はだしのゲン騒動に見る少数クレーマーに振り回される社会
2013年 08月 20日
とたった1人の陳情者によって、
松江市教育委員会は全市立小中学校に閉架制限を要請していたが、
この件をメディアに取り上げられたばっかりに、
「閉架とは何事か!」と逆苦情が殺到し、
今度は閲覧制限撤回を検討しているという。
はだしのゲンの表現を子供に見せてもよいか否かとか、
教育委員会のふざけた対応は何事か!という前に、
実社会では似たようなことがあふれている。
じゃあそんな場面に遭遇した時、自分が担当者だったとして、
確固たる対応をできるのだろうか?
例えば企業の製品やサービス、対応について、客からクレームがきた。
この製品は不快だから店に置くべきじゃないみたいな、
到底受け入れがたいクレームだったとする。
はじめは断ったものの、何度も何度も執拗に電話がかかってきて、
えんえん文句を言う。
うるさいから早く切り上げようとしたり、電話を切ろうものなら、
余計相手がエキサイティングして騒ぎ出す。
担当者を強迫するような文言を吐いたり、
企業の評判を下げるようなありもしないことをネットで書き込んだりする。
身の危険や実害が及ぶ恐れが出てくるのだ。
で、このクレームをつけている製品が、
企業にとってなくてはならない主力製品なら、断固として断れるだろうし、
多くの顧客から人気があり支持されているというデータでもあれば、
そのデータを持って反論することができる。
でもそうではない商品だったらどうだろう?
文句を言っているのはたった1人。
そういわれればそうかもしれないという批判だが、
圧倒的多数の人はそのことは問題にしていない。
でもこのままえんえんクレーマーに騒がれると、
クレーマー対応でノイローゼになってしまいそうだ。
「じゃあ目につかないところに置くようにしますから」。
これが手っ取り早い。
クレーマーから早く逃れたいから。
どんなに理不尽なことでも、どんなに少数意見でも、
クレーマーの言うことを聞いてしまうというのは、
案外、企業などではよくあることではないか。
アンケート調査とかご意見募集みたいなのが、
そういうワナにはまりやすいツールだ。
よほどの豪華プレゼントなり割引インセンティブがなければ、
多くの人はわざわざ商品やサービスの感想なんか書かない。
わざわざ書いてくるのは、よほど感激した意見か、よほど文句のある意見か、
たいがいそのどちらかになる。
特に後者の方が多い。
クレームのはけ口となるからだ。
で、そういうのを真に受けてしまう人が社内にいるわけです。
例えば雑誌の読書アンケートみたいなもので、たった数通しかきていないのに、
その中の1通に「A氏の連載記事はつまらない」みたいなものがあったとして、
さらにそのクレーマーがA氏が嫌いという理由からなのか、
電話でもA氏を外せみたいなことを執拗に言ってくる。
アンケートを見る限り、A氏の記事がおもしろいという意見はない。
あまりにクレーマーがうるさく、対応しないと、
「あの雑誌はひどい対応しかしない」「読者無視だ」とか、
妙な難癖つけられかねないから、じゃあA氏を連載から外してしまう。
で、外してはじめてわかるわけです。
「えっ、なんでA氏の連載記事なくしちゃうの?楽しみにしてたのに」
みたいな逆クレームが来てあわててまた復活を検討するみたいな。
いや、そうやってわざわざクレームを言ってくれる人がいればいいが、
「なんだ、A氏の連載記事なくなっちゃったから買うのやめよう」
と黙って去っていってしまうお客さんがいっぱいいると、
なぜ売り上げが下がったのかがわからないまま、
また一部の暇人少数クレーマーの意見に左右され、
つまらない雑誌を作り上げていくことになる。
一企業に限った話ではなく社会全体でもそう。
「物言わぬ多数派」「静かな多数派」である、
「サイレント・マジョリティ」を無視して、
一部のうるさいクレーマーの少数意見が優先されかねない。
多くの人にとってそれが大迷惑だったとしても。
ようは、意見の多数ではなく、声のでかい人が勝ってしまうのだ。
今回のはだしのゲン騒動は、たった1人のクレーマーに、
どう対応すべきかという問題を投げかけている。
たった1人の陳情者に振り回され、対応したら、
今度は逆苦情が増えたからまた戻そうという、
一部のクレームのみの意見しか聞かずに、
右往左往するポリシーなき担当者や企業は、
意外に多いんじゃないかと思っている。
結局、そうした対応をすれば、
「物言わぬ多数派」からそっぽを向かれ、
でかい声で苦情をいったもん勝ちの社会になり、
多くの人も企業も不利益を被ることになりかねないのではないか。
どんなに多くの人がまともな人だとしても、
たった1人のバカがいれば、
誰もが望まない戦争を起こすきっかけを作ることだってできる。
少数偏執クレーマーに振り回されないために、
物言わぬ多数派が黙っているだけではダメで、
できるだけ意見表明をすることで、
担当者がクレーマーのいいなりになってしまうことを、
多少なりとも防げるのではないかと思う。
・たった1人のバカがいれば日中戦争は起こる
http://kasakoblog.exblog.jp/19784547/
Amazonで買い物する際、下記よりお願いできればありがたいです。
・Amazon
(有料メルマガに頼らない私の方法 http://kasakoblog.exblog.jp/18718552/)
かさこツイッター(お気軽にフォローどうぞ。基本フォロー返しします)
http://twitter.com/kasakoworld
かさこフェイスブック(お気軽に申請どうぞ。基本承認致します)
http://www.facebook.com/kasakotaka