
しかし住民の圧倒的多数の反対により、原発計画は阻止された。
その当時、反対していた人の取材をして、映画にするべく、
1月、3月、6月と3度、蒲生田岬を訪れた。

民宿なのにカフェのようなお洒落な食堂がある。
そしてとっても感じのいい女将さんがいて、
コーヒーマイスターの資格も取っているようで、
おいしいコーヒーも出してくれる。

料理はもちろん近海の魚料理が中心。
たっぷりのお刺身、煮つけ、天ぷらなどで、
1泊2食付8000円という安さだ。
製作スタッフの1人が、
「お魚もおいしいですけど、お米も野菜もおいしいですね」と声をかけた。
すると思わぬ返答が。
「お米も野菜も自家製です。みんなこの辺でとれたものばかり。
ここは半農半漁なんです」
女将さんと一緒に民宿をしている義母さんは今年78歳になるにもかかわらず、
農業も漁業もするという。

半農半漁ってすごいなと思った。
米も野菜も魚もとれれば自給自足できる場所だ。
この民宿の人を取材する予定はなかったのだが、
たまたま女将さんと話をしていると、
義母さんが原発反対運動をしていたという。

私は感じのいい女将さんにすっかりほれ込んでしまったこともあり、
「ここの人たちも撮影しましょう」と提案し、
あたらしやさんの女将さん、義母さんともに撮影することにした。

女将さんが話していたことで印象的だったのは、
食は命の根源だという話。
もし原発ができていたらこの集落は電力会社の敷地となり、
強制移住を余儀なくされていた場所だろう。
農業も漁業もできなくなる。
義母さんは「原発作ってなんぼ電気もらったって、
農業も漁業もできんかったら、食べ物なくて死んでしまいよる」
と話していた。
自分たちで自給自足できる生活があるからこそ、
原発にノーと言えたのだろう。

この民宿が、都会にいる人たちの第2の故郷になれるよう、
この原風景を守り、新鮮な魚とお野菜とお米を提供する場所になりたい」
と語っていた。

周囲にはコンビニも商店もなければ自販機さえない。
でも女将さんがいれてくれるおいしいコーヒーと、
義母さんが作った野菜やお米と周辺でとれた魚と、
この素晴らしい原風景がある。
泊まったのが2度目のせいか「帰ってきた」という気持ちがした。
スタッフの1人も「このあたらしやさんに来るとなんかほっとするね」
と話していた。

でもたまに帰れる「田舎」があるのは素敵なこと。
実家が田舎の人はいいが、
なかなかこんな原風景が残っている場所も少なくなっている。
観光名所も何もないけど、ただのんびりするためだけに、
原発計画を阻止したおかげで豊かな自然が残る、
蒲生田岬に泊まってみるのもいいと思います。
・民宿あたらしや

090-6880-7643
1泊2食付8000円~。
・ついでに訪れたい蒲生田から近い場所
100人漁村の奇跡の復活を遂げた漁村・伊座利
http://kasakoblog.exblog.jp/9913849/
・映画「しろうお~原発立地を断念させた町はいま」
http://www.kasako.com/eiga1.html
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