「子や孫のために先祖から受け継いだ土地を守らなければいけない」
奇しくも、徳島の人も和歌山の人も同じような発言をしていた。
かつて原発計画が持ち上がった際、反対運動を行った人のインタビューでの言葉だ。
紀伊水道という海をはさんで、徳島県では蒲生田原発計画が持ち上がり、
対岸の和歌山県では日高原発計画が持ち上がった。
徳島では1976年に。和歌山・日高では1967年と1975年に、原発計画が露見した。
思えばこの時代はまだ福島原発事故はおろか、
チェルノブイリ原発事故さえ起きていない。
福島原発事故が起きた今でさえも、原発推進しようとする、
「おまえは北のテロリストか?日本を破滅させる気か」と思うような、
信じられない主張を繰り広げる人たちがいるわけだが、
そんな時代ではない時に、事故が起きるはるか昔に、
よく原発マネーにたぶらかされず、原発を拒否できたことに驚いた。
そこで徳島、和歌山それぞれでかつて原発反対運動にかかわった人に、
なぜ原発マネーの誘惑を拒み、原発に反対したのかというインタビューを実施し、
それをもとに製作した映画がいよいよ11月末で完成するのだが、
今日、映画の編集動画を幾度となく見ている中で1つの共通項を発見した。
それが上記に紹介した発言。
先祖代々の土地を原発なんかで汚すな!
子孫に自然豊かなこの土地を引き継がなければならない!という思いだ。
徳島県阿南市の畜産農家である米山さんからも、
和歌山県日高町の漁師である濱さんからも、同様の発言が出てきた。
人間は親から子へ、子から孫へと、「命のリレー」をして生きている。
その命の源となるのが自然豊かな町だ。
豊かな自然の恩恵を受け、一次産業が成り立ち、食うことができている。
その土地を原発という一時の金で失うようなことがあれば、
これまで土地を守り育ててきてくれた先祖に申し訳ないし、何より子や孫に申し訳ない。
自分たちの代で原発マネーなんてはした金の誘惑に負け、
先祖代々受け継がれてきた土地を危険にさらすなど、
もっとも恥ずべき行為であるという思いがかいまみえた。
しかし残念ながらすべてがそういう人ではない。
一時の欲望に負け、原発マネーに股を開いてしまうような輩もいる。
どうして原発マネーを強固に拒める人と、
原発マネーに平気で股を開いてしまう人とに分かれてしまうのだろうか?

京都大学学原子炉実験所助教の小出裕章先生が、
映画のインタビューの中で明快に答えてくれた。
自立した人間は原発に頼らない。
自立できない人間が原発にすがる。
今、我々は大きな別れ道に立たされている。
かつての時代とは違い、チェルノブイリでも事故が起き、
絶対に安全で日本では起きないと言われたのにもかかわらず、
福島でとんでもない原発事故が起きた。
しかも事故は今もなお収束のメドはまったくたっていない。
原発を容認してしまった土地の末路は今の日本人ならご存知の通りだ。
風評だの差別だのと抗議したところで何の意味もない。
莫大な原発マネーをもらった裏にはリスクがあり、そのリスクが起きてしまっただけのこと。
まさかこんなことが起きるとは思わなかったと言い訳しても遅い。
徳島も和歌山でもインタビューした人たちの多くは、
「人が住めなくなるリスク」を感じ取っていたのだから。
あらためて原発問題を考える上で、
今、やれ賛成だの反対だのと言っている人の意見ではなく、
福島原発事故が起きる前に、原発の危険性に気づき、
原発マネーにたぶらかされなかった人たちに注目すべきではないか。
なぜ彼らが反対できたのか。
その答えが映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」にちりばめられている。
だから私にとってこの映画は単に原発是か非かということだけではなく、
何かにすがりついて生きていく自立心のない人間なのか、
それとも短期的には茨の道に見えても、自立心を持って生きていくのか、
自立心の有無の人生の明暗みたいなものも、見てとれるんじゃないかと思っている。
ほんのちょっとですが、約5分の映画紹介動画をYoutubeにアップしましたので、
見ていただければうれしく思います。
http://www.youtube.com/watch?v=A6MZ7JLlfOI
<現在上映が決まっているもの>
・2014/1/18(土)武蔵小金井
http://kasakoblog.exblog.jp/21290006/
・2014/1/25(土)横浜鶴見
http://atnd.org/event/E0021290
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