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死の町という言葉を嫌がる人がいるから政治家が嘘をつき事態が悪化する

死の町と言うな!
時々そんな反応をもらうことがある。
不思議に思う。
なぜ?
死の町でしょ。
今まで詭弁を弄してきた政府でさえ、全員帰還は困難だと認めたばかりだ。
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(写真:死の町に掲げられた笑うに笑えない看板。福島県双葉町)

今もなお現在進行形で危機的な状況が続く東京電力福島第一原子力発電所。
福島第一原発20キロ圏内のほとんどが高放射線量により、人の住めない死の町となっている。
これは事実だ。
事実を認めない限り、問題の解決も未来の希望もない。

死の町という言葉を嫌がる人の心情はわかる。
「死」という言葉が強くて、被災者が「かわいそうだ」と同情しているからだ。
でも同情では何も解決できない。
同情するから支援を間違う。
そもそも死の町という言葉を使うなと言っている人のたいがいは、
死の町に実際に行ったこともないし、帰還困難な地域に住む人の話を聞いてもいない。
ただかわいそうだ、きっと被災者が傷つくに違いない。
だからそんな無礼な言葉は使うなと推測でしか物を言っていない。
被災者の代弁者気取りでいるだけだ。

でも福島原発事故はそんな甘いもんじゃない。
本当に日本は大変な事故をしてがし、原発立地住民の被災者だけでなく、
より広範囲の国民に被害を与えた。
しかもなお未だ何の解決もしていない。
それどころか、この先、30~40年は、ずっと危機にさらされているわけだ。

これから4号機の使用済み燃料を取り出すという恐怖のUFOキャッチャーが始まる。
万が一、トラブルがあったらとんでもない事態に発展する。
しかもこの4号機だけで終わりではない。
直近のニュースでは、1号機の燃料棒が震災が起こる前から70本も破損しており、
損傷した燃料棒を取り出す技術は確立しておらず、
日本が平穏無事に暮らせるのははるか遠い未来のことになりそうだ。
そんな状況で、ちょっと除染したぐらいで、
福島原発そばの死の町に住民が戻れるわけがない。危険すぎる。
だから文字通り、死の町になってしまった。

しかし未だにそれは他人事だと思っている人も多い。
それは福島だけの話でしょ。我々には関係ないと。

でもそうではない。
これから原発再稼働しようとしている立地地域やその周辺地域は、
何かトラブルがあったら福島の二の舞になる可能性がある。
これ以上、日本に死の町を増やしてはならない。
そのために「死の町」という言葉を使っている。
いかに原発が恐ろしいか危機感を持ってもらうためだ。

また死の町という言葉にアレルギーを感じている人は、
原発立地自治体の被災者がすべて被害者だと思い込んでいることだ。
確かに被害者ではある。しかし悲しいかな、誤解を恐れずにいえば、
原発を推進し、あぶく銭を稼いできた立地地域の一部の住民は加害者でもある。
津波や地震による天災による被災者とはわけが違う。
危険だとわかっていながら受け入れ、自ら推進し、
起こるべくし起きた事故なのだから。

しかも原発を推進した人だけが被害を被るならともかく、
原発に反対してきた立地地域の住民をはじめ、
原発マネーの恩恵もない周辺自治体にまで迷惑をかけた。
そうした事実を見ず、同情だけに目がくらんで現実から目をそらすから、
「死の町なんていうな」と平然と言えてしまうのだろう。

でも原発を推進した人だけ責めるのは間違っているのではないか。
確かにそう思う。
原発ができたのははるか数十年前の話。
チェルノブイリ原発事故も起きていなかったし、
原発が輝かしい未来のエネルギーとして喧伝された時代であっただろうし、
危険なものとは思わなかったから設置を許してしまったのであって、
今のように原発が危険なものだという常識がなかったはずだと。

私もそう思っていた。
でも1年前、かつて原発計画がありながら、
原発を阻止した場所が全国に34ヵ所もあったことを知った。
私は驚いた。
えっ?そんな昔の時代にもかかわらず、原発を拒否できた町があったのかと。
その中で和歌山県日高原発と徳島県蒲生田原発の反対運動に関わった人十数人に、
インタビューした。

その人たちの話を聞いて私の考えは変わった。
30年前だったから国民は原発の危険性を知らなかったのではない。
チェルノブイリや福島原発事故が起きる前にもかかわらず、
国や電力会社やマスコミが作る安全神話に騙されず、
必ずいつかどこかで事故が起き、人が住めなくなるかもしれないから、
こんな危険なもんはいくら金もらっても反対だ!といって、反対した住民が多くいたのだ。

