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石原金目発言の批判に思う。中間貯蔵施設がなくても故郷には帰れません

大臣の発言を取り上げ、失言だと騒ぐメディアにのせられて、問題の内容をよく理解もせず、
大臣=悪、地元住民=善という滑稽な構図で、大臣批判をしている人が多くて困るのだが、
石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」はまさにその通りだと思う。

私は自民党も嫌いだし、石原氏も嫌いだが、
だからといってこの発言の内容は間違っていない。
批判している人は、金以外で何で解決するつもりなのか?
福島の死の町となった人たちがかわいそうだから、
原発事故で出た汚染土を自分たちの町に受け入れる気でもあるのか?
批判だけしてもこの問題は何も解決しない。

問題となっているのは中間貯蔵施設。
福島原発事故が起きたせいで、各地に汚染をまきちらしたために、
日本中が汚染され、除染で出た汚染土が山のように積みあがっている。
特に福島県内の除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物の量が膨大。
普通の人が暮らしている町の中でそのまま汚染土を放置するわけにもいかず、
どこかに汚染土を保管する施設を作らなければならない。

そこで保管施設として目をつけられたのが、
原発事故で人が住めなくなって死の町となった福島県の双葉町・大熊町だ。
両町はご存知の通り、事故を起こした福島原発がある場所。
原発は今もなお収束されておらず、放射能汚染もひどい地域。
もはや家に帰ることは困難だ。

だからこそ、ここに貯蔵施設を作ろうとしている。
ここ以外に貯蔵する場所はない。
なぜならここは死の町だから。
施設があろうがなかろうが、もはやこの土地に住むことはできない。
汚染土を置く場所にもっともふさわしい。

そこでこの施設を受け入れてもらうため、政府はというか国民の税金で、
原発誘致のおかげで、これまで交付金たんまりもらってきた町に、
新たに多額のお金を支払おうとしている。
「事故により評価が低くなった候補地の土地を高めの価格で買収するほか、
候補地内の墓の移転費用も負担することなどを盛り込んだ」という(時事通信)。

最終的には金で解決するしかない。
だってそうでしょう。
日本で汚染土を保管できる場所なんて、
人が住めなくなった死の町以外にはない。
他にもっていけば、他の地域がまた汚染される。

だから石原大臣が「最後は金目でしょ」といったのは、
わざわざ発言することではないかもしれないが、
金以外で解決する方法はないという意味で正しい。
石原大臣を批判している人間は、金以外の解決方法を住民に提示できるのだろうか?

ところがこの「金目」発言をおもしろおかしく、メディアが取り上げたばっかりに、
死の町の住民たちからの批判が相次いでいる。
でもその住民感情の筋違いの批判があまりにも痛々しい。

これは政府が、帰れもしない汚染地域となった死の町を、
未だに帰れるかもしれないという帰還幻想を与えているからだろう。
いい加減、もう帰れないと言うべきだ。
だから中間貯蔵施設を作られようとしている住民が、おかしなことを言っている。

下記、福島民報の記事で取り上げられた、地元住民のコメント。

>「お金なんか要らない。古里を元に戻してほしい」
>大熊町農業委員会長根本友子さん

いや、あの古里を元に戻すことは誰にもできないから。
なぜなら原発事故が起きたから。
もはやこの土地は汚染され、人が住める場所ではない。
中間貯蔵施設がどうのとか、お金がどうのなんて関係なく、
ここにはもう住めないから。
古里を失いたくなければ、目先の金欲しさに原発を誘致すべきではなかったのだ。

>「3年余り、帰る日を待っていた。
>中間貯蔵施設建設で追い出される者の気持ちを踏みにじる発言だ」
>大熊町農業委員会長根本友子さん

いや、あの中間貯蔵施設建設で追い出されるんじゃなく、
原発事故が起きたから追い出されているんでしょう。
ここに中間貯蔵施設ができなくても故郷には帰れない。

そもそも「帰る日を待っていた」というのがおかしい。
これは国が帰還幻想を与えたからいけないのだが、
原発被災者に帰れるなんて幻想を与えるのはもうやめるべきだ。
重大な事故が起きたんです。
しかもまだ何も事故は収束していない。
汚染された死の町になった今、何十年も、下手したら何百年もこの土地は人が住めない。
いい加減、帰れるなんて思わず、現実を直視しなければならない。
石原金目発言とは何の関係もない。

>「先祖代々の土地を泣く泣く手放すつらさを分かっていない。
>金なんて要らない。家に帰りたいという人がほとんどだ」
>大熊町から新潟県柏崎市に避難している主婦森口須美枝さん

