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消費者が不便になる既得権益の作り方~ミャンマーのカゴ屋と原発

日本社会の大きな問題の一つに既得権益がある。
既得権益ってなんだか難しそうだけど、読んで字のごとく、
すでに得ている利益や権利のことだ。

例えば、新しくネットが登場した時に、
テレビや新聞など、既存メディアにとっては脅威なわけです。
自分たちの商売が儲からなくなってしまう可能性がある。
だから政治家などに圧力かけて、自分たちがネット対応能力を身に付けるまで、
ネットを急速に普及させないよう、様々な規制をもうける。
消費者にとっては便利なツールが使えないので「損」になるのだが、
既得権益を守るために、このようなことが起きてしまう。

ただあまりに社会が複雑になりすぎると、
一体、何がダメな既得権益なのかがわからなくなる。
そこで既得権益という概念を理解する上で、
非常にわかりやすい例がミャンマーであったので紹介したい。
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ミャンマー屈指の仏教徒の巡礼地にチャイティーヨーという場所がある。
落ちそうで落ちない金箔に塗りたくられた岩=ゴールデンロックがあり、多くの巡礼者で賑わっていた。
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ただここは、ものすごく不便な場所にある。
標高1100mの山頂にあるのだ。
キンプンという山麓の村から山の中腹にあるヤテタウンまで、
トラックの荷台に詰め込まれるバスに乗れるのだが、
ヤテタウンから山頂のゴールデンロックまでは、
外国人は山道を約40分ほど歩かなければならなかった。
地元の人は山頂までトラックで連れて行ってくれるにもかかわらず。
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外国人は山の中腹で降ろされる。
当然、山道を登るのは大変だ。
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そこでかつて繁盛していたのが人力カゴ屋さん。
人や荷物を山頂まで人がカゴに乗せて運んでくれる人たちがいるのだ。
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さらにはヤテタウンから山頂までの40分の山道には、
途中途中、何軒もの飲み物屋や休憩所やおみやげ屋があった。
休み休み行くからそこでお金を落としてもらえるというわけだ。

ところがなんと2013年末ぐらいから、
外国人も山頂までトラックバスに乗せてもらえることになったのだ。
もうこれでわざわざ山道を登る必要はない。

ところがこれに猛反発したのがカゴ屋さんと山道途中の店の人たちだ。
頂上までトラックに乗せてしまったら商売にならない。
ミャンマー人のガイドさんによると、彼らは、
外国人を頂上までトラックに乗せることに反対したのだが、
願いかなわず、外国人も頂上まで行けるようになってしまった。

私は山の中腹から山頂まで歩いたらおもしろいかもしれないと考え、
頂上まで行けるのにわざわざ途中で降りてしまったのだが、
30度を超える炎天下の中、重いリュックを背負って、山道を歩くのは相当ハードだった。
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しかしカゴ屋さんはほとんどいない。
店も閑散としていて、やっている店も少ない。
そりゃそうだ。みんな頂上までダイレクトで行けるようになったのだから。

もしカゴ屋さんや山道途中の店の人たちが、例えば地元の政治家に圧力をかけ、
「俺たちを見殺しにする気か!」「雇用を守れ!」「弱者を切り捨てるな!」
などともっともらしいことを言い、自分たちの言い分を通してしまったらどうなるか。
確かに彼らは儲かるかもしれないが、外国人にとってはいい迷惑だ。
「そんなにしんどい道ならゴールデンロックに行くのをやめるか」と思う外国人観光客もいるだろう。

現に今回、私もゴールデンロックに行くのか相当悩んだ。
地球の歩き方ミャンマーの情報が古く、しかも情報が少ないので、
山頂までトラックで行けることを知らず、「しんどいからやめるか」とまで思っていたのだ。

これがまさに既得権益による社会の発展の阻害だ。
頂上まで行けるよう便利にして、多くの外国人観光客を呼び寄せた方が、
長い目で見て結果的には地域のプラスになるはず。
しかし既得権益がはびこっていると、自分たちの利益を優先して、
客に不便な思いをさせ、結果としては地域を衰退させてしまう。

