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秘密保護法成立の今、官僚告発本「原発ホワイトアウト」を読んで考えたい

今回の秘密保護法には大反対だが、
公務員が国の安全保障に関わる重大な機密を漏えいすることに対して、
厳罰に処すべきだという趣旨には大賛成だ。

元海上保安官のsengoku38こと一色正春氏が、
尖閣諸島での中国漁船衝突映像をYoutubeにアップし、
それを多くの人が称賛したが、あんな愚かな行動はあり得ない。
一保安官ごときが自分の勝手な判断で、
外交戦略上に大きな影響を及ぼすような材料を、
無断でネットに流すなんて国家反逆罪ものの犯罪であり、
下手したら戦争になりかねない事態にもなる。
だから公務員が安全保障に関わる重大な機密を漏えいすることに、
厳罰に処すのは当然のことといえる。

ただ一色氏のような問題を防ぐために、
秘密保護法を制定する意味がわからない。
そもそも勝手に情報を持ち出しネットでアップできてしまうような、
セキュリティのなさ、管理の甘さ自体がずさんすぎるのであって、
そこを見直せば国家機密の漏えいなど起こらない。

また今回の法律でも問題になっているように、
何が漏らしてはいけない秘密なのかがあいまいすぎ、
いくらでも勝手に解釈可能なのが問題だ。
例えば一色氏の問題でいえば、
中国漁船衝突映像は国民に公開してはいけない国家の秘密なのか否か、
はっきり判断がつかない。
秘密があいまいだから、拡大解釈を恐れて反対している人が多い。

一方、公務員が知り得た国家機密を漏えいすることが、
むしろ国民のためになることもある。
国が不正なことを行っている事実を国民に公表する内部告発だ。

秘密保護法成立と同時に、原発事故が収束できないずさんさが露呈しているのに、
「原発は重要なベース電源」などというエネルギー政策の転換をしようとしている。
原発がなぜイカサマなのか、なぜ危険なのかを現役官僚の立場から、
小説という形をとりながらも事実に近い形で出版した本が「原発ホワイトアウト」だ。

小説としては稚拙で非常に読みづらいし、
ここに書かれている原子力村の実態は目新しいことはないが、
国民が知るべき基礎知識として読んでおいた方がいい。
なぜ不要な原発が推進されるのか。なぜ危険な原発が推進されるのか。
今の電力会社がなぜイカサマなのか。

この本の中で、公務員の情報漏えいと内部告発の兼ね合いを考える、
非常に興味深い話が出てくる。
(ネタバレ含むので注意)

原子力を規制する原子力規制庁の審議官が、
原発をなんとしてでも推進し、その見返り=天下りを得るために、
規制の対象となる原発事業者に事前に報告書案を漏らしてしまう。

こうした原子力村の不法行為が行われていることを嗅ぎ付けた官僚が、
不正が行われている現場を盗聴し、
その証拠をメディアに渡しスクープとして国民に大々的に知らせた。

ところがこの官僚は国家公務員法の守秘義務違反で逮捕され、
官僚から証拠を入手したメディアの人間は、教唆犯として逮捕されてしまう。

これについて官房長官は、
「原子力規制庁においていかなる内容といえども、
その機密を漏えいすることは許されるものではなく厳罰に処す」と説明するが、
ある記者が「責められるべきは、天下りと引き換えに報告書の内容を漏らした、
審議官なのではないのか?」と質問したが、
官房長官は「報告書の内容は法律上保護に値する秘密でないと判断している」と答弁する。

・・・・
まさにこの話こそが今回の秘密保護法の大問題となる点だろう。
国民を騙し、原発事業者に有利に働くよう、
事前に報告書を漏らし、しかもその見返りまで得ている公務員が、
「秘密じゃないからOK」という話になり、
こうした不正を暴いた公務員と民間人が、
「重大な秘密を漏えいした」として厳罰に処せられるというおかしさ。
この「小説」で書かれていることが、秘密保護法によって強化され、
規制すべき対象にもかかわらず、見返りがある特定事業者への機密漏えいはスルーされ、
不正を暴いた人が処罰されるということが罷り通ってしまうようになる。

言ってみれば秘密保護法は国家の不正を暴く内部告発封じであり、
一色正春氏のような愚行がきっかけだったかもしれないが、
現役官僚が原子力村の不正を暴く、
「原発ホワイトアウト」のようなものを公開されることに恐れをなし、
何が何でもあわてて成立させねばと焦ったのではないか。

その証拠に、政府はエネルギー政策を転換し、
「原発をベース電源にする」などとトンデモなことを言い出した。
原発の危険や原発推進のイカサマが漏れてしまうことを、
秘密保護法によって封じ込めることができれば、
原発エネルギーが国家にとって必要だから推進されるのではなく、
単にズブズブな事業者から見返りを得られるから、
危険だろうが何だろうがヤバイ情報は法律を盾に国民に隠ぺいし、
原発を推進して金儲けできるという理由を正当化できるのだ。

秘密保護法成立と同時に原発をベース電源にするという動きを見れば、
原発事故が起きようが、死の町となって住民が二度と故郷に戻れなかろうが、
原発事故が何も収束していなかろうが、自分たちの利権のためだけに、
原発が推進されていることがよくわかる。

国民のために原発が推進されているんじゃない。
エネルギーが必要だから原発が推進されているんじゃない。

秘密保護法と内部告発という問題を考える上でも、
小説としては稚拙だが現役官僚が告発した「原発ホワイトアウト」は、
ぜひ一度目を通しておいた方がよい。

「原発ホワイトアウト」

また原発がいかに危険でイカサマに推進させられてきたか、
原発を押しつけられようとした住民の証言をまとめたドキュメンタリー映画、
「シロウオ~原発立地を断念させた町」もぜひご覧いただければと思います。
・2014/1/25映画「シロウオ」前売り券販売開始!当日券より500円OFF!
http://atnd.org/event/E0021290

・sengoku38=一色正春氏英雄論の恐怖
http://kasakoblog.exblog.jp/18841933/

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by kasakoblog | 2013-12-07 13:04 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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