冊子5500部を自腹で印刷し、無料配布する奇特なブロガーインタビュー
2013年 01月 27日
配送料だけでも44万円かかるよな・・・。
世界各地の美しい写真が散りばめられた、
40ページに及ぶフルカラーのミニ写真集的冊子なるものを、
個人で5500部も刷り、希望者に無料で配るという、
奇特なことをしているのが、ブロガーであり、
カメライターというへんてこな肩書きのかさこさんだ。
(カメラマン兼ライターという造語)
なぜこんな奇行に及んでいるのか?!
かさこさんにかさこさんが話を聞いた。
Q:冊子現物を見て、正直驚きました。
無料というのでもうちょっと、
ちゃっちいものを想像していたのですが、かなり立派だったので。
かさこ:無料といえども、私の活動を代弁する重要なツールですので、
ちゃちいものは作るわけにはいきません。
それに編集、ライター、カメラマンが私の本職です。
冊子を作る仕事はもう15年もしていますので。
Q:というか、このマガジンに載っている写真は、
全部かさこさんが撮ったんですよね?
かさこ:講演風景の写真と私自身が写っている2枚の写真以外は、
すべて私が撮影したものです。
カメラマンとしての作品を見てほしいという思いもあって、
冊子を作っているので、写真をできるだけ多く掲載しています。
Q:それだけでも驚きなのですが、
これを5500部も刷って、無料で配るって、
言い方は悪いですが「バカ」だと思うのですが・・・。
かさこ:バカなことをとことんやる。
そうじゃなくっちゃ、おもしろくないじゃないですか。
一般常識ではおかしいと思うことこそ、徹底してやってみる。
それがゆくゆくは自分にとって大きな財産になるんです。
Q:あの、ぶっちゃけ、いくらお金かかっているのでしょうか?
非公開なら別に答えなくてもいいのですが・・・。
かさこ:印刷代で約40万円。
デザインはプロのデザイナーに外注していて、その費用が約10万円。
配送費は現時点で約2000部配送しているので約16万円。
今後も配送はしていくので、配送費は増えると思いますが、
現時点ではざっと約66万円です。
Q:66万円!かさこさんって資産家ですか?!
かさこ:違いますよ!
フリーランスのライター、カメラマンですから、
収入は決して高くないです。
ただ「かさこマガジン3」では広告募集して、
9人の方に出稿いただいたので、広告費で印刷代はペイできました。
Q:個人の冊子なのに広告が入っているのも斬新ですよね。
でも広告入れたらセルフマガジンとしての意味がないんじゃないかと・・・。
かさこ:個人で広告を集めることができるというのも、
私の1つのPRにもなるので、それはそれでウリなのかなと。
また広告を入れてくださっているのは、
親しくしている読者の方が多いので、
読者紹介的な意味合いのコーナーとしての意味もあります。
今後もいろんな読者の方が、いろんな広告入れてもらい、
広告も楽しめるような、より雑誌的な冊子にしていきたいと考えています。
Q:広告費が入ってくるとはいえ、
20~30万円は自費で負担しているってことですよね?!
そこまでお金かけてやる意味あるんですか?
かさこ:ありますよ!
金銭面での意味だけに限定したとしても、
これまで「かさこマガジン1」「かさこマガジン2」を、
出版社や編集プロダクションなどに送った結果、
それで私のことを知ってもらい、マガジンがきっかけで、
仕事をいただいているところも多いので、
そのぐらいの投資をしても十分に回収できています。
Q:なるほど、営業ツールとして使っているんですね。
かさこ:でもかさこマガジン発行は他にも意義やメリットがあります。
普段、ネットでブログを読んでくれている方や、
ツイッターを見ている方に、
私の活動全般を知ってもらえる貴重な機会になっています。
「へえ、こんな写真も撮ってるんだ!」とか、
「こんな本も出してるんだ!」と知っていただけるだけでも、
ものすごく価値ある冊子です。
マガジンをきっかけに読者との距離が近くなり、
実際にお会いして、いろんな情報交換できたりもしているので、
そういうメリットは数字には表せませんが、
非常に大きいと思っています。
Q:そもそもなんでこんなことをしようと思ったんですか?
かさこ:数年前にブログ読者の方々に、工場写真や猫写真など、
私が撮影した写真の年賀状を送ることをしていたんです。
ただ私の場合、いろんな写真を撮っていて、1枚に絞り切れない。
読者の要望を聞いていたら10数種類作らねばならず、これは大変だと(笑)。
そこで私が撮っている写真をまとめた冊子を、
年賀状代わりに送ればいいんじゃないか。
そしたら工場だけとか猫だけとかに絞らなくていい。
そう思ったのが、かさこマガジン発行のきっかけです。
Q:年賀状という域は超えているような・・・。
かさこ:年賀状代わりだけでなく、別の動機もあったんです。
カメラマンとかイラストレーターとかデザイナーなど、
クリエイターは営業ツールとしてポートフォリオと呼ばれる、
作品をプリントアウトしてバインダーにはさんだ、
作品集みたいなものを作っているのが一般的です。
私も作らねばなと思いつつ、でもものすごく面倒。
1枚1枚プリントアウトしてはさみこみ、それを何十部も作るなんて。
それだったら、冊子にすれば、
手間なくポートフォリオが作れるなとも思ったんです。
Q:でもいくらなんでも数千部もいらないのでは?
