イヤなことこそ飛躍のチャンス!~捨てる神あらば拾う神あり~
2012年 03月 22日
でもそんなイヤなことが起きた時こそ、
意外とそれが自分の大きな成長や飛躍につながったりする。
そんな一例を一つ。
私がこれまで12冊の写真集を出した出版社と、
新シリーズを出すにあたって、
仕事の進め方について昨年の夏にもめてケンカわかれした。
その文句が原動力となり、
でも単なる一個人の愚痴から発展し、
フリーランスは結構ひどい目にあっているんじゃないかと、
書いたブログ「サラリーマンは自営の気持ちがわからない」が、
http://kasakoblog.exblog.jp/15108812/
1万6000リツイートされることになり、
これを縁に多くの人と知り合うことができた。
実際、オフ会参加者に「私を知ったきっかけは?」
と聞くと「サラリーマンは自営の気持ちがわからない」を読んだから、
という人が結構多い。
出版社ともめてケンカわかれになったけど、
でもそのおかげで今まで以上に、
多くの方が読んでくれるようになった、
ということだけでもうれしいのだが、
実はこのブログのおかげで、もう1ついいことがあった。
新たな出版社の編集者がこの記事を見て、
私に声をかけてくれたのだ。
「うちで写真集シリーズ出しませんか」と。
このメールをもらった時、正直私は驚いた。
出版社ともめているカメラマンなんて、
出版社からみたらさぞ使いにくいと思うだろうし、
フリーランスの人は「よくぞ、かさこさん、言ってくれた!」
と思うかもしれないが、発注する出版社側からすれば、
いつ自分が批判される側の立場になるかもしれず、
いわば「火中の栗を拾う」ようなものだ。
しかし声をかけてくれた編集者は、
私のこれまでの写真の実績を高く評価してくれて、
こんなブログを書いている人に、
ぜひ仕事をしてくれと頼んでくれた。
こんな私に声をかけてくれる編集者なんて、
さぞや偏屈で恐い人なんじゃないかと、
ちょっとおっかなびっくりアポイントをとって会ってみると、
とても穏やかそうな人だった。
いや、きっと編集者の方も、
ブログの文章でしか私のことを知らないわけだから、
どんな人が来るのか不安に思っていたかもしれないが、
私があまりにも穏やかな感じの人で、
お互いさぞやびっくりしたに違いない。
そんなことで仕事はとんとん拍子に進み、
3月に写真集「戦う場所」が出版されたのだ。
自分にとっては夏に出版社ともめたことは、
大きなダメージだった。
新シリーズで5冊写真集を出すという仕事がふいになり、
しかもその企画をそのまま丸ぱくりで、
他のカメラマンに頼んですでに2冊が出版されようとしている。
海外のコーディネーターの方にも迷惑かけたし、
すでに手配してあった飛行機もキャンセルするなど、
これまでの段取りが無駄になったこともあった。
でもこのブログを見て声を掛けてくれた編集者がいて心底思った。
「捨てる神あらば拾う神ある」んだなって。
前にブログで「イヤな客とは無理に付き合わず、
さっさと縁を切るべき。
切って自分のキャパが空いた分、
他のいい客が入ってくる可能性があるから」
と書いたことがあったけど、まさにその通りのことが起きたのだ。
クリエイティブな職種といえども、
大企業病化し、保守的な編集者が増えるなか、
こういう編集者がいるって素敵だなと思った。
そういえば前に「かさこマガジン1」をDMのようにして、
出版社に一斉に送ったところ、
コンタクトをとってきてくれた編集者が、
こんなことを言っていた。
「編集者の仕事っておもしろい素材を見つけて、
それを引き出してあげるのが仕事でしょう。
いろんな素材にできるだけ会う。それが編集者の基本でしょう」
その通りだと思うけど、
実際にそういうことを実践している編集者はそう多くない。
でもそんな編集者がいた。
それが「戦う場所」を出してくれた編集者だ。
火中の「かさこ」を拾ってくれた編集者には、
これからもいい仕事をして応えていきたいなと思う。
そんなわけで何か仕事上でトラブルがあったりとか、
イヤな客がいたりイヤなことがあったりすることもあるけれど、
そんな時はこれまでの枠組みを変えて、
自分が大きく飛躍するチャンスでもある。
イヤなことがあった時は、しんどいし大変だけど、
でもそれはいい風に変わる絶好のチャンスがきた!と捉えて、
方向転換をしていけば、
きっと後であのイヤなことがあってよかったと、
言える日がくるんじゃないかと思います。
・火中の栗を拾って誕生した写真集「戦う場所」