
「教師を辞めたのは、学力がなく礼儀の知らない子供たちを、
クズ扱いする日本の教育を変えようと思ったから」
と語るのは、元高校教師で元銀座のクラブのママの土岐山協子さん(42歳)。
盛岡の大学を卒業後「ひきこもりかヤンキーしかいなかった」という、
大検受験の予備校講師を1年半、勤めた後、「不良の巣窟」と呼ばれた私立高校で、
生徒の素行が悪く教員がすぐに逃げ出す学校で、教員として4年間務めた経験から、
日本の教育の問題の根深さを知った。
利益優先の学校は落ちこぼれをほったらかしにし、進学クラスばかりに力を入れる。
この落ちこぼれを救おうとする大人がいない。
私立高校では落ちこぼれ集団の男子バレーボール部顧問に就任し、
わずか半年で県大会出場させるチームに生まれ変わらせた。
「私はバレーボールの技術的なことはほとんど教えていない。
ただ半年間、みっちり礼儀を叩きこんだだけ。
ちゃんと挨拶しろ。ちゃんと制服を着ろ。赤点は取るな。
指導をしていったら、髪型と服装が変わった。
だらしない髪型をしていたのが、勝つために自発的に短髪になった。
だらしない服装をしていたのを次第にやめるようになった」
とはいえ指導をしても、毎年毎年、礼儀も知らない、挨拶もできない、
高校生になっても九九ができない、漢字の『山』と『川』は書けるけど、
『谷』は書けない程度の学力しかない子供たちが入ってくる。
「一体この国はどうなっているのか?
高校に入る前までの学校では一体何を教えてきたのか。
親は何も教えなかったのか。地域で誰か注意する人はいなかったのか」
落ちこぼれた子供をほったらかしにする学校、地域、家庭。
でもすべての根幹は家庭にあると考えた。
教員生活の中で土岐山さんが気づいたことがある。
なぜ落ちこぼれの子供が生まれるのか。
その大きな原因は2つ。母親と料理が悪いということだ。
「素行の悪い子供の母親は必ずといっていいほど素行が悪い。
逆に優しい母親の家庭は優しい子供になる。
父親はあまり関係ない。母親が重要だ」
「落ちこぼれた子供のほとんどが食生活が乱れている。
問題のある子供は朝からカップラーメンを食べさせられたりしている。
やたら調味料が多い。
人間は食べ物でできている。
まともな食べ物を食べていないとちゃんとした人間ができない」
落ちこぼれクラスを切り捨て、進学クラスを優先しようとした教頭とケンカになり、
30歳で教師を辞めることに。
「10年いろいろな経験を積み、40歳になったら、
日本の教育を変えるための事業をしよう」と心に決めた。
教科書や歴史のことを知ろうと、札幌で教科書会社に勤めた後、
「母親を変えるには女性のことを知らないといけない」と思い、
女性社員だらけの美容会社に3年勤めた。
また新たな経験を積もうと35歳の時に経営学などを学びたいと思い、
美容会社を辞めて職業訓練学校に通おうと思ったのだが、
学びたいカリキュラムは東京にしかないという。
これまで宮城、岩手、北海道でしか暮らしたことがなかった土岐山さんは、
「東京は怖いところだからできれば行きたくない」とも思ったが、
「教育を変えるには政治家など偉い人のいる東京に行くことは大事かも」と考え、
東京行きを決めた。
今まで東京にほとんど行ったことがない土岐山さんは、
北海道から東京まで飛行機に乗り、スーツケースを持ったまま、
とりあえず偉い人に会っておこうと、タクシーに乗り、「永田町まで行ってくれ」と頼んだ。
「永田町のどこですか?」と聞かれ「偉い人に会いたい」というと、議員会館のような場所で降ろされた。
アポもなく会館内に入れるわけもなく、
スーツケースを持って入口付近で政治家が来るのを待っていると、
困っているのかと思い警備員が声を掛けてきた。
「政治家のご家族の方ですか?」
「いえ違います。教育を変えるために偉い人に会いに来たんです」
不審者と思われ警備員は3人に増えた。
「そのスーツケースには何が入ってるんですか?見せてください」
その時、スーツケースには東京で一人暮らしする部屋に飾ろうと、
教師勤め時代に生徒からもらった漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のグッズをたくさん持ってきたため、
