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刑事を辞めて46歳で独立起業!退職のきっかけは原発爆発遭遇~元刑事インタビュー

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「今やね、刑事が独立起業する時代なんですよ。
覚悟を決めれば誰だって独立できますよ!刑事の私だって起業できたんですから」

そんな話を聞いたのは4月に行われた天職塾でのこと。
天職塾は「好きなことで起業できる」の著者・三宅哲之さん主催のセミナーなのだが、
そこで天職塾生で独立起業した元刑事の森透匡(ゆきまさ)に出会った。

子供も2人いて46歳で安定した給料がもらえる刑事を辞め、なぜ独立しようと思ったのか。
森さん(現在47歳)にインタビューした。(取材日:2014年5月2日)

1:両親の離婚、再婚で荒れた家庭で周囲を見返したいとの思いから刑事に
「うち、両親が離婚、再婚を繰り返して荒れた家庭だったんですよ」
なぜ刑事になろうと思ったのかという質問に対し、森さんからそんな答えが返ってきた。

お父さんは頑固一徹の九州男児。
そんなお父さんについていけず、お母さんが家を出てしまう生活。
お父さんは星一徹みたいな人で、何かあれば森さんもぶん殴られて怒られることも多く、
荒んだ家庭環境から、不良の道を歩んでもおかしくはなかった。

中学生になったらぷらぷら遊んでグレようと思っていた。
しかしたまたま学校で行われたソフトボール大会に出た時、森さんがホームランを連発。
それを見た野球部の監督が「野球部に入ってほしい」と何度も懇願。
「めんどくせいし、遊びたいから、やだ」といっていたものの、
あまりにも懇願されるので野球部に入ったが、
「このおかげで不良の道に進まずに済んだ」と森さんは話す。
野球に熱中できたからだ。キャプテンとして活躍した。

高校は野球の名門校に入り、甲子園を目指した。
甲子園には行けず、高校生活が終わりを告げ、さてどうしようかと思った。

家庭は相変わらずぐちゃぐちゃ。
「あの変な家庭のところの子供だよね」と周囲の目は冷たい。
その時、森さんは思った。
「このままだと、不良かヤクザ。
でも周囲の人たちを見返す立派な職業につきたい」
そんな思いから高卒で警察官になった。

2:とんとん拍子で昇進も大物政治家事件で疑問を持ち、独立を考えるように
周囲を見返したいとの思いでガムシャラに働いていた森さんは、
同期の誰よりも早く、通常の5~6年早いスピードで昇進していく。
23歳の若さで刑事に抜擢。知能・経済犯を扱う捜査2課に配属された。
以後20年以上、詐欺、横領、贈収賄、選挙違反などの事件を担当。
35歳の若さで警部に昇進するなど、
階級社会の警察の中で、順風満帆な生活を送っていた。

しかしある事件をきっかけに仕事に疑問を抱くようになる。
大物政治家が絡むある事件を進めていたのだが、
理由もよくわからず捜査の撤退を指示されたのだ。

「今まで刑事をやってきてこんなことは一度もなかった。
組織に対し、初めて不信感を覚えた大きな出来事でした」

部下とともに悔しがったが、どうやっても組織には逆らえない。
その時、今までまっしぐらに歩んできた警察人生に疑問を持つようになった。
組織に逆らえない組織人間で終わってしまっていいのか。
自分が正しいと思ったことをできる仕事はないのか。
この頃から漠然と独立起業を考えるようになった。

3:311で福島・浪江町に派遣。5日間で2度死ぬ思い
知能犯・経済犯の刑事が長かったが、2011年に広域緊急援助隊に異動となった。
広域緊急援助隊とは、大規模災害が起きた際に、
被災地に救援活動などを行うための警察組織だ。
1995年に阪神・淡路大震災が起きた際、
警察には災害時に緊急に対応する部隊がなかったため、
この時の教訓をもとに結成された。

森さんが隊に配属された直後の2011年3月11日、東日本大震災が発生。
千葉の中隊長だった森さんは、福島の浪江町に派遣されることとなった。

3月11日夜に出発し、3月12日朝に到着。
被災地での避難誘導活動をしている際に、とんでもない知らせが舞い込んできた。
「中隊長!原発が爆発しました!!今すぐ逃げてください!」
防護服など何も身をまとっていない森さんらは、
何が何だかわからないまま南相馬の方へと避難した。

「とりあえず部隊は無事のようだ・・・・・・」
大量に放射能漏れが起きる中、高線量の浪江町にいて、
防護服もなく、福島に派遣され、あわてて避難し、ひとまず命は無事だった。

その後は南相馬の沿岸部で救助活動をした。
震災から5日目だったが、津波による甚大な被害にあった場所で、
救助すべき生存者はいなかった。
多くの方が津波で水死してしまったからだ。

強い余震が何度も続く最中、瓦礫の山をかきわけ捜索。
そんな中「津波がくるので逃げてください!」との警報が発令された。
沿岸部でほとんどが平地。
逃げられるのは311の津波でも助かった6mほどの高台のみ。
とりあえずそこに逃げたものの、「ここで大丈夫なのか?」
という不安のもと、新たな一報が舞い込んだ。
「311の時よりもすごい津波がくる!逃げてください!」

えっ、どこへ?
近隣に給油に行ったバス2台を呼び戻し、
あわててみんなでバスに乗り込み、山の方へと逃げた。
結果的には誤報だったが、もし津波がきていたら、
死んでいてもおかしくないと思った。

