経営陣を畏怖する広報が会社を殺す
2013年 04月 08日
広報が勝手に取材を断ってしまい、申し訳ない」
ある企業の社長インタビュー取材の際、
社長自らこんな言葉を発した。
本当は取材を受けて自社をアピールしたいと思っていたのに、
広報が「社長は忙しい」「社長にこんな取材を受けさせるわけにはいかない」
と勝手に判断し、一度、取材を断ってしまったのだ。
ところがその話をたまたま聞いた社長が激怒。
今こそメディアに積極的に出て発言すべきなのに、
なぜ断ってしまうのかと。
いろんな企業取材をしていると、
実はこの手のことがよくある。
広報が社長など経営陣クラスを勝手に畏怖しすぎていて、
「忙しいから時間がない」「メディア対応なんかしたくない」
「わが社の社長殿にお手間を直接わずらわせるのは、
広報として失格だ」ぐらいに思い込んでいる。
でも実は社長や経営陣はそんなこと思っていないことが、
取材時に本人から露呈してしまうのだ。
取材する側からすると、別に企業の社長だろうが、
有名人だろうが、新入社員だろうが、無名人だろうが、
人に話を聞いて原稿を書くという意味で何ら変わりない。
むしろ社長や経営陣なんかより、
話慣れていない一般社員を取材する時の方が気を使う。
緊張しすぎて、なかなかいい話が出てこないからだ。
ところが広報の態度はまったく変わる。
社長取材ともなると、そそうがないようにと、
過度に緊張しまくっていて、
不要な気遣いばかりして、
取材する側と取材を受ける経営陣との、
コミュニケーションを阻害してしまう。
広報が間に入っていらん気遣いをすることで、
取材の趣旨が変わってしまったりしていて、
こちらも?、経営陣も?といったような状況で、
取材時に話をするとお互いに気づくわけだ。
「あ、この広報が余計な気遣いして話をねじまげたんだな。
だから変な話になっているんだな。
そんなこと気にしなくていいのに」と。
たとえば取材趣旨の根幹である質問事項を、
「これは社長に失礼だから」といって却下してしまったり、
「これはわざわざ社長が答えるべきことじゃない」といって、
勝手にありきたりの会社案内的美麗字句をちりばめた回答をよこしたり。
でもそんなんじゃ何も伝わらないし、
そもそも経営陣がそんなことを思っていないケースもあるし、
大きくニュアンスが異なる場合もある。
広報が経営陣の意図を理解していないのだ。
そうやって社内で勝手に経営陣を神様のように、
あがめたてることで、
どんどん経営陣と現場社員、メディア、世間との溝が広がり、
いつしか裸の王様になっていく。
「広報から上がってくる話とぜんぜん違うじゃないか!
おまえらいいから、直接話をさせろ!」
とこうなるわけである。
もちろん中には失礼なメディアもいるだろうし、
すべてに取材対応していたらきりがないし、
経営陣の発言をきちんとコントロールするのも、
広報の重要な仕事だろう。
しかし経営陣の意図を理解せず、
「社長様はえらいからお手間をわずらわせるようなことはさせたくない」
といった態度で社内外とのコミュニケーションを阻害することは、
会社にとっては非常に害悪だ。
まあ企業の中には広報が下っ端的な位置づけで、
各部門や経営陣などに取材依頼をしても、
上から目線で見られて、ろくに対応してくれない、
といったこともあるだろう。
でも私がこれまで何百社と取材した経験からすると、
取材対応が悪い会社の多くは、
広報が経営陣を畏怖しすぎて変な気遣いをしているからだ。
こういう会社ほど取材ができ、
いざ経営陣に話を聞くと、
ざっくんばらんで気さくな経営陣が多く、
妙な気遣いなど必要なく、
経営陣のストレートな言葉を出した方が
よっぽど社会的なイメージもよくなるのになと思うことしばしば。
取材対応が悪い会社は、
広報が不要なバカの壁になっている可能性が高い。
でもそれは結果として会社を殺すことになる。
経営陣を神様としてあがめるのではなく、
広報なんだからいいように使いこなす気概がないとダメだと思う。
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