、
もったいないなと思っていろいろ調べていたら、
旅館の大広間の話だとか、
居酒屋のセミナー貸しとかが出てきた。

使っていないスペースを削減するなり、
借りたい人に貸すなりすれば、
血眼になって働かなくても、
経費削減、収益拡大になるチャンスが増える。
スペース利用者にとっても、
いい場所を安く借りることができれば、
コスト負担が軽くなる。

ハードというハコモノありきで、
ばかすか何でも作る時代ではなく、
いかにソフト面で利用効率の最適化を図るかが、
日本社会全体の大きな課題といえるだろう。

※かさこ講演のために安く使える、
いいスペースがあったら教えてください!

by kasakoblog | 2012-03-21 17:14

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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