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復興の兆し?1:被災地に観光バス続々。テントで営業する津波被災者

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「被災地で去年と大きく違うことといえば、
団体観光客を乗せた観光バスがいっぱい来ていることですかね」

あるボランティアがそう言っていた光景を、
私も目の当たりにした。
津波被災地に続々と大型観光バスが来るのだ。
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2012年7月8日、日曜日。
津波で町がほぼすべて壊滅し、
廃墟と化した宮城県石巻市門脇町・南浜町一帯に、
私がいた1時間で約10台は観光バスが来ただろうか。

この一帯はガレキもほぼ片付けられ、
壊れた建物もほとんど解体され、
何もない更地のようになっているのだが、
骨組みだけ残されたコンビニの横に、
駐車場が整備されていて、
そこに続々と観光バスが駐車する。

バスからぞろぞろ20~30人の観光客が降りてきて、
地震、津波、火災被害で今もなお震災の傷跡が残る、
門脇小学校などにカメラを向けて立ち去っていく。
なんとも異様な光景だった。
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まだ傷跡が痛ましい小学校のグラウンドで、
小学生が野球の練習をしているのもなんとも異様な光景だったが、
やる場所がほとんどないのだから仕方がないとは思うが、
子供たちの心境ってどうなんだろうとか考えると、
なんとも複雑な心境だった。
※下記は2011年4月20日撮影
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私は震災後、この場所に2011年4月20日に来た。
まだガレキだらけで足の踏み場もない大変な状況だった。
車も建物もひっくり返ったままだった。
ところが2011年10月11日に来た時には、
きれいに片付けられて、ほとんどが更地になっていた。
ただその時にはまだ観光バスはいなかった。
3連休だったにもかかわらず。

私は被災地観光は基本的にした方がいいと思っている。
1つは、テレビや新聞じゃなく、自分の目で現場を見ると、
リアリティも違うし、何か強く感じるものがあるはずだということ。
もう1つは、現地にお金を少しでも落とすきっかけになるからということ。

そうは思っていたが、個人で来る分にはそんなに目立たないのだろうが、
大型バスで何十人も降りてくると、ものすごく目立ち、
被災地の写真を撮影している私が言うのもなんだけど、
なんだか被災地が見世物のような気もして、ちょっと複雑な思いもした。

そこから数十メートル先にも、
観光バスが止まっているスポットができていた。
2011年4月20日に訪れた時にはすでにあった、
廃墟と化した町に「がんばろう!石巻」と書かれた、
たて看板の周りがこれまた整備されていて、
観光客がそこも訪れていたのだ。
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※下記は2011年4月20日の状況
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その前に仮設テントができていて、物を売っている店があった。
なんとそこで店を開いている1人は、
まさにこの津波で流されてしまったこの場所で、
洋品店を経営していた人だった。
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「津波で店、流されて、今、借上住宅に住んでるけど、
何かしなくちゃはじまらないし、
お金も稼がなきゃやってけないから、
それで今年3月頃から店を始めたのよ」
と、ここで洋品店を経営していた遠山弘毅さんは語る。
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観光バスが多い土日限定で店を開いている。
「ただ、ここで洋服売っても売れるわけないから、
名産品仕入れてきて売っているのよ」と説明してくれた。

「とにかくよ、ここに県外の人が、
来てくれること、そして見てくれることが一番ありがたい」
そう話してくれたのがとても印象的だった。
できるだけ現地の状況を知ってもらおうと、
テントには311直後の写真を新聞社などから借りて展示している。

もちろん現地の人には観光バスが来ることを、
心情的によく思わない人もいるだろう。
同じくここで家を流された人に聞くと、
「まあなんか感じてくれればいいんだけどね」
とちょっと複雑な表情を見せていた。

でもそうでない人もいて、
遠山さんのように、バスが来ることをきっかけに、
一歩歩みだそうとしている人もいる。
観光客もただ更地となった津波被災地の写真を撮るだけでなく、
ここで遠山さんと話で被災状況を聞いたり、
物を買って支援ができれば、
それはいい経験になるに違いない。

※写真比較:上は2012年7月撮影、下は2011年4月撮影
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そんな風に被災地は少しずつ変わりつつある。
もちろん阪神大震災なんかの状況と比べたら、
カメのような復興の遅さなのかもしれないが、
かすかではあるが復興の兆しが、
少しずつかいまみえてきた。

ぜひまだ被災地に行ったことがない人は、
自分のこの目で被災地を見て、
できればどこかで被災者の話を聞き、
そしてお金を落としていくといいのではないかと思う。

でもできれば今度、どこかで災害があった時は、
もっと早くきて、ボランティアをする方がいいと思うが。

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by kasakoblog | 2012-07-10 23:50 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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