「刑事という仕事柄、死の覚悟を持って仕事をしてきました。
でもこの20年以上、いろんな犯罪者の取り調べをしたり、
現場に行ったりもしたが、死ぬかもしれないと思ったことは一度もなかった。
それが311の5日間で二度も死ぬ思いをした。
原発爆発と津波警報。
幸いにして生き残ったものの、
『人間なんて何かあったら簡単に死んでしまう。
死ぬ時はあっけなく死んでしまうものなのかも』
という思いを強烈に感じさせられました」

その後も、何度も被災地に行き、災害による凄惨な現場を見るにつれ、
人生のはかなさ、短さ、有限性を知った。

たった一度の人生。
このままでいいのだろうか?
いつ死ぬかもわからない人生の中、
やりたいことをしたいという思いが高まり、
独立起業を真剣に考えるようになった。

4:ビジョンもビジネスモデルもないまま退職も、セミナーが大人気!
刑事時代から、独立起業の本を読んだり、セミナーに行ったりするようになった。
三宅哲之さん主催の天職塾にも参加するようになった。
そして2012年8月に退職。
27年間の警察生活にピリオドを打った。

妻と2人の子供がいて、住宅ローンも残っていたが、
「もしうまくいかなかったらマンションは売って、
子供は独立して生活してもらい、
夫婦二人で6畳一間のアパートに暮らせば生活できないことはない」
と覚悟を決めた。

独立起業準備期間に時間が欲しかったが、
辞めやすいタイミングで辞めたため、
これといったビジネスモデルやビジョンもないまま、
何を仕事にすべきか模索の日々。

刑事という経歴は絶対に活かすべきだ。
とはいえ探偵や警備の仕事をしたいわけではない。
刑事生活で身に付けた生活で、一般社会に役立つことは何か。
そこで思いついたのが、ウソを見抜く技術を教えることだ。

「これまで数多くの詐欺事件に携わり、
ウソをつく人間の取り調べを多くしてきましたので、
実社会でも多い詐欺にあわないために、
ウソを見抜く技術が役立つのではないかと思いました」

そこで2013年3月からウソを見抜く技術を教える「刑事塾」をスタート。
参加者に刑事バッジを配布し、新米刑事になったつもりになってもらい、
ケーススタディをもとにウソをついているのかどうか、
「捜査会議」という名のワークをやってもらったりするなど、
楽しいセミナーを開催したところ、大人気に!
セミナー参加者の口コミで、企業や団体や商工会議所などから、
講演をしてほしいという依頼があっという間に増え、
今は講演業を中心のビジネスを行っている。

「はじめは仕事もなく、苦しかった。
1年目は馬車馬のように働いたが、それでも刑事時代の給料には到底及ばない。
でも独立2年目になってようやく軌道に乗り始めてきた」という。

森さんは刑事時代と独立時代の違いをこんな風に表現する。
「刑事って犯人を捕まえなくても給料はもらえるわけです。
でも独立したら自分で結果を残さなきゃお金はもらえない。
これは大きな違いです。
雇われるという立場がいかに甘いものか、独立して思い知りました」

それでも独立してよかったと話す。
「人生の長さは同じだとしても深さが違う。
大変な面は多いものの、誰にも拘束されず、自由に時間を使えるのがいい」

それにしてもよく刑事から独立できたと思うのだが、
その秘訣についてこんなことを話してくれた。
「警察官は頭を下げるよりも下げられることの方が多い。
だから自分が偉いと勘違いする人もいる。
例えば、性犯罪にあった若い女性がくると、
『こんなミニスカートはいて露出しているから被害にあうんだ』
といった説教を始めてしまう人もいる。
でもそうじゃない。
犯罪被害にあった方のために犯人を捕まえるのが刑事の仕事。
でも自分は絶対にエラそうな刑事にはなりたくなかった。
常に被害者目線。市民感覚を忘れない。
被害者のために、困った人のために何はできるか。
お客様目線で刑事の仕事をしてきて、頭を下げることもできるので、
独立しても仕事はうまくできるんじゃないかと思いました」
今はこうしてのびのび楽しく仕事をしている。

・・・・・
人生は有限。
たった一度の人生なのに、今のままでいいのだろうか?
刑事から独立。しかも46歳でなんて、普通に考えたら無謀な試みだが、
311で死ぬ思いを経験したからこそ、人生の有限性に気づき、
自分のしたいことをして人生楽しく過ごしている。
そんな人が世の中にはいる。

あまり準備しないまま、独立起業すると、
かえって悲惨な人生にもなりかねないので、
その点は注意した方がいいとしても、
会社員時代から今の人生でいいのか、今の仕事でいいのか、
自分は何をやりたいのか、そのためにどんな準備をしたらいいのか、
真剣に考えてみてはどうだろうか。

いつ死ぬかもわからない時代。
イヤなことして生きているなんてもったいない。

・生き方・働き方ホームページ
http://www.kasako.com/life.html

・森さんのホームページ(セミナーの案内などもあり)
http://clearwoods.co.jp/

・詐欺?採用面接?もう騙されない!!! 刑事塾!!
元刑事がウソ(人間心理)の見抜き方を教えるブログ
http://ameblo.jp/aozoratoumi-3/

・天職塾主催の三宅さんインタビュー記事
超エリート社員がたった一言で左遷・パワハラ・退職。転職失敗も独立し奇跡の復活
http://kasakoblog.exblog.jp/21858353/

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by kasakoblog | 2014-05-02 20:38 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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