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これぞ本物の起業家!最年少上場社長は生き方・働き方の新モデル

25歳で最年少上場を果たしたリブセンスの社長村上太一氏を描いた本、
「リブセンス」上阪徹著を読んで、
やっとまともで素晴らしい、次世代の本物の起業家が出現した!と、
本を読んで感心しきりだった。

最年少上場なんてキャッチコピーは、
いまやマイナスイメージなんじゃないかと思うほど、
かつての起業家ベンチャーブームで、
嫌気がさした人が多いのではないか。
私もそう思っているので、
「最年少上場の社長本」というキャッチコピーを見て、
買うのをやめていた。

だってうさんくさいじゃないですか。
金の匂いがぷんぷんし、うまいこと時流にのって、
ベンチャーキャピタルから金をかき集めて、
うまいこと組織を倍倍ゲームで大きくしたら、
六本木で羽振りのいい生活をしていますみたいな。

直前に高級自慢をする「スーパーフリーエージェントスタイル」という、
フリーエージェントでも何でもない、
単なるねずみ講まがいのビジネスで成功し、
高級車がどうのとか高級マンションがどうのとか、
年商を何億円にするとか、
そういう中身がなくただ数字だけに憧れを抱いている、
「田舎者」の本を読んでいたから、余計にそう思ったのかもしれない。

そもそも今、日本で企業が上場することは、
メリットよりデメリットの方が多いという認識に変わっている。
上場しても株式市場は低迷続きで、
資金調達がかつてより期待できない。
それどころか上場を維持するためのコストがバカにならない。
挙句の果ては、買収防衛策などを考えなければならず、
うるさい株主も増えると、
経営者の一存で機動的な経営ができにくくなる。

結果、日本株市場ではむしろ、
上場しているのに上場をやめる企業が増えており、
新規上場も激減している。

しかしこの「リブセンス」の社長は本物だった。
本物というか、今も前近代的な価値観に基づいた、
生き方・働き方をしている人にとって、
新しいモデルを提示しているかもしれない。

25歳で上場したのに、
引っ越したのは学生が住んでいるような、
8畳一間のマンションで、冷蔵庫もないという。
高級車にも高級ブランドにも高級マンションにも興味なし。

「ブランドがいいといわれても、
本当にそれがいいのか自分で納得しないと、
受け入れられない」
「そもそも、モノに関心がないというか、
モノを持ってもうれしくないんです」
とそっけない。

ではなぜ起業し、ビジネスをしているのか。
「人に喜んでもらうことが子どものころから好きでした。
だから、このサービスがあって良かったっていわれるようなものを作りたい」
「人々の不便をなくし、世の中の役に立ちたい」

若い起業家の多くに見受けられる傾向、
それは社会に役立つからビジネスをする前に、
儲かりたいから、起業がかっこよさそうだから、
会社員がイヤだから、上場したいから、
みたいな理由が多いだろう。
だから金儲けに走り、道を踏み外す。

ところが彼は自分が不便に感じたことを事業にしている。
自分がアルバイトを探した時、
求人サイトを見てもいいアルバイトがない。
ところが求人サイトには載っていない、
店舗で直接アルバイト募集しているところもある。
探すのが面倒だ。

なぜこんな不便なことが起きているのか?
それは求人サイトに掲載するには、
高い広告掲載料が必要だからだ。

そこで彼はこんなアルバイトサイトを立ち上げた。
広告掲載は無料。
採用が決まったらお金を支払ってもらう。

なんとも革命的な発想の転換。
でも企業からしたら求人広告に金をかけて、
採用がろくにできない現状に不満を持っているから、
このサイトは画期的だ。
さらにアルバイトをしたい人を集めるために、
アルバイトが決まると祝い金がもらえる仕組みを導入。
無料でアルバイト情報を提供するだけでなく、
アルバイトにお金まであげちゃう。

「こんなんで儲かるの?」と言われたという。
「ビジネスモデルが甘い」と指摘されたこともあるという。
はじめの1年は厳しかったという。
しかし、世の中の不便をなくし、
求人広告を出す企業も、
アルバイトを探す人も幸せになることをすれば、
サイトに人が集まってきて、自分たちも利益を得られるはずと考えた。

