311日本敗戦の日~これからの日本を守るために
2013年 03月 11日
真剣に社会のあり方について考える日にしたい。
311ーー。
1945年8月15日に匹敵する日本敗北の日だ。
しかもたちの悪いことに敵はアメリカでも中国でもソ連でもない。
自らが加害者であり自らが被害者となった。
自分で自分の首を絞め、負けてしまったのだ。
何に負けたのか?
短期的な経済至上主義にだろう。
2011年3月11日、東日本大震災。
西日本の人に話をすると驚かれることが多いのだが、
津波被害にあった東北だけではなく、東京も大変な事態だった。
私は都内にいた。
はじめのすさまじい揺れはもとより、
ビルから外に出た後も1時間以上はまったく動けなかった。
度重なるすさまじい大きな余震が長時間にわたり、
何度も何度も続いたからだ。
日本はこのまま終わってしまうのではないかと、
そんなことすら思ったほどひどい揺れだった。
首都直下地震が起きると脅されているが、
私はそんなに恐れることはないと思う。
東日本大震災の揺れの方がはるかに恐ろしいと思うからだ。
あれ以上のものは多分起きようがない。
起きてしまったことはもうどうしようもない。
人間、誰だってミスや失敗をする。
大事なことは二度と同じミスや失敗を繰り返さないことだ。
こういっては失礼な言い方かもしれないが、
大地震と大津波だけでは「たいしたこと」はなかった。
大地震と大津波は何度も起きている。
特に東北に行けばわかるが、あちことに津波警告の碑などがあり、
何度となく大津波によって人がこれまでに亡くなっており、
一部の場所では絶対に海そばに住宅を建ててはならず、
津波被害を逃れるために311の前から高台移転している場所もある。
だから大地震と大津波は想定内の出来事だ。
陸前高田を早くから支援しているボランティアが、
「100年に4度も大きな津波があったのに、
また海そばに家を建てようなんてどうかしている」
と言っていたのが印象的だったが、
大津波は起こるべくして起きた事象であり、
今後も何度となく東北は津波に襲われるだろう。
もちろん津波は東北だけでの話ではない。
今、四国で原発を止めた町の映画撮影をしているが、
日曜日、インタビュー中に、
「ここは昭和の地震による津波で家が2階まで浸かった」
という話も出てきた。
太平洋沖は西日本も当然のごとく大津波がいつきてもおかしくはない。
大地震は約100年に1度の周期で起きている。
1360年 東海地震(M8.4)
1361年 南海地震(M8.4)
1498年 東海地震(M8.4)
1498年 南海地震(M8.4)
1605年 東海地震(M8.0)
1605年 南海地震(M7.9)
1707年 東海地震(M8.4)
1707年 南海地震(M8.4)
1854年 東海地震(M8.4)
1854年 南海地震(M8.4)
1944年 東南海地震(M7.9)
1946年 南海地震(M8.0)
大地震も大津波だけなら、甚大な被害があったとしても、
東日本大震災は日本敗戦の日とはいえないだろう。
しかし東日本大震災は原発事故が起きた。
これが敗戦の理由だ。
私も含めて多くの人が原発を是としていた。
もちろんなければないに越したことはないと思っていたが、
でも311前に率先して原発を否定した人はごくわずかしかいない。
私だって311前は原発は必要悪だと思っていた。
いいものではないし、地球温暖化の防止に役立つ、
環境にいい発電方法というカルト教団並みの虚偽を、
信じていたわけではない。
でも福島原発事故が起きる前は、
いや福島原発事故が起きた直後も、
原発についてこう考えていた。
1:事故が起きたとはいえ、いくらなんでも日本で、
チェルノブイリ以上の重大事故は起きないのではないか。
日本の技術力や運営力はそんなずさんなものではないはずだ。
2:もし原発を止めたら、
私たちの生活は相当な不便を強いられ、
経済活動は3割ぐらいは縮小せざるを得ないだろう。
311から何か月か過ぎてやっとわかった。
ところがだ。
311から2年たって、原発の過ちの教訓は何も生かされていない。
生かされていないどころか、むしろ後退している。
311があったにもかかわらず、
目先の経済優先を国民の多数が選らんだがために、
原発再稼働や原発新設を認める政党が大勝した。
もちろんこの選挙は憲法違反の選挙なのだが、
憲法違反してもこの国はまったく関係ない。
やってしまったもん勝ち。
憲法に違反していようが選挙のやり直しが命じられることのない、
いかさま国家なのだ。
さらに驚くべきことは、事故を起こした電力会社に、
何の罰も与えられていないことだ。
例えば何年か前にあった耐震偽装事件を覚えているだろうか?
