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福島原発の設計に関わった元東芝技術者の警告『原発を並べて自衛戦争は出来ない』

福島第一原発の設計に関わった、元東芝技術者の小倉志郎さんにお会いしたのは11月末のこと。
原発計画を阻止した町を描いたドキュメンタリー映画、
「シロウオ~原発立地を断念させた町」の上映会を横浜鶴見で開催することにしたのだが、
プロデューサーから「横浜での上映を手伝ってくれる人がいる」と紹介されたのが小倉さんだった。

なぜ原発を設計した元技術者が、原発に反対する映画の宣伝を手伝ってくれるのか?
小倉さんはもちろん当初は原発を良しとする側にいた。
「原子力による発電という新しいエネルギーの創出は、
日本のためになる、国のためになる。そう信じて原発の設計に携わっていました」と話す。

小倉さんが原発に対して疑問を持ち始めたのは、
原発に関わってから14~15年過ぎた頃のこと。
今までは設計中心でいわばデスクワーク中心。
原発がいかなるものかは机上のものでしかなかった。

その後、小倉さんは机上で原発を設計することから、
原発の現場に行く仕事に携わるようになった。
そこで経験したことは「これが夢の技術の原発なのか」という驚きと失望だった。

放射線管理区域に入って作業するには、まるで宇宙服のような防護服を身に付け、
靴も履き替えなくてはならず、手袋も何重もつけなくてはならない。
一般的な建設現場の作業員のような服装とはまるで違う。
厳重な防護をしないと作業できないという、
あまりにも非効率な原発の現場を肌で知り、
「原発は産業として将来はないな」と感じたという。

その時から、今まで国のためになると信じてきた原発への疑問が芽生え、
原発の危険性や電力会社や政府の隠ぺい体質を目にし、原発反対へと変わっていったのだ。

ただだからといって原発技術者を辞めることはできなかった。
自分の生活もある。転職するといっても原発技術しか持ち合わせていない。
そして何より小倉さんが感じたのは、
「原発の情報は内部の人間にしかわからない。
辞めて外へ出てしまったら、原発の危険性はわからなくなってしまう。
どうせなら内部にいて原発を徹底して見て調べよう」ということだった。

原発技術者として勤めて定年を迎えた後、
小倉さんは2007年に匿名で『原発を並べて自衛戦争は出来ない』という記事を、
雑誌「リプレーザ」に発表した。

自民党政権が憲法改正論議を始め、
国を守るため、自衛をするためには、
憲法9条を改正しようという動きが出てきた頃だった。

そこで小倉さんは『原発を並べて自衛戦争は出来ない』という記事を書いた。
国を守るために憲法改正しようと動きがあるが、
どこかの国と戦争状態になった時に何より危険なのは、日本に50基以上もある原発であると。
原発技術者の立場から使用済み燃料の危険性にふれ、
原発は武力攻撃に対する備えはまったくなされていないこと。
ましてやテロ攻撃などにはまったく無防備であること。
もし原発が武力攻撃を受けたら、
その周辺は人が住めない土地になってしまうことを警告した。

しかし皮肉なことに、戦争による武力攻撃などなされなくても、
日本の原発は「自爆」してしまった。
2011年3月11日の東日本大震災だ。

武力攻撃なんかではなく地震と津波で原発がやられ、
危惧していた原発事故が起き、広範な地域に放射能が漏れ、
人が住めない町まで出てきてしまったのだ。
武力攻撃ではなかったが、最も恐れていた原発事故が起きてしまった……。

小倉さんは複雑な思いでいた。
原発技術者として関わった福島第一原発が大惨事を起こしたことは他人事ではない。
責任の一端を感じながら、原発の危険性について、
元原発技術者として訴えていかなくてはならない。
そう思い、匿名での活動をやめ、実名顔出しして、
「もうこれ以上、惨事を繰り返してはならない」との思いから、
原発反対の運動などに積極的に関わるようになった。

私もそうだが、昔から原発に断固反対だったわけではない。
311が起きる前までは、原発は必要悪だと思っていた。
ないに越したことはない。
でもなければ今の経済は成り立たないのではないかと。

またどこかで楽観もあった。
「いくら原発が危険なものといえども、技術立国の日本で、
まさかずさんな原発事故が起きるわけもないし、
起きたとしても放射能が大量に漏れるような重大事故は起こるまい」と。

しかしすべて311で打ち砕かれた。
次々と原発管理のずさんさが浮き彫りになった。
起きるべくして起きた事故とさえいえるだろう。

1/25の横浜鶴見の上映会では、映画上映後、
監督である私の話に加えて、小倉さんにも登壇いただき、
原発について話をしてもらう予定でいる。

原発推進とか反対とか関係なく、
原発誘致の段階から、電力会社のイカサマに気づき、
人が住めなくなるような大事故がいつか必ず日本でも起こると信じ、
目先の原発マネーの誘惑を拒んだ住民のドキュメンタリー映画を見てほしい。
そしてまた私や小倉さんのように、前々から断固として原発反対でなかった人が、
なぜ今、原発反対運動に力を入れているのか、知ってほしいと思う。

それにしても再び憲法改正論議が本格化しそうな気配の中、
アジアとの対立を煽る現政権下では、小倉さんが2007年に警告した、
原発が武力攻撃に狙われて事故が今度こそ本当に起きてしまうかもしれない。


http://www.youtube.com/watch?v=0lOAKmX-0Jc

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by kasakoblog | 2014-01-10 00:52 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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