誰もトクしない駐輪禁止
2013年 07月 01日
わが最寄駅のJR鶴見駅も大変な状況だ。
鶴見駅といえば2012年夏に、逃走していたオウム真理教の高橋克也氏が、
荷物を入れていたコインロッカーがあった場所だが、
そのコインロッカーそばから一直線に延びる、
駅前広場的通路が完全に駐輪場化してしまい、
歩行者の歩く場所もなく長年問題になっていた。
しかも単なる通路ではなく、西友があるもんだから、
買い物客もここにチャリを置いていく。
かといって鶴見区が何もしないかというとそうではない。
ハード面での対策をしており、
西友のすぐ裏側のバスターミナル2階に、1000台もの駐輪場を新設した。
しかし定時利用が7割を占め、一時利用もすぐ埋まってしまう。
それで西友や駅前の買い物に来た人などが、
駅前通路に不法駐輪してしまうのだが、
不法駐輪を防ぐため、鶴見区は通路に駐輪禁止しないよう、
通路のそこかしこに工事用の赤いカラーコーンを置いた。
しかしその程度で不法駐輪はなくならない。
そこで鶴見区は強硬手段に出た。
通路のあちこちに駐輪禁止の柵を作って囲ったのだ。
「どうだ、チャリのバカやろうども。これで駐輪できないだろう!」
確かにできないのだが、ここで笑うに笑えない2つの問題が発生した。
1つは柵で囲ってあるので、歩行者もそこは通れなくなり、通路が狭くなったこと。
もう1つは柵と柵の間の歩行者通路のところに、
駐輪する自転車が密集するようになったことだ。
つまり駐輪禁止の柵のせいで、歩行者が余計に通りにくくなってしまったのだ。
赤のスペースが柵で囲ってしまった場所。その分、柵外にあふれかえってかえってジャマに。
これってまだ柵がなかった方が、そこに自転車を止められるから、
歩行者のジャマにならなかったんじゃないか。
なんとも笑えない話である。
見ての通り、柵を囲った場所には停められないため、
チャリが柵のない場所に集中してどこも通れない状況だ。
歩行者は歩きにくい。
自転車の人も停めるスペースが減った。
柵の囲いには誰も入れない。
誰もトクしない駐輪禁止だ。
なんでこんなバカげたことをしたのだろうと思い、
鶴見区の自転車担当である地域振興課に電話してみたのだが、担当者も困り果てているようだ。
「確かに柵があるせいで、通路が余計通りにくくなってしまうのはわかるんです。
ほんとに情けないです。こんなことしかできなくって。
でも柵を撤去してしまえば、また不法駐輪だらけの駅前に戻ってしまいます。
時々、撤去はしているのですが・・・。
ほんの一部の不届き者のマナー違反者のせいで、私どもも困っているんですよ・・・。
名案があればぜひ教えていただきたいです」
チャリが邪魔だ!という苦情もあるが、
逆にチャリが置けない!という逆の苦情もある。
だから余計に区も対応に困っているのだろう。
ネット上に公開されている横浜市への苦情だがこんな声が寄せられている。
・・・・
JR鶴見駅西口周辺が駐輪禁止であるのは知っていますが、
先日、買い物のために数分駐輪しようとしたところ、こちらの都合や事情を聞かずに、
駐輪の監視員から駐輪しないようにと言われました。
数分の買い物でも駐輪場を利用し駐輪代を払うようにという方針なのでしょうか。
もし、そのような方針ならば、駐輪が不可能な環境にしたり、
周辺のお店を退去されるようにしたりすれば、
駐輪がなくなるのではないでしょうか。
http://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/25000043.html
・・・・
これだけ読むとひどい言いがかりである。
禁止と知りながら数分だからいいじゃないかと、
注意した監視員に逆切れする不届き者。
しかもわざわざ横浜市に苦情を寄せている。
こういう輩がいるからどんなに柵で囲っても、
歩行者のジャマになるチャリがなくならないのだと思うが、
でもこの言いがかりともいえる投稿もものすごく一理ある。
もしチャリで駅前の西友に買い物にきたら、ここがチャリを置く絶好の場所だ。
ここを駐輪禁止にして、10数分の買い物のために、
少し離れた有料の駐輪場を新設したからといって、
そこを利用しろといわれても、まあ納得いかないだろう。
じゃあこの問題、どうすればいいのか?
