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猫ひろしと石原都知事~国籍、国土、国家の無意味

カンボジア国籍を取得してオリンピック代表になろうとしたが、
代表があやうくなっている猫ひろしの問題と、
尖閣諸島を東京都が買うと発言した、
石原都知事の問題は極めて似ている。

それは「国家」という概念が、
時代に合わなくなっているということを、
象徴する問題であるという点だ。

まず猫ひろし。
日本人からしたら日本人が1人、
オリンピック代表が増えるようなものだから、
うれしいかもしれないが、
もし逆のことをされたらどう思うだろう?

日本のマラソン代表は全部アフリカ人。
日本語も話せなければ日本に住んだこともない。
でも国籍上は帰化して日本。
そのせいで日本人マラソン選手は代表落選。
こうなったら日本中、大ブーイングではないか。

しかし国籍という枠組みにあてはめず、
何をもって「日本人」と定義するかは難しい。
両親が日本人から生まれた子供で、
生まれも育ちもアメリカで、日本語も話せず、
米国籍の人は「日本人」なのか。
両親がアメリカ人が生まれた子供で、
生まれも育ちも日本で、日本語達者な人は「日本人」なのか。
いろんな複雑なケースが考えられ、
どこまでが「日本人」なのかは極めて難しい。

猫ひろしのようなことは世界で多々行われている。
中国人が自国で代表になるのは難しいから、
代表になりやすい国で国籍変えて代表になるとか、
中東諸国が自国代表が活躍できるよう、
アフリカの選手を次々と引っ張ってきたりとか。

身近なところでいえばサッカーの日本代表なんて、
ブラジルから帰化した選手がよく入っている。
団体スポーツだから許容されているのだろうが、
もしサッカー日本代表が全員帰化したブラジル選手になったら、
「日本人じゃない!」と国民は騒ぎ出すだろう。
11人の中に1人ぐらいいて日本チームが強くなるから、
許容しているのだろうが、
全員が帰化選手になったら、とんでもない!規制すべきだ!
とかいう話になるのではないか。

国家間での人の移動が激しくなっている今、
はっきりいって国籍という概念が、
時代に合わなくなっているのだ。
そんな中、国別で代表選手を決めて競い合う、
オリンピックという仕組みそのものが、
もはや時代錯誤になっている。
国別じゃなくて個人別の世界大会にすればいい。
そしたら日本人マラソン選手は5~6人出れるかもしれないし、
カンボジア代表は1人も出れないかもしれない。
でもそれがほんとの実力主義の世界大会ではないか。
国別で枠があるから猫ひろしのような問題が、
これまでのオリンピックでも度々起きている。

さてオリンピックといえば、
日本で開催される見込みもなく、
ましてや仮に開催されたとしても、
税金の無駄遣いで費用対効果に見合わないのに、
お祭り騒ぎでバカな国民の人気をとり、
自分の雄姿を誇示しようとしている石原都知事を思い出す。

先日のつぶやきかさこでも、
石原都知事の発言を取り上げたように、
東京電力の原発依存度がすでに0%にもかかわらず、
原発を止めると貧乏になると、
デタラメ発言で国民を恐喝している、
とんでもない都知事だが、
先日もまたおもしろい発言をした。

「国を守るため尖閣諸島を東京都が購入する」
と言い出したのだ。
島の一部が個人所有だから国は守れない。
国が何もしないなら東京都が購入するという。

しかし土地が個人所有だと国土を守れず、
国や自治体が所有しなければならないとするなら、
尖閣だけでいいのだろうか?

石原さん、他の離島はいいんですか?
個人所有の離島を放置していて国土を守れるんですか?
そもそも東京都の土地の多くは個人所有なはずだが、
それじゃあ、外国人に乗っ取られて、
東京を守れないんじゃないですか?
土地の個人所有を禁止するか、
もしくは東京都が国土を全部購入するかしないと、
石原論法でいえば国土を守れないことになる。

そもそも中国なんかはそういう問題を防ぐために、
土地の個人所有が許されていない。
あくまで土地は国のものであって、
不動産購入というのは不動産の「使用権」を売買しているに過ぎない。

国土を守りたいなら、日本も中国と同じように、
不動産の個人所有を禁止しなければならない。
それをせずに尖閣だけ買ってどうするのか。
単なるアピールじゃないか。
じゃあ東京都の土地を中国人に買いあさられてもいいのか。
東京都にはいっぱい離島があるが、
他の離島だって極めて重要だ。
じゃあそれは買わないのか?
ようは石原のやっていることは、オリンピック招致と同じ、
思いつきと目立ちたがりだけで、論理に一貫したものがない。

だいたい石原は国土を守りたいといいつつ、
原発がないと貧乏になるから、
千葉の鋸山に原発を作ればいいとかほざく輩だ。
尖閣が中国に奪われる前に、千葉の原発のせいで、
東京都が汚染されて死の町になることぐらい、
福島原発事故を見てもこのバカ都知事はわからない。
国土を守るといいつつ、
東京都を危険に陥れることをいとわない詐欺師だ。

原発発言はさておくにしても、
このグローバルな時代に、
国境とか国土とか海域とか大気とか、
それを勝手に国が線引きすること自体がもはやナンセンス。
土地や海や空気に線はない。
勝手に線引きしたところで、
日本の放射能汚染は国境を越えて広がっているし、
中国の黄砂だって日本を汚す。
つながっているのだから線引きには限界がある。

さらにネットの発展により、
国家の規制という枠組みを超えて、
個人や企業がどんどんつながってしまう時代になり、
国家とか国境とか国籍という概念が、
以前より薄らいでいる。

もはや国家や国土や国境や国籍という概念は、
時代に適合しにくくなっており、
以前、ブログでも書いたが、
いずれ国家はなくなるだろう。
国家がなくなれば国籍も国境もなくなる。

そんなバカなと思うかもしれないが、
東京都と神奈川県の行き来にパスポートが必要ないように、
EU諸国の行き来にもパスポートが必要ないわけで、
国境という概念はすでにすたれている。

これからさらにボーダレス、グローバル化により、
ますます国家、国土、国籍といった古めかしい考え方が、
現実と合わなくなる。
時代に合わせて今までの枠組みや概念を変えていかないと、
問題はいつまでたってもなくならない。
変えなければならないのだ。

古い価値観を捨てて時代に合わせた、
新しい価値観が必要になる。
ただ価値観が変わると実力がない人間が落ちぶれてしまうから、
既得権益の老害にすがりついて、
偏狭なナショナリズムに固執する。
既得権益の老害は勇ましい発言をすれば、
国民受けするからいい加減なことを言って、
自分の利権を必死に守ろうとしている。

しかし国家や組織よりも、
個人が主役の時代になる流れは変えられない。
実力がない個人はグローバルな時代に淘汰される。
それが怖いから歪んだナショナリズムにしがみつく。
でももはや限界。
やがて国家は消えゆく運命だ。

猫ひろしの国籍問題も石原都知事の尖閣購入問題も、
時代錯誤な現実の枠組みで処理しようとするから、
おかしなことになる。
国家という根本的な枠組みから見直し、
新しい社会システムを作らなければならないと思う。

・2008/12/5 国籍という概念がすでに時代錯誤
http://kasakoblog.exblog.jp/9705220/

・2012/2/7 国家がなくなる時代がやってくる
http://kasakoblog.exblog.jp/17333763/

by kasakoblog | 2012-04-19 01:21 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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