日本社会の問題を「そば職人」に例えて解説
2012年 06月 23日
えっ~~~~、何それ。
日本という国は借金まみれで大変な事態になっていました。
借金を返すためには増税しかありません。
消費税50%増税することが決定しましたが、
増税されてはひとたまりもありません。
様々な業界団体が政治家に働きかけ、
自分たちの商品だけは増税しないよう働きかけました。
うどん団体は団体会長が業界の行く末と、
うどん文化の行く末を案じ、熱心に政治に働きかけたため、
消費税0%を勝ち取りました。
しかしそば団体は会長が職人肌の人で、
若手から「そばも増税しないよう働きかけてください!」
と多くの嘆願があったにもかかわらず、
「俺はそういう柄じゃねえ。
政治に働きかけるなんてお門違いだ。
俺はいいそばを作るだけだ!」
といって政治への働きかけは一切してくれませんでした。
若手は仕方なく、自分たちで陳情に回りましたが、
政治家の人たちは、団体の会長でもない、
若造が来てもまったく相手にせず、
結果、そばだけ消費税50%にされてしまったのです。
「このままじゃ日本にそば文化が消えてなくなってしまう!」
「というかこのままじゃ、俺たちは生きていけなくなってしまう!」
若手のそば職人たちは危機感を募らせていましたが、
そば団体の会長はまったく気にしている様子はありません。
「おまえら、うるせえ!
そば職人なら職人らしく、消費税がどうとかいってないで、
いいそばを作ってりゃいいんだ!」
会長のその言葉に多くの若いそば職人は違和感を覚えました。
「会長はいいよな。店のローンも返済しちゃったし、
年金も十分もらえる世代だから、
生活の心配なんかなく、そばを作ってられるからいいけど、
俺たちはそうはいかない」
若いそば職人たちはもう一度みんなで集まり、
陳情活動を行いましたが、
一度決まってしまった増税をひっくりかえすことはできず、
みな、店をたたんでしまいました。
会長は一人、いいそばづくりに励んでいましたが、
誰も食べる人はいないまま、
10年後になくなってしまいました。
こうして日本からそばを食べる文化が消えてしまいましたとさ。
めでたしめでたし。
・・・・
もう1つのシナリオ
若いそば職人たちは、そば文化をたやさないよう、
ある工夫をしました。
材料の仕入先を変えて、コストを半減。
それにより、消費税増税前と同じ金額で、
そばを売ることができるようになったのです。
多くのそば好きの人たちは、
若いそば職人たちが価格を抑えてくれたことを歓迎し、
消費税増税後もそばを食べるようになりました。
しかし一部のそば通を自称する人たちは、
「こんなのそばじゃねえ!邪道だ!」と文句を言いました。
若いそば職人たちはこうした消費者に熱心に説明しました。
「確かに材料は変わりました。
でもそば本来が持つ魅力には何の変わりもありません。
食わず嫌いで先入観で安いから質が悪いと考えず、
どうか一度、食べてから判断してください」
しかしおたかくとまったそば通の人たちは、
材料を変えて価格が安くなったというだけで、
そのそばはまずくなったと決め付けていたのです。
そこで若いそば職人たちは考えました。
会長の作ったそばと、自分たちが作ったそばを食べ比べてみて、
どっちがおいしいか判断してもらおうと。
自称そば通の人たちが100人集まりました。
どちらがうまいそばだったか食べてもらい集計したところ、
会長のそばがうまいという人が50人、
若いそば職人のそばがうまうという人が50人という結果になりました。
若いそば職人は新しい技によって、
材料を変えてもこれまで通りのそばの味を再現することに、
成功していたのでした。
自称そば通の人は、材料がこれまでと違っても、
安くてもおいしいそばがあることに気づき、
若い職人の店にそばを食べにいくようになりました。
こうして日本のそば文化は守られたとでした。
めでたしめでたし。
・・・・・・・・・・・・
※言うまでもありませんが、
実際の話ではなく例え話です。
そば団体もうどん団体も架空の作り話です。
日本の社会は良くなっていますか?悪くなっていますか?
あなたが勤める業界は良くなっていますか?悪くなっていますか?
あなたが勤める業界の未来は明るいですか?暗いですか?
それで、あなたは今、何をしていますか?
自分の職務だけまっとうしていればいいと、
業界の問題点には目をつぶり、
発言することや提案することを控え、
目立たないように目立たないようにと行動し、
ただ自分の仕事さえやっていれば、
とりあえずは給料がもらえる。
そんな態度ではありませんか?
かつて日本は輝かしい未来にあふれていた。
右肩上がりで経済成長し、
いろんな物が買えるようになり、
次々と便利なものが登場し、
例え給料が安くても、労働時間が長かったとしても、
未来が明るかったからがんばれた。
でも今はどうでしょうか?
自分の業界や会社に明るい展望があるでしょうか?
仕事量は増えるだけ、給料は増えない、
残業時間は増えるだけ、でも残業代はもらえない。
なぜそうなっているのか、
みんなうすうす気づいている。
ここが悪い。あそこが悪い。
細かなところから大きなところまで、
みなそれぞれ「ここを改善すればもっとよくなるのにな」と。
でも言えない。
それを言って上司に逆らったり、会社にたてついて、
評価してくれればいいが、
「余計なことをいうな」と言われるのが関の山だ。
だからみんな問題点はわかっていながら、黙っている。
「俺は俺の仕事をやれば、それで責任はまっとうした」
と横の連携なく、タコツボ化する。
こうして問題がどんどん深刻化し、
やがて会社全体、業界全体が立ち行かなくなり、
結果、みんなリストラになってしまう。
それは船の底に穴が開いて水が入ってきているのに、
「俺の仕事は穴をふさぐことじゃない」といって、
懸命にかいをこいでいるだけに過ぎない。
穴が開いているのをみな指摘しないのは、
その穴を開けたのが会社の中で一番えらい、
社長の経営判断だったりするからだ。
社長のミスを指摘したら首が飛ぶ。
だから船に水が入ってきているのに、
穴が開いたことを報告できず、
「どうか私が勤めている間は、逃げ切れますように」
と祈るだけで、誰も指摘しない。
ただ最近入ったばかりの若手は別だ。
なぜならまだこの船に何十年もいなければならない。
このままでは10年ぐらいで船が沈んでしまうだろう。
だから早急に対処すべきだと上司に言うのだが、
上司はそこから上に話を通そうとしないのだ。
なぜか。
その上司はあと5年で定年。
今、社長にケンカふっかけるより、
5年間おとなしくしていれば、
沈む船から抜け出せるからだ。
今の日本社会はこんな風になっているような気がする。
若手は必死だけど、逃げ切り世代は事なかれ主義。
だから問題が放置されたまま、
どんどん深刻化してしまう。
そこで若手が新しい提案や方法を実践しても、
「そんなやり方じゃダメだ」と、
今までの常識と価値観に縛られ、
判断してしまう人が足を引っ張る。
これが今の日本社会の縮図のような気がする。
このままでは日本はギリシャのようになる。
問題を見て見ぬふりをするのではなく、
世代を超えて協力し合い、
痛みを伴うかもしれないが、
権力を持った人間との面倒な戦いに巻き込まれるかもしれないが、
自分の仕事だけしていればいいというのではなく、
まず開いた穴をふさぎ、その状況でも動き出せるよう、
新しい方法を模索しなくてはならない。
日本は変わった。世界は変わる。
あなたは変わった?
既得権益はあなたです。
(「かさこマガジン2」より)
変われない国、人、組織は沈没する。
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