危険な建物であると知りながら、
安全だと嘘をついてマンションを売った関係者は有罪判決になっている。
ところが電力会社はどうか?
耐震偽装して活断層ではないと言い張り、
様々なデータを改ざん、隠ぺいして安全だと言い張り、
大津波が来ることを予想していながら対策をせず、
しかも電力を独占して消費者に選択をさせず、
ずさんな管理で事故を起こしたにもかかわらず、
誰一人、有罪になることもなく、
会社が電力事業の免許をはく奪されることもなく、
未だに電力を独占し、
自らの過ちは税金と電気代金の値上げで相殺している。
311が起きて2年たってもこの状態だ。
日本を敗戦に追いやった大きな戦犯者が、
未だに権力(電力)を握り、
恐ろしい兵器を扱えもしないのに独占している。
311という敗戦から2年過ぎてもこの状態だ。
言ってみれば敗戦濃厚なのに未だ勝てると信じ込まされて、
玉砕している戦中と同じ構造だ。
果たしてこのままで日本に未来はあるのだろうか?
日曜日、数十年前に原発計画を阻止した人に映画のためインタビューをした。
その中の1人、徳島県蒲生田原発を阻止した、
原発予定地そばに住み、牧場を営んでいる方さんは、
「福島原発事故についてどう思いますか?」という質問に対し、
これまでの受け答えとは一変し、
手を震わせ、声を震わせながら、激高するようにこう訴えた。
「こんな事故が起きることは、
もう何十年も前から指摘されていたんですよ。
いつどこで起きてもおかしくない。
でも安全だ、安全だと言い張っていた。
じゃあ実際にどうなりました?
原発事故が起きたじゃないですか!
一度事故が起きたら取り返しがつかないんですよ!」
涙ながらに話してくれた。
それは無念さからだったのではないか。
自分たちの家そばの原発計画は阻止できた。
でも何十年も前から原発は危険だとわかっていたのに、
日本の原発事故を止めることはできなかった。
実際に事故を起こさせてしまった。
その無念が涙になってあらわれたのではないか。
私も含めて何十年も前に、
原発の危険に気づけなかった人は多いと思う。
しかしそれは仕方がない。
まだ日本で事故が起きていなかったのだから。
でも2年前に起きないと言われていた大事故が起き、
今もなお福島原発は危ない状況のまま、
空気を未だに汚し続け、海を汚し続けている。
その状況を見ていながら、
圧倒的多くの国民が原発再稼働の政党を支持したという事実。
耐震偽装した建設会社に自分の家をゆだねるようなものだ。
311から2年。
日本全体が被災地であり、日本は自ら自滅し、
原発事故というとんでもない過ちを犯した。
でも過去を嘆いても戻らない。
問題はその過ちをどう未来に活かすことができるかだ。
黙とうするのもいいかもしれない。
しかし黙とうしても死者は戻ってはこない。
黙とうだけしても未来の災害は防げない。
大事なことは311という敗戦日に、
今後、死者を出さないために、
ふるさとや家に帰れない人を出さないよう、
今、何をすべきか考えることではないか。
大地震は絶対に起きる。
大津波も今後も必ず来る。
防ぐことのできない自然災害に備えて、
一人一人が何をすべきなのかを、
考え、そして行動する日にしなくてはならないと思う。
私は原発を止めた町の人たちの声を集めて、
今後、自然災害が起きた時に二次被害・三次被害を広げないための、
ヒントとなる映画づくりに注力したい。
今ならまだ間に合う。
次の大地震や大津波が来る前に、
原発をどうすべきか真剣に考えるべきだ。
・東日本大震災写真
http://www.kasako.com/110311.html
・被災地レポート
http://www.kasako.com/110311top.html
・大地震に備えるチェックリスト
http://kasakoblog.exblog.jp/15296828
・2017/3/11追記
映画は完成し30分無料公開中
https://www.youtube.com/watch?v=cjZSvtWeO8s
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