震災前と震災後の被災地比較写真~記録としての写真の重要性
2013年 07月 30日

ここに来る方の多くが、
「津波でこんなに巨大な船が上がっちゃったんですね」
と勘違いするというのだが、そうではない。
「おしかホエールランド」といって、震災前からあった観光施設だ。
日本の捕鯨の中心地だったことから、
全長68mにも及ぶ捕鯨船「第十六利丸」が展示されていた。
私は震災前にこの場所に二度来て泊まっている。
この鮎川港から猫が神様の島である田代島への船が出ていることと、
素晴らしいホテル廃墟がある金華山という島への船が出ていることが理由。
一度目に訪れた時には田代島へ。二度目に訪れた時には金華山を訪れた。
その際、せっかくなのでと思い、
この「おしかホエールランド」も見学しているが、
まさかこの場所が津波で被災し、
施設がなくなってしまうとは思いもしなかった。
2013年7月28日に鮎川港を再訪した。
船は残っていたが、船の隣にあった展示施設は、
被災したこともあり、解体・撤去されてしまった。
それだけではない。
船乗り場の前にあった食堂やおみやげやも、
港周辺にあった集落も津波によって流されてしまった。
何もなくなってしまった鮎川港の様子を見て、
ある後悔の念が湧き上がってきた。
「こんなことになるなら、震災前の街並みやホエールランドの写真を、
もっと撮っておけばよかった」と。
鮎川港の震災前(2010/1/23撮影)と震災後(2013/7/28撮影)の写真比較
















震災後の被災した悲惨な写真は世間にイヤというほどあふれている。
でも被災者の方は「震災前の写真が見たい」という人が多い。
実際、こうしたニーズに応えるため震災前の写真集も作成された。
その際、私は石巻の日本製紙の写真を提供した。
あたりまえの日常を写真に撮ることはなかなかない。
とりたてて何か特徴があるわけではない、
普通の街並みを写真に撮ることはなかなかない。
なぜなら、あたりまえの日常は永遠に続くと思っているからだ。
しかしある日突然、思いもよらぬ自然災害や原発事故、戦争などにより、
毎日、目にしていたあたりまえの光景が失われてしまうことがある。
その時になってはじめて人は気づく。
何事もないあたりまえの日常の幸せの偉大さに。
そしてその幸せを思い起こす手段として、
記録としての写真は絶大な力を持つ。
なぜなら人の記憶などあいまいだからだ。
ある日突然失われる風景。
ある日突然失われる家族や友人。
たった1枚、写真を撮っておけば。
そんな風に思った人は震災で多かったのではないか。
私がまだ被災地についての記事を書く理由。
それは被災地は他人事ではないからだ。
いつ自分たちが被災者、被災地になるかもわからない。
被災地取材でほとんどの被災者がこう話した。
「まさか自分が被災者になるとは思わなかった」と。
でもどんなに悲しい出来事があっても、
過去の一瞬を記録した写真1枚で、
人はがんばろうと思えたりもする。
最近ではスマホの普及により、
気軽に簡単に写真を撮れるようになった。
今はなんてことない写真だとしても、
5年先、10年先たった時に、
懐かしくて涙が出るほどうれしい写真も出てくるかもしれない。
だからこそカメラマンとして、多くの人に写真を撮る楽しさを伝えたい。
どうせ撮るならうまく撮れる方法を教えたい。
そんなこともあって、写真教室を開催しています。
今、あまりありがたみを感じていない、
あたりまえに存在している家や町や会社や家族や同僚や友人や知人が、
ある日突然、奪われてしまうということがある。
後悔する前に今あるあたりまえの幸せを写真に収めておけば、
きっと後から写真を撮っておいてよかったと思う日が来ると思う。
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