私が思うのは、柵の中を駐輪スペースにしちゃえばいいじゃないかということだ。
駐輪するなするなといって、強硬手段に出たところで、
店が目の前にあるので、通勤・通学ではなく、
数分だけ停めたいという人はこの先も店をなくさない限り、いなくならない。
しかも歩行者通路といっても通路よりやや広い広場的なスペースになっており、
そこそこのスペースはある。
そこに柵を張り巡らせて「駐輪禁止」といったところで、
有効に使えないむだな空間・場所=デッドスペースができるだけで誰もトクしない。
ならばこの柵内に自転車は停めてください、ということにすればいいじゃないか。
店がある。中途半端に停められるスペースがある。
なのに柵で囲ってしまうから、柵の外にチャリを停め、
チャリの人は数分の買い物なのに、どこに停めろっていうんだって逆切れする。
だからこの柵内なら停めていいですということにしてしまう。
ただし柵内の駐輪利用は30分以内。それ以上停めていたら罰金10万円。
また柵外に停めたら罰金10万円にすればいい。
別に人をこのために監視員をはりつかせる必要はない。
はじめの1カ月間だけは人をはりつかせて、新しい運用法を周知徹底させ、
あとは1週間に1回ぐらい不法なものがあれば強制撤去すればいい。
いや、もちろんうまくいかないかもしれない。
でも今の誰もトクしない駐輪禁止は何の解決にもならない。
停めるなというんじゃなく、「ここなら停めていいです、
でもこっちには停めないでくださいといえばいい。
柵内にチャリが収まってくれるなら、歩行者は歩くのにジャマにならないし、
柵の中のスペースに意味が出てくる。
ある一定数はチャリも停めれるようになる。
それでも停められない人はいるかもしれないが、
今のように柵外にあふれるよりははるかにマシだ。
区の担当者に「逆転の発想で柵の中を駐輪OKにしちゃえばいいじゃないですか」
といってみたのだが、いろんな立場からの苦情が寄せられているようで、それはやりたくないようだ。
区の担当者が怠慢なのではなく、この件についていろいろな意見が寄せられ、
板挟みにあっているようで、
現状これがもっとも差しさわりのない判断なんだと思うのだが、
担当者も申し訳なさそうに「情けない」と話をしていた。
このままでは誰にもメリットはない。
役所の立場からすると、とりあえず新しい方法をやってみて、
うまくいかなかったらやめるみたいな方法はとりにくいのだろうけど、
ただ柵をグレートアップするだけではイタチごっこは終わらない。
しまいには誰も通れなくなるという「囚人のジレンマ」に陥りかねない。
物は試しに新しい方法をやってみてはどうだろうかと区の担当者に、
再プッシュしてみたいと思うけど、
きっとこんなような問題抱えて、いろんな人から苦情言われて、
にっちもさっちもいかなくなっている駐輪問題って多いんじゃないだろうか。
ただマナーに訴えるだけでは何の効果もない。
マナーが悪い人にマナーを訴えてもマナーはよくならない。
仕組みを変えるか、罰則強化して行動させないようにするかのどちらかだと思う。
今すぐできることは問答無用でジャマなチャリを撤去することだとは思うが。
・「好きを仕事にするブログ術」講演再現DVD好評発売中!
http://kasakoblog.exblog.jp/20700792/
Amazonで買い物する際、下記よりお願いできればありがたいです。
・Amazon
(有料メルマガに頼らない私の方法 http://kasakoblog.exblog.jp/18718552/)
かさこツイッター(お気軽にフォローどうぞ。基本フォロー返しします)
http://twitter.com/kasakoworld
かさこフェイスブック(お気軽に申請どうぞ。基本承認致します)
http://www.facebook.com/kasakotaka