好きを仕事にしたすごい人~プラネタリウムクリエーター大平貴之氏
2012年 05月 24日
「そんなの理想論。現実は甘くない」
と切り捨ててしまう人も多いが、
プラネタリウム好きが仕事になったすごい人が、
最近、テレビで紹介されて知った。
プラネタリウムクリエーター大平貴之氏(1970年生まれ)だ。
もしこんな子供がいたらどうだろう?
「僕はプラネタリウムが大好きです。
プラネタリウムを仕事にしたい」
多くの大人は「プラネタリウムなんか仕事にならない」
と答えるのではないか。
「好きならプラネタリウムは趣味にすれば」と。
でもこの大平氏は仕事にしてしまった。
彼は子供の頃からプラネタリウムが好きで、
小学生の時に自作でプラネタリウムを制作したという。
大学に入ってもプラネタリウム制作に没頭。
レンズ投影式プラネタリウムを作りたいと、
大学を休学してまでプラネタリウムに専念。
制作に必要な電源技術を学ぶために、
電源メーカーにアルバイトするなど、
制作にかける徹底ぶりがすごく、
個人開発では世界初となる、
レンズ投影式プラネタリウムを大学時代に作ってしまった。
とはいえプラネタリウム制作が即仕事になるかといえば、
仕事にならなかったのか大学卒業後はソニーに就職した。
彼のすごいところはそれから。
大企業ソニーに就職したらもう安泰だろうし、
そもそも社会人になったら忙しいだろうから、
仕事以外のことをするって大変だろうに、
ソニーに就職してからもプラネタリウム制作を続け、
在職中に当時のプラネタリウムが映し出せる星の数の、
100倍以上にあたる150万個の星を映し出す、
プラネタリウムの制作に成功した。
ソニーで働きながら、まったくの個人の活動にもかかわらず、
すさまじいことをしてのけたわけだ。
その功績に社内でプラネタリウムを事業化できないか、
という話もあったがやはり大企業では無理。
2003年にソニーを退職し、独立起業し、
いまやプラネタリウムクリエーターとして、
子供の頃に好きだったプラネタリウムを仕事にしている。
これからの時代は、好きを仕事にした方がいい、
と私もブログで何度も書いている。
でもやっぱり読者の中には、
「そうはいってもかさこさん、
無理なものも多いでしょう」
と思っているのではないか。
でもプラネタリウム好きが仕事にできちゃうんです。
それは好きの気持ちが半端じゃなかったから。
会社に勤めていながら、
プラネタリウム制作もしてしまう。
そのぐらい好きなことは仕事になるんです。
好きが仕事にならないのは、
好きの度合いが中途半端だから。
会社勤めしたら「忙しくてやめてしまいました」
なんてことはたいして好きではないんだろうし、
その程度の好きでは仕事になるわけがない。
「自分の好きなものが何かわからない」
という人にはいつもこうアドバイスしている。
「寝食忘れて熱中できるものは何ですか?」と。
食べることも寝ることも惜しんでも熱中してしまうこと。
会社に勤めていようがなんとか時間を作って、
どうしてもやりたいと思うこと。
それが好きなことであり、それが仕事になる可能性がある。
どんなくだらないことでも。
私はこれまで編プロに勤めるかたわら、
年間3冊平均で写真集や本を出してきた。
「よくそんな時間ありますね」
「よくそんなパワーありますね」
というが多分それは写真を撮ったり、
文章を書いたりするのが好きだからだ。
好きじゃなきゃそんなこと続けてはいけない。
でも好きだからそれが仕事になった。
文章や写真なら確かに仕事になるかもしれない。
しかし「私はプラネタリウムが大好きなんです、
仕事になりますか?」と聞かれたら、
う~んとうなってしまう。
個人ではいろいろと限界もあるだろうし、
そう需要があるとも思えないし、
いくらでも「仕事にできない理由」は思いつく。
でも好きの度合いが中途半端でなかったから、
彼は好きを仕事にできたんだと思う。
あとはきっと親の理解もあったのかなと。
子供の頃からプラネタリウム制作に夢中になっていても、
「そんなもん作ってないで勉強しなさい!」
なんて言われたら、せっかくの才能の目を、
つみとってしまったかもしれない。
でも自分の子供がそんなことしてたらどうだろう?
プラネタリウム制作より、
受験勉強しっかりした方が、
子供のためになると思うのではないか。
結局そうやって大人が子供の純真な心を、
今までの常識や価値観という物差しで考え、
叩き潰してしまう。
だから大人になっても「好きなこと」がわからないし、
いやわかっていたとしても「それはお金にはならない」と、
選択肢から除外してしまうのだ。
結果、受験勉強がんばって大学に入学しても、
就職氷河期でとにかく公務員か大企業にと就職をめざし、
でもたいして好きでもないから、
3年以内に多くの新卒入社は辞めていき、
さてでも何をしようかと考えても思いつかない。
企業に残ったとしても自分の生活の安定が最重要だから、
客のためにとか社会のために何かをしようなんて情熱はなく、
社内で出世するために、
もしくは社内でいかに摩擦なく、
ラクして働くかにばかり気を使い、
企業の寄生虫となって、
会社のためにも客のためにも社会のためにもならない存在になる。
自分が好きでもないことに熱心になるって相当難しい。
でも時代は変わりつつある。
人気企業や有名企業は、
寄生虫みたいな学生ばかりが集まってきたせいで、
成長がとまり、社会や客のためになることより、
内部の論理を優先してばかりいた結果、
JALとか東電とかみたいに、
経営がおかしくなったりする。
大企業に入社しさえすれば安泰なんて時代ではなくなったのだ。
もちろん公務員もしかり。
ならば徹底的に好きなことをやった方がいい。
はじめは仕事にならないかもしれないが、
その好きの度合いが半端なければ、
いつか必ず仕事になる。
プラネタリウムを仕事にした大平氏が、
テレビか雑誌のインタビューか何かで、
確かこんなようなことを言っていた。
「僕よりすごいプラネタリウムを作れる人はいないと思う。
僕ほどプラネタリウム好きの人はいないと思うから」
好きこそものの上手なれ。
これからは好きを徹底的に追求した人が、
幸せで楽しく、かつ経済的にも恵まれた人生に、
なるのではないか。
そういう時代がすぐそばまできている。
<関連リンク>
・大平貴之について
http://www.megastar.jp/creator/index.php
・書籍「プラネタリウムを作りました。7畳間で生まれた410万の星、そしてその後」
・月刊チャージャー2007年9月号
http://charger440.jp/200709/contents03/theme03.php
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