だから私は地方とかで商店街がシャッター街になってかわいそうだから、
税金や政策でなんとか助けるべきだみたいな、意味不明な同情論は大嫌いだ。
品ぞろえは悪い、サービスも悪い、営業時間は短い、値段は高い商店街を守り、
なぜ品揃えも豊富で、サービスもよく、営業時間は長く、値段は安い、
便利な大きな店を「大企業=悪」に仕立て上げて、
こいつらが進出したせいで仕事がなくなっただの、地域が衰退しただのとわめくのか。
まるでミャンマーのカゴ屋や山道の店と同じ論理だ。
客に不便をさせようが自分たちの食い扶持が確保できればいい。
政治家にすがろうとする依存心の高い腐った住人がいるせいで、
逆に地域は衰退していくのだ。

実はこの構図はまさに原発がそのままあてはまる。
原子力村という既得権益のために、いりもしないまがいものの電源を推進してきた。
結果、事故は起こすは、事故後もミスは連発するは、
ろくに管理はできないは、除染や廃炉作業で金はかかるは、
税金や電気料金の金食い虫のガンとなっている。

それでもミャンマーのカゴ屋と同じ。
他に便利な手段があっても、俺たちが食えなくなるから、
他の手段は何が何でも阻止して、原発ありきで進めさせるんだ、
というのが、今の自民公明であり、またそれを支持する国民であり、
福島原発事故が起きたにもかかわらず、原発再稼働や新設を容認するような、
税金の寄生虫ともいうべき原発立地自治体の容認派住人だ。

ミャンマーですらという言い方はミャンマーに失礼だが、
山頂までトラックで観光客を運んであげようと決断したわけだ。
カゴ屋や山道途中の店が潰れてしまうのは時代の流れからすれば避けては通れない。
その分、観光客が増えれば、山頂でのビジネスチャンスが増えると考え、
ビジネスモデルや仕事をチェンジしなくてはならない。
でもそれが面倒だから既得権益を盾に大義名分をふりかざし、
自分たちの利益しか考えず、結果として全体は「損」をする。
これが既得権益による社会の病理の縮図なのである。

さて日本はいつまで原発という名の既得権益にしがみつくのか。
しがみついたら原発で豊かな町になるどころか、
死の町になり、さらには人が住めないからイノブタが繁殖し、
一部の町ではイノブタ王国になっているというではないか。

福島原発事故が起きてもまだ目が覚めないのだろうか?
それとも原発再稼働容認派は日本をイノブタ王国にでもしたいのだろうか?
誠に不思議な話である。

しかしこのおかしな既得権益のからくりに30年以上も前に気づき、
まがいものの原発を阻止した町が30以上も全国にあったことを、
我々は日本人なら知っておかなければならないだろう。

<私の初監督作品・映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」上映情報>
・3月4日(火)東京・江古田
時間:18:30~20:15
場所:ギャラリー古藤(東京都練馬区栄町9-16)
料金:予約1000円、当日1200円
予約:fwge7555@mb.infoweb.ne.jpまたは03-3948-5328

・3月15日(土)東京・江古田
時間:1回目13:00~14:45、2回目16:00~17:45
※監督トーク:15:00~15:30
場所:ギャラリー古藤(東京都練馬区栄町9-16)
料金:予約1000円、当日1200円
予約:fwge7555@mb.infoweb.ne.jpまたは03-3948-5328

・3月22日(土)東京・錦糸町駅前マルイ9階
時間:1回目17:30~19:15、2回目19:30~21:15
料金:1000円※予約不要
19:15~19:25 監督ビデオメッセージ

・3月22日(土)大阪中津ピエロハーバー
昼の部:上映14:00~15:45、監督トーク15:50~16:20
夜の部:上映18:30~20:15、監督トーク20:20~20:50
料金:前売券1000円、当日券1500円
申込方法:前売券イープラス
※イープラスのホームページより「シロウオ」で検索
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002120535P0030001

上記映画上映会場で、かさこオフ会開催
21:10頃より~23時頃まで。参加費1ドリンク500円+料理実費

・3月23日(日)長野飯山市民会館ホール
時間:上映14:10~16:05、プロデューサートーク~16:30
料金:前売1000円、当日券1500円
お問い合わせ先=080-5143-1640(上映実行委員会・市川)

・4月13日(日)東京・阿佐ヶ谷
時間:上映13:40~15:25、監督トーク15:30~16:00
場所:杉並区立産業商工会館
料金:前売券1000円、当日券1300円
申込み shirouo.movie@gmail.com
主催:『シロウオ』上映プロジェクト(福島原発事故緊急会議)
電話080-3270-5897(矢部)090-6146-8042(かいどう)

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by kasakoblog | 2014-03-03 23:12 | 旅行記

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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