夜はショーダンサー、昼は行政書士のニューハーフ!~依田花蓮さんインタビュー
2014年 06月 21日
![夜はショーダンサー、昼は行政書士のニューハーフ!~依田花蓮さんインタビュー_e0171573_2352344.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201406/21/73/e0171573_2352344.jpg)
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売れない芸能人ゆえ親の身元保証人にもなれない現実に直面し、
そんな情けない自分に嫌気がさし、芸能の世界をあきらめ、
就職しようと思ったものの、どこも雇ってくれるところはなく、
ハローワークでアドバイスされたのが行政書士の資格を取得。
行政書士を目指していたところ、ショーダンサーの仕事の話が舞い込み、
昼は行政書士、夜はショーダンサーという、
似ても似つかない職種をかけもちで仕事をしているのが、依田花蓮さん(42歳)。
36歳までゲイの男性として生きていたが、豊胸手術&性別適合手術をし、
37歳からは戸籍上も女性として生きているニューハーフだ。
一度は芸能界をあきらめたものの、
女性に転換し、行政書士の資格を取得したことで、
再びメディアから注目を集めるようになった。
花蓮さんの紆余曲折の人生をたどりながら、
一見、関係のない2つの職種をかけもちすることで、
人生が開けた二足のわらじの効果は、今後の新しい働き方のヒントになる。
(取材日:2014年6月19日)
1:アルバイト求人雑誌がきっかけで芸能界に!
長身で男前にもかかわらず、小さい頃から女っぽい仕草があり、
埼玉での小学校時代はオカマといじめられることも多かった。
小学校6年生の時に沖縄に転校。
沖縄の中学、高校に通い、5年間、沖縄で過ごしたが、
なぜかいじめられることは少なくなった。
中学3年生の時にはクラスの男の子とファーストキスをしたという。
いろんな意味で本土とは違うことが多くカルチャーショックを受ける。
基地問題、日の丸・君が代問題、不発弾撤去など、
戦争問題と向き合うきっかけにもなった。
その後、名古屋の高校に転校。
高校卒業後は一浪して、青山学院大学法学部に入学。
しかし大学で勉強などせず、卒業後、会社に就職する気はなく、
「歌手になりたい」との思いから、アルバイトをしながら芸能界入りを目指す。
アルバイトの求人雑誌を見ていると、
昼間レッスンを無料で受け、夜ショーの手伝いをするバイトを発見。
そこで稽古を積み、25歳に男性ダンサーとしてデビュー。
その後は芸能事務所に所属。
ミュージカル中心に活躍し、
蜷川幸雄演出「火の鳥」(2000年)、博多座「ロミオとジュリエット」(2001年)、
初めての役付でミュージカル「美少女戦士セーラームーン」
(2002年~2003年)に出演するなど、順風満帆な芸能生活を送っていた。
2:女性として生きる覚悟に目覚めて自由になる!
ただ32歳頃から次第に芸能の仕事が減っていった。
次々と若い人たちが登場し、歳とともに追いやられる立場に。
とはいえ一度はそれなりに活躍もしていたため、
プライドもあり、今さらアルバイトなどできない。
苦しい時代が長らく続いた。
そんな時、六本木金魚というショーパブから声がかかり、ショーダンサーに。
ゲイの男性ダンサーとして活躍していたが、
一緒に働いていたダンサーの先輩から衝撃のアドバイスが。
「あなたは本当は女性に生まれてきた。だから女性になった方がいい」
依田さんはこの言葉に戸惑った。
なぜならゲイではあったが、女性になりたいと思っていなかったからだ。
むしろかっこいい男のホモでいたい。
というより身長178㎝もある自分が女性になるなんてあり得ないと。
はじめはそう思っていたが、先輩のアドバイスが心にしみてきた。
もしかしたら自分は昔から女性として生きたかったのではないか。
ただそんなことはできないと気持ちを押し殺してきただけなのではないか。
本当の自分を取り戻す。
そう考え出したらいてもたってもいられなくなった。
本当の自分に気づいてしまった。自分は女性として生きたかったのだ。
先輩のアドバイスに従い、36歳の時にホルモン療法を開始し、豊胸手術&性別適合手術。
2009年には戸籍を女性に変更した。女性になったのだ。
「今まで30年以上も男性として生きてきたのがウソみたいに、
女性になった途端、とっても気持ちがラクになり、
何ももう怖いものなんてない、私は自由だ!って気持ちになれました」
と依田さんはいう。名前を秀亮から花蓮に変えた。
ショーパブでも男性ダンサー契約から、
ニューハーフ契約に変更することができ、男性役をせずに済むようになった。
3:母の病気を契機に芸能界をあきらめる
本当の自分=女性になれたことで自信をつけた花蓮さんは、
37歳の時にショーパブを卒業し、再び芸能活動を再開する。
しかし厳しかった。
仕事がほとんどない。
アルバイトしながらの苦しい生活が始まった。
そんな矢先に母親が病気で倒れて入院することに。
仕事もなかったので1カ月つきっきりで看病することになった。
両親は女性に転換したことを認めてはくれていた。
でも母親は「花蓮」とは呼ばず「秀亮」と頑なに呼ぶ。
「心の底から女性として認めてくれていないのではないか」と、
花蓮さんは思い悩むことになった。
しかしお母さんが1カ月間の看病生活で花蓮さんの女性っぷりを見て、
「あなたは本当に素敵な女性になったのね」と認めてくれて、
はじめて「花蓮」と呼んでくれた。
これほどうれしかったことはないという。
ただ花蓮さんは自分に対して不甲斐ない思いも抱いていた。
手続き上、親の身元保証人になる場面があっても、売れない役者で保証人にもなれない。
そこで花蓮さんは思った。
「もう芸能界はきっぱりあきらめよう。
育ててくれた両親にきちんと恩返しをしたい。
まっとうな会社員として生きていこう」と考えた。
とはいえ現実は厳しかった。
40歳間近。会社経験はまったくなし。
しかもニューハーフ。
就職活動をしてもどこも雇ってくれるところはなかった。
ハローワークに相談すると、
「行政書士の資格をとって開業したらどうですか?」とのアドバイス。
就職はもはや無理。ならば資格をとろう。
資格をとれば、年齢や性別やこれまでの経歴で差別されることはない。
猛勉強をはじめた。
4:ショーダンサーと行政書士の二足のわらじで人気者に!
