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電子書籍なのに縦書きで本を売る日本の出版社の前近代性

電子書籍の本命アマゾンのKindleがついに日本でも発売されるそうだが、
日本の出版社の電子書籍に対するやる気のなさはピカ一だ。
日本の出版社はただ紙の本を“自炊”しただけの、
スキャンしたものを「電子書籍版」と称し、
紙の本との価格差もあまりなく、売っている。
これでは電子書籍など日本で流行るわけがない。

なぜ縦書きなのだろうか?
端末を考えれば横書きの方が読みやすいのではないか?

例えば、新聞は縦書きだ。
でも新聞社のニュースサイトが縦書きだったらどうだろう?
えらい読みにくい。
まあそんなバカなことをしている新聞社はない。
紙と同じニュースであっても、
きちんと「編集」し、横書きにして、
パソコンなどで見やすくして、
写真などもカラーで載せている。

しかし紙の書籍ではそれはほとんど行われない。
それなら単なる自炊屋と変わらないではないか。
価格差もないのだから、
だったら紙の本で買った方がいいというのが、
必然的な流れだろう。

15年前に自費出版をした。
内容は稚拙でどうしようもないが、
ただその時に横書きの本を出して多くの人に驚かれた。

「縦書きじゃなくて横書きなんですね」と。
確かに紙のものは縦書きが多い。
横書きの紙の書籍も販売されているが、
絶対数でいうと縦書きの方が圧倒的に多いだろう。
そのせいか紙の本で横書きに対して、
違和感=読みにくさを感じる人も多いようだ。

なぜ私はその時、横書きにしたかというと、
原稿を打っていたのがワープロソフトで横書きだったからだ。
今はパソコンに変わったが、
縦書きで文章を打つ人がどれほどいるだろうか?
多くの人は横書きのはずだ。
パソコン上で書いたり読んだりする際は、
縦書きはかなり読みにくく、
横書きが一般的だろう。

電子書籍のデバイスも縦書きで読むにはつらいと、
個人的には思う。
でも横書きだったらもうちょっと読みやすくなるのではないか。
特にビジネス書などによっては、
英語や数字も多いので、縦書きだと読みにくさを助長する。

でも出版社は横書きになんかわざわざしたくない。
手間がかかるからだ。
だから紙の本をそのままスキャンしただけの、
読むツールに合わせた読みやすさを考えずに、
「編集なき電子書籍」を電子版と称して、
紙の書籍と変わらない値段で売る。
ようはやる気がないのだ。
仕方がないから対応するけど、
できれば今までのビジネスモデルを崩したくないよね、
という非常に後ろ向きな姿勢が見てとれる。

だから電子書籍の本命Kindleが日本で発売されたところで、
日本で電子書籍は流行らないだろう。
漫画とか写真集とかはそんなに気にならずに読めると思うけど、
電子端末で縦書きを読むのはあまりにも読みにくい。

でも出版社が媒体に応じたコンテンツの配信の仕方を考えず、
編集なきまま紙の本をスキャンするような、
バカげた電子書籍を出し続けるとするなら、
もはや自らの存在価値を放棄したに等しい。

なぜ出版社が著者と読者の間に介在しているのか。
それは読みやすいよう「編集」するからではないか。
編集作業を放棄して自炊した電子書籍ばかり売るようでは、
出版社が介在する必要はない。

実際、Kindleでは著者自らが出版できる、
ダイレクト・パブリッシングサービスがある。
出版社が間に介在した分の価値を発揮しないのであれば、
著者自らが電子書籍に適した、
低価格の横書き書籍を出版したりすればいいだけの話。

ほんと日本って変化をチャンスと捉えるのではなく、
変化は面倒、できれば対応したくない、
今のままのビジネスモデルを継続したいと考えるせいで、
消費者に背を向けたせいで、
プラットフォームやデバイスを、
次々と外国製のものに奪われているのだと思う。

いずれにせよ日本で電子書籍が流行るには、
電子書籍業界の「ドラクエ」が必要だろう。
例えば村上春樹が最新刊をKindle版のみで販売するとなってはじめて、
電子書籍が定着する第一歩となるのではないか。

読みにくいコンテンツを垂れ流す日本の出版業界では、
デバイスを買っても読む本がないから、
紙の本でいいという結論になってしまうだろう。

まあそれを日本の出版社は狙って、
わざと読みにくく、かつ価格も安くない、
電子書籍を出しているのかもしれないが。

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by kasakoblog | 2012-10-26 23:09 | マスコミ

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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