いやだから中間貯蔵施設があるから土地を手放さなくちゃいけないんじゃない。
原発を誘致したからだ。
先祖代々の土地を守りたかったら、原発計画の際に何が何でも反対すべきだった。
原発を誘致するということは、金で故郷を売ったに等しい。
中間貯蔵施設は関係ない。
原発を誘致したせいで土地を奪われた。

もし誘致話の際に原発に反対していたのなら、
大臣を批判するより、金のために原発誘致に賛成した、地元の人間を批判すべきだ。
おまえらのせいで家に帰れなくなったじゃないかと。

ただ誰を批判したところで、あなたの町の原発が爆発し、
故郷が深刻に汚染されたことは事実。
金うんぬんの問題ではなく、もはや家に帰れない現実を受け入れるべきだ。

>「本当は震災前の双葉町を返してほしいという
>町民の気持ちを何も分かっていない。信用できない」
>いわき市の南台仮設住宅で暮らす双葉町のパート山田史子さん

いやだから震災前の双葉町は二度と戻らないから。
そんな芸当できる人はこの世の中に誰もいない。
それほど原発は危険なものだということ。
その危険性を知りながら、原発を誘致したのはどこの誰なのか。
もう震災前の町には戻れない。
原発立地の住民としていい加減、被害の現状をきちんと認識すべきだ。

・・・・

石原金目発言に端を発して、
「金はいらない。故郷を返せ!」というのが批判の大半だが、
金目発言に関係なく、中間貯蔵施設に関係なく、故郷には帰れない。
金はいらないのなら、金なしで中間貯蔵施設を受け入れてほしい。

原発を誘致したせいで死の町になった住民が中間貯蔵施設を拒否したらどうなるのか。
原発誘致して潤った町の人たちのせいで、
深刻な汚染にさらされている福島県内の他の町に、
積み上げられた汚染土はどこにも持っていけなくなる。

死の町が受け入れなければ、福島県内に積み上げられた汚染土問題が解決しなくなる。
それでいいと思っているのだろうか?
それとも他県に汚染土を押しつけようとしているのだろうか?
「絆」という美麗字句のもと、汚染土も全国に拡散させようというのか。

原発事故が起きた。
そして原発立地自治体は死の町になった。
もはや帰ることは不可能。
そこに事故のせいで出た汚染土を貯蔵する施設を建設する。
そのためにそこの住民にはかわいそうだから、この先、一生不自由がないよう、
事前に電源交付金という事前賠償金は払っているものの、
それとは別に墓地の移転費用まで、何から何までお金を払いましょうといっている。

何も政府は「君たちは原発の危険を承知の上で、
住民の多くが賛成して、目先の金欲しさに原発誘致し、
そのせいで事故が起きて死の町になったのだから、
金なんていわず、無償で貯蔵施設を受け入れろ」と言っているわけではない。
ちゃんとしかるべきお金は支払うと言っているのだ。
原発事故で汚染された無価値に等しい土地を買い上げてくれるなんて、
どれだけありがたいことか。

死の町となった今、感情的にごねていないで、汚染土を早く受け入れるべきだ。
でないとそのせいでどんどん汚染は拡散し、人が住める場所がなくなってしまう。
それともまさか賠償金をつり上げるために、わざとごねているのだろうか?
原発立地地域では原発計画の際に、もらえる補償金をつり上げるため、
原発に賛成にもかかわらず、わざと反対した人もいたという。
まさか、そういうこと?

石原金目発言を批判したところで、
福島県内にある汚染土問題は何も解決しない。
死の町の住民が早く故郷には帰れないと現実を直視し、
他の住民のために汚染土を潔く受け入れてほしい。
そのためにお金はお支払するといっているのだから。

それにしても思う。
原発は故郷を失ってしまうリスクもある。
それは想定内のリスクだったはず。
だからこそ目先の金にたぶらかされず、
故郷を守るために断固として原発計画に反対し、
原発計画を追い出した町が全国に30以上もあった。

原発を誘致して多額の交付金をもらう代わりに、
事故が起きたら町を追い出されるリスクを背負うのか。
それとも原発マネーを拒否し、自分たちが町を追い出されないために、
原発計画を追い出すのか。

映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」の中で、
京都大学原子炉実験所の小出裕章先生はこんな風に語ってくれたことが印象的だ。

「原発立地を計画されようとした地域の人たちは、
原発が絶対に安全だなんて宣伝を信じていなかった。どこの人もそうです。
でも自分たちの地域、自分たちの生活を
どうやってつくっていくかというところで分かれ道があって、
その金にすがって地域を作りたいと思う人は、今でもいるだろうし、かつてもいたのです」

・映画シロウオ公式ページ
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by kasakoblog | 2014-06-22 23:29 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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