結果、売上は急増。
大学1年生、2006年に起業し、
2011年に上場を果たす急成長を遂げたのだ。

まだ25歳ですよ。
それで最年少上場なんかして、
巨万の富が転がり込んできて、
メディアに取り上げられたりしたら、
うわついて派手な生活したくなったりしても、
おかしくはないと思う。

でも彼はビジネスを金儲け第一主義でやっていない。
本気で人の役に立ちたいと考えている。
でもだからといってボランティアなわけでもなく、
しっかりビジネスとして結果も残している。

前近代的な起業家や経営者みたいに、
今後は年商うん億円にしてやるとか、
そういう話がほとんど出てこない。
六本木ヒルズにオフィスを構えたいだとか、
従業員を何千人にしたいとか、
そういううわっつらのスペック的な話は皆無。

別に清貧を気取っているわけではなさそうだ。
そんなもん、したって意味がない、つまらない、
無駄だと思っているからではないか。

自分が欲しいと思ったものや、
生活が便利になる機能的なものは買うんだろうけど、
単なる対外アピールするための、
お飾りグッズには興味がない。
数字で成功を判断する前近代的な価値観は持ち合わせていない。
ただみんなが喜ぶこと、
社会になくてはならないサービスを作ること、
それが楽しくて仕事をしているといったスタンスだ。

やっと本物の起業家が現われた。
「スーパーフリーエージェントスタイル」なんて本を、
その直前に読んだせいか、
同じ若い起業家なのに、こうもビジネスに取り組むスタンスが違うのか、
お金の使い方や物に対する価値観が違うのか、
人間としてまったく格が違うことを、
より鮮明に印象に残った。

でもこれからはこういう人が増えてくると思う。
年商1000億円あげたところで、
だから何?自分は幸せなの?
それで誰の役に立っているの?って話。
目的と手段が間違っているのだ。
この村上社長のように、
人の役に立つことを愚直にやっていったら、
後からお金がついてきました。
だから数値目標ありきではない。

若い起業家だけではない。
老害と化した経営者にも、
この25歳の最年少上場のこの言葉を聞かせてあげたい。

「日本は今、目の前のことさえよければいいという
考え方をする人が多くなっていないでしょうか。
やっぱりそれでは、負けてしまう……」
「どんなマインドで仕事に向かっているか。
本当に相手のためを思っているか。
それが問われてくるんだと思うんです」

目先の利益ばかりを追い求め、
自分の生活も社員の生活も犠牲にし、
顧客満足も本音の部分では考えず、
数値目標を達成することばかりにしか頭がいかない人たち。
そういう人たちが長期的にみて、
日本を衰退させ、日本の国民を不幸にさせているのではないか。

でももうそんなことは通用しない時代になった。
物欲に洗脳されない若い世代が増えてきたからだ。

新しい生き方・働き方を志向する、
本物の起業家が現われたことを本書で知り、
まさにライターの筆者が書いているように、
「まだ日本は捨てたモンじゃない」と思える。

ただ残念ながら本としては、
ややおもしろみに欠ける部分もある。
学生時代のエピソードはそれほどおもしろいものでもないのに、
インタビューしたことを全部書いているせいか、
「別にすごい考えとかすごい行動ではないよね」
というのが賞賛調で書かれているので、
かえって引いてしまう部分も多い。

また学生起業時代のエピソードもそれほどおもしろくはない。
単に「学生だから無給で長時間働かせたから、
成功しただけじゃん」と突っ込みを入れたくなる人も多いだろう。
1冊の本にするありきでスタートしたせいか、
たいしたことないエピソードが多く、
話としておもしろい部分は残念ながら少ない。
ただ逆にいうとそのぐらい「普通」なのだ。

とんでもない飛びぬけたことはしていない。
ただ1点だけ、ひたすら客の幸せを考える。
これに徹底しているという点は、
ホントにそんなんで成功しているんだという意味で、
非常に興味深い。

ぜひ「スーパーフリーエージェントスタイル」と対比して、
この本を読んでみると、
ビジネスの本質とは何か、素晴らしい起業家とは何か、
今後、生き残っていける会社とは何かがわかると思います。
まああんまり「スーパーフリーエージェントスタイル」を勧めることで、
どうしようもない起業家が儲かってしまうのは本意ではないので、
「リブセンス」だけ読んでいただいた方がいいのですが。

・「リブセンス」上阪徹著

・「スーパーフリーエージェントスタイル」与沢翼著

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by kasakoblog | 2012-10-18 00:05 | 書評・映画評

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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