仕事を守るために仕事をなくせない国家は滅亡する
2012年 06月 16日
時代の変化や技術革新、人々の意識の変化によって、
必要とされるものは変わってくる。
だから、いらなくなってしまう仕事も当然世の中にはある。
いらなくなった仕事は、
自由市場経済の機能によって、必然的に淘汰される。
「こんなものはいらない」と多くの人が思えば、
その商品やサービスは売れなくなり、
その仕事がなくなるのは必然なのだ。
ところが不要な仕事をしている人にとってみたら、
仕事がなくなることは死活問題だ。
本来なら市場原理で淘汰されるものを、
政治や官僚やマスコミに働きかけ、
市場原理をねじまげ、
消費者のニーズや社会の要請を無視し、
おかしなルールを設けたりして、
その仕事を無理やり守ろうとする。
これが世に言う既得権益だ。
1つ、わかりやすい例え話をしよう。
(これは作り話であって実際の話ではないが)
一昔前、ケータイがなかった時代に、
連絡を取る手段にポケベルというのがあった。
しかしケータイという便利なツールが出てきてしまった。
世の中の人はポケベルという不便なツールより、
便利なケータイの方を使いたいと思う。
ポケベル関連会社が、
ケータイが普及してしまうと、
自分たちの仕事がなくなってしまう。
そこでポケベル会社が政治家や官僚やマスコミに働きかけ、
ケータイを普及させないように働きかけたとする。
政治家や官僚はケータイ販売のルールを厳しくして、
容易に販売できないようにしたり、
高い税金を課して高い値段になるようにしたり、
マスコミはケータイが普及すると、
いかに青少年に悪影響を与えるかを、
もっともらしく報道する。
このようにして、いらなくなるべきものがなくならず、
人々が欲しいものが手に入らないといった社会になる。
(これはあくまで例えであって実際の話ではない)
結果、どうなるか。
既得権益を守るために無駄な税金が投入される。
社会が便利になり活性化するためのツールが普及しない。
人々が不便。
新しい技術やサービスを開発した会社が成長できない。
よって、国全体が衰退しているとこうなるわけだ。
日本で起きている不可解なことは、
そのほとんどがこの既得権益で説明できる。
自動車メーカーだけを有利にさせるために、
円高介入を無理やりさせるとか、
新聞なんかとっくにいらず、
ネットニュースを充実させればいいのに、
印刷工場と配達網と代理店を潰せないから、
ネット新聞はバカ高い料金設定にするとか、
音楽を聴くスタイルが、CDではなく、
ネット閲覧に変わってきているのに、
ネット上で音楽や動画を違法ダウンロードする行為に対し、
2年以下の懲役または200万円以下の罰金という厳罰に処して、
CDの販売減少が食い止められると、
大いに勘違いしている業界団体とか、
1000円格安理髪店に売上を奪われたから、
高くてサービスの悪い従来の理髪店団体が、
洗面台の義務化を政治に働きかけたりとか、
この世は既得権益ではびこっている。
時代に合わなくなった仕事やサービスや製品が、
市場原理で淘汰されるべきはずなのに、
仕事を守るために仕事をなくせないという、
おかしな社会ができあがっている。
そしてその最大の既得権益が原発だ。
原発はなくても電力はまかなえる可能性が高い。
実際、東電は福島原発がまったく動いていないのに、
今年の夏は計画停電もなく電力は足りる。
大変なのは関西電力圏なのだが、
はじめ関西電力は、
原発がないと約15%と電力が不足すると脅していたのに、
ちゃんと試算したら足りないのは5%でしたと修正した。
一体この不可思議な発表はなんだろう。
でもとにかく原発という巨大な魔法の箱を動かさないことには、
多くの人が職を失ってしまう。
夏、暑ければ暑いほど電力が必要なら、
太陽光でいいじゃないかと思うのだが、
太陽光や風力などの自然エネルギーは、
儲からないのか人手が少なくて済んでしまうからなのか、
いろいろなんくせつけて何が何でも原発ありきで進めている。
ましてや電力は独占業界。
家庭は電力を選べない。
だから市場原理は働かず、
事故の危険性があろうがなんだろうが、
政治決定されてしまえば、
いらないサービスでも断れない、
代わりのサービスを選べないという、
おかしなことが平然と行われている。
ただここで注意すべきなのは、
「野田首相」という1人の政治家が、
すべて悪いと勘違いしないことだ。
実際に大飯原発再稼動にあたっては、
福井県知事もおおい町町長も賛成している。
つまり政治家=国が悪で、
原発地元=かわいそうな被害者なのではない。
原発が動かないとメシの種がなくなるから、
何が何でも動かしたいのは、地元も同じむじななのだ。
福島原発の時もずっとそれを感じていた。
福島県が首都圏のために犠牲になって原発を引き受けている?
とんでもない誤解だ。
過疎自治体にドル箱が欲しいため、
率先して原発を誘致したのは地元自治体だ。
無論、原発の安全性について、
政府、官僚、学者、マスコミ、電力会社から、
虚偽の情報をもたらされて安全だと信じて、
誘致してしまったという意味では被害者かもしれないが、
でも原発の安全性は前々から問題になっており、
地元でも反対する人もいたにもかかわらず、
目の前の金=仕事にめがくらんで、
誘致したのは他ならぬ地元なのである。
つまり原発事故が起きた場合、
原発事故を起こした地元は被害者であるかもしれないが、
他の地域の加害者という面もある。
ならば彼らが原発事故で被害にあい、
かわいそうだからと税金で生活支援され、
他の地域から義援金を受けるのはおかしなことになる。
むしろ今まで原発を誘致してボロ儲けしたが、
今回の事故で多くの人たちに迷惑をかけたのだから、
逆に原発立地の自治体が他の自治体に損害賠償をしなければならない、
というのが本来の筋ともいえる。
原発が安全かどうかではなく、
原発を動かさないと仕事がなくなってしまうから、
動かさないといけない。
いらない仕事を守るために仕事をなくせない国家は、
やがて滅びる運命だろう。
仕事は社会に必要とされるから存在するものであり、
時代が変わればいらなくなる仕事もある。
しかしいらない仕事を守るために、
おかしな働きかけをする人たちがいるせいで、
社会全体、経済全体が衰退している。
かさこマガジン2でも書いた通り、
「既得権益はあなたです」なのだ。
既得権益をなくさなければ、
この国の衰退は必然だと思う。
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