例えば和歌山県日高町の原発反対運動では、
「日高を死の海にするな!紀伊半島を核の墓場にするな!」
との合言葉で、和歌山県下の住民たちが原発反対で団結したという。
(書籍『原発を拒み続けた和歌山の記録』寿郎社より)

死の町ならぬ死の海。
そのぐらいの危機意識を持っていた住民もいたのだ。

つまり、昔の時代だったから、原発の危険性なんか知らなかったというわけではなかったのだ。
その点について、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏に話を聞いた時、
「原発を立地されようとしていた地域の住民の人たちは、みんな原発が危険だとわかっていた。
その上で原発にすがって生きていくのか、そうでないのか、いつの時代も別れ道がある」
と指摘していた。

だから「安全神話に騙され原発被害にあったかわいそうな人たち」という見方は違うと思う。
それもあってきちんと死の町だと言うことが重要だ。
原発が危険にもかかわらず、原発という破滅のシャブに頼って、
生きていこうという立地住民を増やしてはならないからだ。
それは彼らを守るためでも救うためでもなく、自分たちを守るためだ。
どこかで原発事故が起きれば、広い範囲で放射能汚染が広がることは、
福島原発事故でまともな国民なら知ったはずだ。
原発立地住民が原発がいいといえば再稼働させてしまうのははっきりいって迷惑だ。
彼らは被害者だけでなく他の地域の加害者になる可能性を持っている。
原発動かさないと仕事がなくて生きていけないというなら、
被ばく限度なしに福島原発の廃炉作業に従事すればいい。
いくらでも仕事はあり、この先、30~40年なくならないはずだ。
ただ被ばく限度なしだと30~40年生きていられるかわからないが。

それでも「都会のために電気を作ってきた」という反論が成り立った。
しかしそれもウソだということが311以後、わかってしまった。
原発がなくても電気が足りてしまったからだ。
原発立地に莫大な電源交付金やら寄付金やらを貢いだ挙句、
シャブ漬け自治体は原発を新設しないと金が入らないから、
電気の需給に関係なく、新設を要望し、原発を増やしてきた。
それは都会の人のためではない。
自分たちのためだ。

死の町という言葉にアレルギーを感じている人は、
感覚的な同情で安易に言葉狩りをすべきではない。
それはマスコミが政治家の言葉狩りをするのと同じだ。
だから政治家は国民にウソをつくようになる。
本当のことを言うと批判されるから、
死の町でない、除染すれば帰れるかもしれないとウソをつき、
汚染水は完全にコントロールとかブロックされているとかウソをつく。
政治家がウソをつくのは、厳しい事実を受け止めようとせず、幻想にすがる国民が多いせいだ。
(この点については原発作業員のハッピーさん著
福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間」をぜひ読んでほしい)

ただ私がいくら書き連ねても耳を傾けない人が多い。
だから映画を作った。
かつて原発計画を追い出した住民の生の声を聞けば、
ここに書いてある意味のことは理解できるだろう。

そういえば私が映画監督になるきっかけとなったのは、
プロデューサーが「かさこマガジン3」の死の町レポートを見たから。
「死の町と言い切れるのは死の町に行った人しかいえない」と。

これから日本が幸せに安心して暮らせるために、
何をすべきで、何をしないべきなのか。
ぜひ死の町、死の海にするな!と数十年前に、
原発の危険性に気づいた賢人たちの声に耳を傾けてほしい。

・1/25横浜鶴見で上映!映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」
http://atnd.org/event/E0021290

・日本全国・死の町マップ
http://kasakoblog.exblog.jp/17743674/

・映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」紹介動画
http://www.youtube.com/watch?v=A6MZ7JLlfOI

・「お上に騙されたらあかん」戦争と原発
http://www.youtube.com/watch?v=PEA83PueKDI

・原発20キロ圏内レポート~あなたの家や町が立入禁止になる恐怖
http://kasakoblog.exblog.jp/17660549/

・一生、家に帰れない帰宅難民インタビュー~原発の恐ろしさ~
http://kasakoblog.exblog.jp/17677403/

・同情はいらない。かわいそうって何?~浪江町出身の叫び
http://kasakoblog.exblog.jp/16013691/

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・ミニ写真集「かさこマガジン4」年明けに無料配布!
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by kasakoblog | 2013-11-17 23:23

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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