かさこ:はじめは500部ぐらい刷るつもりでした。
でも印刷会社に見積もりとったら、
500部でも1000部でもたいして値段が変わらない。
だったらとりあえず1000部にしておこうと思い、
2011年1月にかさこマガジン第1号を作りました。
Q:1000部も作ってはけたんですか?
かさこ:1年かけてちょうどなくなりました。
はじめは在庫の山ではてどうしたものかと困ってましたが(笑)。
Q:しかし第2号は3300部と3倍以上も刷ってますよね。
かさこ:第2号ははじめ1300部刷りました。
ところが1ヶ月であっという間になくなった。
これはまずい。でも増刷するにはお金がかかる。
そしたら「広告入れたらいい」とアドバイスしてくれた方いて、
「個人の冊子で広告なんか入るか!」といったら、
アドバイスしてくれた方が「俺なら入れるよ」というので、
その方(臼井正己さん)のおかげで増刷できました。
この時、もう1社、かさこマガジン1で知り合った宙出版も、
「かさこさんの活動を応援したい」といって、
広告を出してくださり、この方々のおかげで、
2000部増刷分の印刷費はペイできました。
Q:それで3300部も刷って、なくなったんですか?
かさこ:2012年11月にはなくなってしまい、
12月にお会いした方全員にはかさこマガジンを配れませんでした。
そこで1月にまた新たに「かさこマガジン3」を作ったんです。
Q:いくらなんでも個人で5000部以上もはけないのでは?
かさこ:200~300部単位で配ってくれる方が数人いて、
そこに1700部は別送で送っています。
なので納品時点で私の手元にきたのは3800部。
すでに私から希望する個人宛などに約2000部配ってますので、
残り1800部ぐらいです。
もしかしたら半年もたないかもしれない・・・。
Q:それにしてもタブレット端末も普及し、Kindleも上陸したわけだし、
無料だろうが有料だろうが、電子書籍にすれば、
印刷費も配送費もかからないと思うのですが。
ましてブロガーならネットは得意の分野なんでしょうし。
かさこ:ネットでの情報配信は365日ブログで毎日やってます。
ネットではできない紙の良さ。例えば冊子としての一覧性・視認性の良さ。
もらった時のありがたみ。何度も見返してしまう気軽さ。
人柄が伝わってくるような「ぬくもり感」のあるもの。
わざわざ印刷し、製本し、郵送し、冊子として届ける。
ネットで腐るほど情報があふれる時代だからこそ、
手間暇かけた冊子で送ることで、
他のブロガーやカメラマンとはまったく違う、
大きな付加価値を提供できるのではないかと思います。
そもそも仕事柄、紙媒体を作るのが得意なので。
「ネットで見る写真より冊子で見る方が写真がいい!」との感想も多いですし。
Q:いや~、すごいけど、でもこれはさすがに、
他の個人クリエイターにはマネできないですよね。
かさこ:広告入れて40ページもの冊子を5500部刷るのは、
一般的ではないと認識していますが(笑)、
4ページとか8ページぐらいで、
自分の活動内容を紹介するセルフマガジンを、
他の人も作ればいいのにと思っています。
かさこマガジンをセルフマガジンのモデルケースにしたいなと。
クリエイターは営業下手、話下手の人が多いんです。
そういう人がセルフマガジンを作成して、
それで営業に行けば、自身の技術力を認めてくれる会社に出会えて、
仕事につながるんじゃないかなと。
Q:今までかさこマガジンを参考に、
セルフマガジンを出した奇特な人はいるんですか?
かさこ:大阪在住のイラストレーター(ことり寧子)さんが2012年秋に作成しました。
2013年1月に大阪でオフ会をしたんですけど、
初対面の人にことりさんがセルフマガジン配っていて、みんな彼女の虜でした(笑)。
やっぱり冊子があると強いんです。
短い時間で話さなくても自分のことをわかってもらえるので。
Q:今後、かさこマガジンはどこまで増殖していくのでしょうか?
かさこ:わかりません(笑)。
発行部数が増えて、ページ数が増えていくのか、
年1回発行から2回発行に増えるのか、
ただ何にしろ私の表現手段の核となるのは、
今のところは文章と写真ですので、
ネットでできないこと、紙ならではの良さが活きることを、
かさこマガジンに凝縮し、読者との関係性をより強めていったり、
セルフマガジンを出したいという人をアドバイスしたり、
マガジン送付をきっかけに、新たな会社と仕事をしたりとか、
「かさこワールド」を広げていければなと思います。
Q:話を聞くと確かに奇行とはいえない論理にはなっているが、
でもやっぱり5500部を自費で刷って無料で配るなんてクレイジーだ!
かさこマガジン3はまだ在庫があるとのことです。
(自問自答インタビューおわり)
・「かさこマガジン」無料配布中。
欲しい方は、郵便番号、住所(マンション名など省かず)、
お名前、希望部数をメールください。
kasakotaka@hotmail.com
Amazonで買い物する際、下記よりお願いできればありがたいです。
・Amazon
(有料メルマガに頼らない私の方法 http://kasakoblog.exblog.jp/18718552/)
かさこツイッター(お気軽にフォローどうぞ。基本フォロー返しします)
http://twitter.com/kasakoworld