
「被災地復興と言ったところで、
もともと衰退していた石巻だけで食べていくことは難しい。
外に発信して、被災地外とのつながりがなければ、食べてはいけない」
そう語るのは、宮城県石巻市に住む木村眞由美さん。
木村さんは震災後、被災した女性の自立支援につながる、
猫グッズのデザインおよび販売サイトの制作・運営・管理を行っている。
木村さんはWebデザインの仕事をする他、
震災10日前にバーをオープンし、バーの仕事をしていた。
しかし東日本大震災によって、バー周辺は地盤沈下により冠水。
建物は残ったものの、冠水により営業再開することができなかった。
食べていくには仕事をしなくてはならない。
そんな時、声をかけられたのが、
石巻で被災したウエットスーツメーカー・モビーディック社製の、
余った切れ端でつくる小物制作の仕事だった。
「震災後の復興需要で土木工事は増えても男性仕事のため、
女性の仕事がなかなかない。
震災により、うちのめされて、仕事もなくなり、
どうしたらいいのかわからない人も多かった。
そんな時、仮設住宅に暮らす女性などに、
モビーディック社から内職仕事をしてもらおうという話があり、
私もそれに誘われたんです」
被災した企業が自らの復興と被災者の復興を合わせて、
ウエットスーツの切れ端を使い、被災者に仕事をお願いして、
かわいらしいコインケースなどの雑貨を作って販売する。
恵んでやる依存支援ではなく、働いてお金につながる自立支援につながる。
木村さんは震災後にこう思ったという。
「震災が起きて、自分に何ができるのか真剣に考えるようになった。
いつ死ぬかもわからない世の中。
子供の頃から好きだったデザインの仕事をしたい」
猫が好きだったこともあり、
モビーディック社素材を使ったものに猫のデザインを提案。
コインケースに限らず、様々なグッズも提案し、商品化。
「被災地でWeb制作ができる人はそんなにいない」と、
今までのキャリアとスキルを活かし、
被災者自立支援につながるメイドイン石巻の猫グッズ、
「Puchinya」(ぷちにゃ)ブランドを立ち上げ、
サイトを作って、ネットでの販売を始めた。

全国の猫好きの方に口コミでじわじわと広がり、
震災後、仕事がなくて困っていたが、
猫グッズの販売で収入を得られるようになった。
ネット販売だけでなく、支援に協力しようと、
猫グッズの販売に協力してくれる店も増えている。
そんな木村さんが復興について話したのが、
「被災地復興と言ったところで、
もともと衰退していた石巻だけで食べていくことは難しい。
外に発信して、被災地外とのつながりがなければ、食べてはいけない」
ということだ。
いくら復興と声高に叫んだところで、
被災地の多くは、震災がなくても経済的には衰退していた場所が多く、
若者は都市に出て、どんどん人口が減少し、
町自体が高齢化し、仕事が減っていく現状があった。
震災が起きてさらに追い打ちをかけられたわけだが、
いくら被災地で仕事をしようと思ったところで、
人口減少・過疎化が進み、この先、明るい展望は開けない。
だから復興するには、被災地だけで完結する仕事ではなく、
被災地以外の人を相手にできる仕事が重要になる。
猫グッズの販売は、ネットで売ることができるし、
被災地にいる人だけの商売ではなく、全国の人がターゲットなので、
過疎化・人口流出する被災地にいても、仕事はできるし、
評判がよければ売上を増やせる可能性もある。
でもこの話を聞いた時、被災地に限った話ではなく、
過疎化している地方や、人口減少している日本全体にもあてはまる話だと思った。
震災があったから衰退しているのではなく、
もともと少子高齢化・人口減少で衰退していたのだ。
そこで懸命にがんばって仕事をしたところで、
人口が減っているのだから、年々売り上げが減っていく可能性は高い。
衰退している町だけで商売しようとするから、
いつまでたっても景気はよくならないし、売り上げは上がらない。
ならば、狭い世界に閉じこもっていないで、
地元だけでなくネットを使って人口の多い都市も相手に商売するとか、
人口が多い海外を相手に商売することが、
過疎化する町の中で生き残っていく方法の1つではないか。


昨日、一昨日と何年かぶりに金沢を訪れた。
観光名所である東茶屋街を訪れて驚いた。
数年前に来た時より、観光客も多く、店も多いような気がしたからだ。
たまたま夏休み期間だからなのかとも思ったが、
東茶屋街の店の人に聞いたら、ここ数年、外国人観光客が増え、
空き家だった茶屋に店が何軒もオープンするなど、にぎわっているとのことだった。
おみやげ屋の取材をしていた時も、
団体バスで集団で乗りつけたのは韓国人観光客だった。

(写真:金沢にパンダ?!という斬新な取り組み)金沢の人口は約46万人。
46万人相手の商売では市場は明らかに小さく、
地元相手のビジネスでは限界もある。
しかしここ数年、金沢を訪れる観光客数は約750万人以上にも及ぶ。
人口の16倍以上もの人が外から来ていることを考えると、経済効果ははかり知れない。

(写真:金箔の町・金沢らしい金箔鎧が展示されている「箔巧館」)
人口減少、過疎化する地方が生き残るには、
外の人を受け入れる魅力があること、
それをきちんとアピールすること、
そして何より外の人間を受け入れる度量があることが重要だ。
被災地に行って思うのは、よそ者を受け入れたくない、
という狭い思考の人が多いこと。
だからどんどん衰退してしまう。

(写真:金沢駅)
「若い時は金沢を離れたいと思って、一度出た。
でも外に出てはじめて金沢の良さがわかり、
金沢に戻ってきて仕事をしている」
と話してくれる金沢人も何人かいた。
地元の良さを知り、それを外にアピールするには、
ずっと地元に閉じこもっている人では限界がある。
外の世界も知っているからこそ、
外に向かって地元の良さを的確にアピールできる。
その点、過疎化し、衰退している町の多くは、
外に出ない人が多いこと。
「東京なんか出たら大変だからずっと地元でいい」
みたいな人が多い地域ほど、外のことがわからないから、
どんどん閉塞していき、ジリ貧になっていく傾向が強い。
被災地もそう。衰退している地方もそう。
衰退していることをただ嘆くだけで、新しい取り組みをせず、
今まで通りのことしかしなかったりすれば、当然衰退する。
政治家に文句を言い、税金をたかり、
意味のない一時的なバラマキ公共事業をさせるモデルももう限界だ。
だからこそ過疎化した地方の町ほど、自立心のない町ほど、
原発を要望し、ラクしてあぶく銭を儲けようと考え、
たんまり助成金や電力会社の寄付金を引っ張り、
事故が起きたら周囲の自治体に迷惑かけてるのに、
自分たちだけ賠償金はもらうようなマネしか生き残る方法がない。
外に向かって発信し、外の人を取り込んで仕事をしていかない限り、
被災地も地方も日本も生き残っていくことは難しい。
そのためには、内向きな思考で、狭い世界に閉じこもることなく、
自ら外に出ていろんな人や地域を知り、地元の魅力や自分の魅力を再確認し、
外に向かって地元の魅力や自分の魅力を発信できる人だけが、
生き残っていけるのではないかと思う。
・よそ者を嫌う地域に未来はない~限界集落「秋元」の取り組み
http://kasakoblog.exblog.jp/17977776/
・メイドイン石巻Puchinya
http://puchinya.com/
・すごい珍スポット!ハニベ巌窟院
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