行政書士の勉強を始めた歳に、
六本木香和というショーパブからダンサーにならないかとの誘いがあった。
一度はあきらめた芸能の世界だが、声を掛けていただけるのならと思い、
ショーダンサーに復帰した。
![夜はショーダンサー、昼は行政書士のニューハーフ!~依田花蓮さんインタビュー_e0171573_2353850.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201406/21/73/e0171573_2353850.jpg)
ショーパブでは3日間働き、残りは行政書士の勉強。
しかし1年目はあえなく試験は不合格。
通信教育ではなく学校に通って勉強しようと考え、
法律家・行政官を育成する「伊藤塾」の理念に共鳴し、入塾。
ショーパブで働きながら試験勉強する日々。
2013年に試験に合格。2013年4月から行政書士よだかれん事務所を開設した。
行政書士は食えない資格と一般的に言われている。
資格を取得しても1年間まったく仕事なしという人もいるという。
しかし花蓮さんには仕事が舞い込んでくる。
ショーパブのお客さんが「行政書士の資格も持っているの?」
と興味を持ってくれて、仕事を頼んでくれるからだ。
また自身の体験から性別変更の申請や手続きもよく知っているので、
こうした仕事の依頼も多いという。
一方、ショーパブの方にもいい影響がある。
行政書士仲間から「ショーダンサーやってるの?」と、
興味を持ってくれて、ショーにお客さんとして来てくれるのだ。
何の関係性もない2つの職種を持っていながら、
それぞれのお客さんが違う職種の方にも興味を持ってくれて、
相乗効果でどちらにもお客さんがくる。
ギャップがまたいいのだと思う。
こういう二刀流な働き方がどんどん浸透したらいい。
今は1つの会社や1つの職種に縛られすぎる。
でも違う職種を並行してやったら、きっといい影響が生まれるのではないか。
ショーダンサーと行政書士の思わぬ相乗効果は、
花蓮さん自身もまさかこんなことになるとは思ってもみなかったという。
でも花蓮さんはこんな風に語る。
「ショーダンサーも行政書士もお客さんを笑顔にする仕事、
という意味では変わりありません。
私は多くの人を笑顔にしたい。
そう考えたら、ショーダンサーや行政書士に職種を限定することなく、
自分が輝いて、人を輝かせることができる仕事なら、
どんなことだっていいとそんな風に思えるようになりました」
沖縄で暮らした時に感じた日本の様々な問題。
芸能界で知ったお客さんを喜ばせることの楽しさ。
セクシャルマイノリティとして生きてきた経験。
伊藤塾で学んだ法律家としての使命感。
これまでの経験を活かし、知名度を上げて、
今後は政治的・社会的なことについても、情報発信もしていきたいという。
一度は芸能界をあきらめたにもかかわらず、
ショーダンサーと行政書士の二足のわらじの、
おもしろいニューハーフということで、
メディアに取り上げられる機会も増えてきた。
あきらめた芸能界が資格を取得したことで逆に注目されることになったのだ。
私は、憲法や原発、基地問題などについても真剣に語る花蓮さんを見て、
きっとこの方は数年後に政治家になっているのではないかと思った。
職種にとらわれない生き方。
二足のわらじによってそれぞれの職種にいい影響を与える働き方。
依田花蓮さんの生き方はとっても素敵だと思う。
・依田花蓮さんがダンサーを務める六本木香和。
ショーも見てきましたがおもしろかったです!
(ショーの最中の撮影は禁止です)
![夜はショーダンサー、昼は行政書士のニューハーフ!~依田花蓮さんインタビュー_e0171573_23541281.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201406/21/73/e0171573_23541281.jpg)
http://www.kaguwa.com/
※花蓮さんは毎日出演しているわけではないので、
花蓮さんを見たいという方は要確認
・行政書士よだかれん事務所ホームページ
http://www.yoda-karen.com/
・依田花蓮さんフェイスブック
https://www.facebook.com/karen.yoda
・生き方・働き方インタビュー特集ページ
http://www.kasako.com/life1.html
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7月22日、7月29日、8月5日、8月12日の19:30~21:30。
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