他県のことは案外知らないリスク~原発を拒んだ和歌山・徳島
2013年 12月 21日

昨日は和歌山で、今日は徳島で、
映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」に出演していただいた方々に映画を見ていただいた。
メディアも含み、和歌山では10数人、徳島では約30人の方が集まった。
徳島の上映会では映画前半は自分たちの町の話。
札束をちらつかされて、原発というクソを押し付けられそうになっても、
はした金にたなびくことなく、電力会社のやらせも見抜き、
原発計画を拒否した話は、地元の人ならよく知っている。
もう数十年前とはいえ、自分たちの町で起きたことだから。
映画の後半はその対岸にある和歌山で原発計画があったにもかかわらず、原発を拒んだ町の話。
見てきていただいた方の何人かは、徳島で原発を拒んだ話を知ってはいるが、
和歌山で計画がいくつもあり、それを反対運動によって阻止したことは知らなかった、
という人が何人かいた。
原発の恐ろしさ。
それは危険が越境することだ。
原発のクソを食らうのと引き換えに、
あぶく銭をもらって喜んでいる原発立地自治体は自業自得であり、
ある意味、確信犯的に、危険を承知で金をもらったのだから、
事故が起きようが風評被害が起きようが文句を言う筋合いはない。
そういうリスクと引き換えに棚からぼたもちをもらったのだから。
しかし原発のクソを拒否し、腐った原発マネーを拒み、
子や孫に恥ずかしいことをしたくないと立派に拒否した人であっても、
すぐお隣の他県に原発を作られては努力は水の泡だ。
和歌山と徳島。
海をはさんで“隣り合っている”がゆえに、
せっかく徳島で原発を拒んで安全な町にしたとしても、
和歌山でできてしまえば金はもらえないのに被害だけもらうという、
とんでもない事態になってしまう。
だからこそ今回の映画は2つの県を取り上げた。
自分たちの町に原発がなければそれでいいという話ではない。
自分たちは危険を承知で金が欲しいから原発を誘致したからいいという話ではない。
原発とは他県にも迷惑を及ぼす代物なのだ。
今回の映画では、その危険に気づいた人たちが、県をまたいで、海をはさんで協力しあい、
どちらにも原発を作らせないことで、温排水は汚染水を垂れ流すような危険な海にさせなかった。
でも原発を拒否した徳島の地元でさえ、他県のこととなると知らない人もいるとなれば、
いわんや都会の人や原発立地していない地域の人は、
さびれた地方だからといってすべての自治体が、
原発マネーに股をひらいたわけではないという事実を知らないのではないか。
私も知らなかった。
だからこの映画を作った。
自分のところに原発がないから安全では済まされないということや、
自立心を持った人間は福島原発事故やチェルノブイリ原発事故が起きるはるか昔に、
原発のイカサマを見抜いていたということを知ってほしいからだ。
その事実を知った上で、原発再稼働をどう捉えるのか。
原発問題を考える上でぜひとも知ってほしい事実がこの映画に描かれている。
和歌山でも徳島でも出演者の方で映画を見終えると、目を潤ませていた方が何人かいた。
それは数十年前に、原発マネーにたぶらかされる人が多い中、
いつか必ず大変な事故が起きるから絶対に原発を作らせてはならないと、
反対運動にかけずりまわり、原発を阻止できたことの意義が、
皮肉なことに2011年3月の福島原発事故で明らかになったからだと思う。
福島のような事故が必ず起こるから原発はダメなんだ。
でも事故が起きる前にそう連呼したところで、
「人が住めなくなるような事故が起きるわけがない」と一蹴された。
しかし福島の事故で死の町になったことで、彼らが言っていたことが現実になった。
狼少年扱いされていた疑念が、福島原発事故により、そうではないことが証明されたのだ。
だから今になって地元の人からこう喜ばれる。
「よくあの時、原発を止めてくれた。
おまえらが反対してくれなかったら、今頃、安心して生活することはできなかった」のだと。
そして今、また同じ岐路に立たされている。
安全だとか必要だとかいう言葉を信じて、原発を再稼働させてしまうのか。
それとも福島原発事故で起きたことや、、
過去に原発事故の危険性を訴え、原発を追い出した町の住民の証言を見て、
やはり原発はまがいものだと気づくのか。
特定秘密保護法案を急いだのは戦争するためなんかじゃない。
来年から原発を再稼働させるためだ。
現役官僚による「原発ホワイトアウト」のように、
原発のイカサマぶりを公務員の内部告発によってばらされたらまずいから、
何が何でも原発再稼働を始める前に施行は後でも法案だけでも成立させておき、
不都合な事実を隠ぺいする抑止力にしようとしている。
福島原発事故は想定外なんかじゃない。
原発を拒んだ町の人たちは一様に福島原発事故のようなことが起きる危険性に気づき、
断固として原発計画に反対したのだ。
そういう人たちがいるということを知らないまま、
原発問題もエネルギー問題も語れない。
和歌山・徳島での映画お披露目を通じて改めてそんな風に思った。
出演者が目を潤ませたのは、原発によって町を汚されず、
子や孫に恥ずかしいことをせずに済んだという安堵感と達成感もあったからだと思う。
東北沖や首都直下型地震だけでなく、
西日本全域を襲う南海トラフ地震も危惧されている今、
先見の明があった原発を拒んだ町の住民の人たちの声に耳を傾けてほしいと思う。
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※2014/1/18の武蔵小金井の上映会は満席になりました。
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