被災地からの贈り物～義援金もらいっぱなしではない田代島にゃんこ共和国

簡単にお金をあげる行為が横行していることに疑問を持っていた。
東日本大震災によって、いいか悪いかは別として、
困っている人にお金を支援することの敷居が下がり、
クラウドファンディングなど、
ネットでお金を集める手法も普及した結果、
「支援してください！」「困っています！」といえば、
あまりにも不用意、簡単にお金が集まる兆候に不安を覚えている。

見返りを求めず困った人を助けることは素晴らしいことだ。
どんな物にも換えられるお金というのは、
物資を送られるよりありがたいという面もある。

ただ、
・この人・この団体にお金をあげることがためになるのか
・他の支援の仕方があるのではないか
・この人・この団体はどんなことにお金を使うのか
・あげるより貸した方がいいんじゃないか
・この人・この団体の言っていることは本当なのか
といったことが、きちんと吟味されないまま、
「オレは困った人に支援してえらい」という自己満足や、
「困っている人を助けないのはおかしい」という脅迫的正義感や、
「みんながしているから私もしなくちゃ」という同調圧力で、
あまり深く考えず、お金をあげてしまう行為はどうかと思う。

サラ金に勤めていたからというわけではないが、
お金というのは本当に怖い。
特に友人間・恋人間などで金の貸し借りをしたりなんかすると、
人間関係がねじまがり、大きなトラブルになりかねない。
不用意に支援するというのはあまりいいことではない。

そんな中、東日本大震災で大きな打撃を受けた、
猫が神様の島、宮城県石巻市田代島から封書が届いた。
「田代島にゃんこ共和国」から届いたのは、
猫のポーチと猫の手ストラップだった。
おお、やっときたな！と思わずニッコリした。

田代島が独自に義援金を集め始めたのは１年以上の前のこと。
人的被害は少なかったものの、
島の産業である養殖施設が津波で流され、
１億5000万円ものお金が必要になった。
しかし石巻市自体も大きな被害を受けており、
過疎化する離島に予算が回るかもわからない。
かといって漁師だけで立て替えることができる金額ではない。
そこで2011年6月に、全国の猫好きのみなさんに呼びかけ、
島独自の義援金プロジェクトを立ち上げたのだ。
私も田代島には猫撮影のため何度か訪れていたので、
１口１万円だけ支援した。

この義援金プロジェクトは単にお金を一方的にもらうだけではなかった。
１口支援に対して、この猫グッズをプレゼントするとともに、
何年か後に養殖施設が復活したら、牡蠣を送ってくれるというものだ。

私からすれば、いやきっとこのプロジェクトに賛同した多くの人は、
いや別に復興のために資金を使ってくれたらいいし、
別に猫グッズや牡蠣プレゼントなどなくても支援をしたと思う。

でも猫好きだからこそ、
この島を支援したいという思いがあったので、
牡蠣はともかく猫グッズをもらえるのは何気にうれしかった。

そして何よりも猫グッズとともに、
支援金で牡蠣棚を11台設置したことなど、
現在の状況が報告されているのが何よりうれしい。
また行こうかなとも思えるし。

誰だってお金は大切だし、
実際にいくらお金を持っているかではなく、
お金を十分持っていると感じている人なんてそう多くない。
そうした中でここなら大丈夫だろうとか、
助けたいと思ったところにお金を支援する。
それがこういう形で報告とお礼がくると、
よりファンになり、関わっていきたいと思うようになる。

お金だけあげて、お金だけもらって、はい終わりではなく、
被災地からもお礼がくるのはうれしい。
猫の島という観光が支える島だからこそ、
それがまた再訪の呼び水となり、復興につながる。

支援がお金の一方通行ではなく、
こうした交流のきっかけになることこそが、
本当の助け合いであり復興なんじゃないかと思った。

また行きたい。
あとは早く津波で流された唯一の公衆トイレの完成が待ち遠しい。

・2011年10月に田代島にゃんこプロジェクトのスタッフに取材した記事
http://kasakoblog.exblog.jp/15939618/

・田代島の猫写真（2011/10）
http://www.kasako.com/1110tashironeko.html

・田代島の猫写真（2010/1）
http://www.kasako.com/1001tashirofoto.html

・田代島の猫写真（2006/12）
http://www.kasako.com/06tashirofoto1.htm

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