









桜って、華やかというより、
なんとなく死の匂いがすると。
桜の色はと聞かれたら、
多くの人はピンクと答えると思うんだけど、
でもよく見ると意外と白っぽかったりもして、
青空ならまだ映えるんだけど、
どんよりとしたくもりの日なんかは、
雲と同化してしまうほど白く感じる時もある。
一斉に咲き誇り、でもあっという間に散ってしまう。
だからこそに儚さというか、
「死」みたいなものを感じてしまうのかもしれない。
最近は桜を見ると、ミスチルの「花の匂い」という曲を思い出す。
歌詞を書いた桜井さんが、
ちょうどその頃に父親を亡くしたという。
「永遠のさよなら」「本当のさよなら」
といった歌詞が出てくることからしても、
「花の匂い」は「死の匂い」がする曲だ。
花と死。
一見すると似つかわしくないようでいて、
でも墓地にいくとそこにはたくさんの花があふれていたりもする。
墓地に桜があるところも多い。
毎年、桜の時期になると、
家の目の前にある総持寺の墓地に行く。
桜と墓がなんとも絶妙な組み合わせなのだとその度に思う。
桜の儚さ、でも一瞬の輝きが、
まるで亡くなった人の人生を表しているかのようで、
桜が死とシンクロする。
たとえ1年間にわずか1週間ぐらいしか、
みんなに見てもらえないとしても、
でもその時はみんな花見だといって、ほめそやす桜。
それはまるで人生のよう。
一瞬でもいいから輝きたい。
そんなことを思いながら多くの人が生きているのではないか。
でも思う。
立派な花を咲かせたいなら、
一瞬でも輝きたいなら、
まずは夢の種をまかないと。
種をまかなきゃ花は咲かぬ。
夢の種まきしなきゃ、
一瞬だって輝くことなく終わってしまう。
やりたいことがあるなら夢の種をまこう。
すべてが立派な花をつけるとは限らない。
でもどれかきっと育ち、美しい花が咲くだろう。
自分で種をまかなきゃ、いつまでたっても花は咲かない。
桜を見て人生の儚さを思う。
メメント・モリ~死を想え。
1年間、突如とした大地震により、
まさか亡くなるなんて思っていなかった人が、
津波に巻き込まれて命を落とした。
私たちもまたいつどんな災害に襲われるか、
わからない世の中に生きている。
短い人生。いつ終わるかもしれない人生。
たった一度の人生。
もし半年の寿命と言われたら、
きっと目一杯やりたいことをやって死にたいと思うように、
普段から人生の有限性を感じ、
桜を見てその儚さを感じて、
桜に負けず劣らず、精一杯生きて、
1年に1度ぐらい、自分の夢の花を咲かせてみるために、
がんばってみてはどうだろうか。
そんな風に花見をする人はいないと思うけど、
桜の一瞬の輝きから死の匂いを感じ取れたら、
限りある自分の人生を、
もっと素直に、もっと正直に、もっと自由に、
生きられるんじゃないか。
場所によっても違うが、
桜の見ごろは月曜、火曜ぐらいまでで、
水曜には雨が降り、その後はくもりがちで、
やがて花は散ってしまうだろう。
仕事の合間に、ちょっと桜を見て、
この先の自分の人生に思いをはせてみてはいかがだろうか。
・目黒川夜桜写真
http://kasakoblog.exblog.jp/17722653/
・「花の匂い」も収録されるミスチルベスト盤
Mr.Children 2005-2010
・藤原新也の名著「メメント・モリ」