「これは見られるとまずい!」と思い「スーツケースは見せられません」と答えると、
余計にあやしまれて警察官まで来る事態になり、やむなく退散せざるを得なくなった。
日本橋にあるウィークリーマンションに帰ろうとタクシーに乗った。
タクシー運転手に「偉い人に会えるにはどこに行けばいいんですかね?」とたずねると、
「銀座のクラブとかに行けば会えるんじゃないですか?」と言われ、銀座で降りることに。
降ろされた近くのカフェに入り、店のスタッフに、
「銀座のクラブで働ける店、知りませんか?」とたずねると、
近くにいたお客さんが「うちの店で働くか?」と声を掛けてくれた。
そのお客さんについていったが、大きい店ではなかったため、大きな店を紹介してもらうことに。
ホステス経験がなかったため「皿洗いでいいです」というと即採用。
こうして土岐山さんは銀座のクラブの皿洗いになった。
皿洗いをしたり、カウンターで手伝いをしていたりすると、
お客さんとして来ていたある大企業の社長が店のスタッフに声を掛けた。
「なんだ、あのカウンターでウロウロしているデカい女は。連れてこい」
土岐山さんが出てくると「お前がここで働いている目的は何だ」といきなり聞かれ、
「日本の教育を変えるために偉い人に会おうと、
銀座でクラブで働くことにしました」と正直に答えると、
「だったらホステスになれ。おまえに銀座のことや日本の経済のことを教えてやる」との話になった。
こうしてあっという間に銀座のホステスになることに。
ここで多くの偉い人に出会えることができ、様々な勉強ができた。
わずか半年、36歳にしてママにもなれた。
その後、3年間、銀座で勤め、月収200万円を下ることはなかったという。
「高給稼いでいたけど、出ていくものも多かったので、それほど貯金はたまりませんでした。
銀座に勤める以上、服にしろ宝飾品にしろ偽物をつけるわけにはいかない。
本物を身に付けないと自分が偽物になってしまうので、身に付けるものにもお金がかかった。
また一流のお客さんに接するためには、一流の店などに自腹で行ったりもしました。
お客さんに連れて行ってもらっても、それは自分の身にならない。
所詮はそのお客さんのお連れさんとしか店には見られない。
なので自分でも自腹をはたいて一流の店に行くことで、
一流のサービスや一流の料理などを学びました」
3年、銀座で様々なことを学んだ。
特にいろいろなママやホステスを見てきて、
女性について、より深い理解を得られることができた。
「感謝と謙虚のない女性は醜くなる」
「若さと美貌は限りある。女性は内面磨きが必要」
日本の教育を変えるには、母親を変えることであり、料理を変えること。
女性のことはいろいろとわかったが、料理=食については自分に知識がない。
まともな子供を育てるために食べ物を変える必要があるのであれば、
自分も一次産業で働く経験を得たいと考え、インターネットで「農業がしたい」と検索。
すると農業求人・林業漁業の求人情報が掲載された「第一次産業ネット」というサイトがヒットした。
食の王国である北海道で農業をしたいと考え、手当たり次第、電話を掛けると、
性別や年齢などで断られまくったが、
北海道の遠軽町の野菜栽培をしている農場で、
「なんだかわかんねえけど、やりたいならくればいい」と採用が決まり、
2年間、農場で働くこととなった。
また料理に重要なのは「だし」にあると考え、
だしに使われる北海道の利尻昆布漁師の経験もしたいと思い、利尻島の水産会社に電話した。
しかし「女性はダメ」「未経験はダメ」「40歳以上はダメ」と断られたが、
利尻島にはホステスの求人があるという。
「ホステスすればそこに漁師さんや水産会社の人が来るから、
ホステスして仲良くなってから頼み込めばいいんじゃねえ」という、
北海道の人のアドバイスのもと、利尻島でホステスをすることに。
その狙い通りになり、昆布事業にも関われることができた。
ただ利尻の昆布も遠軽の農業も冬場はできない。
そこで冬場は鹿児島に行って農業経験を積むことに。
今は北海道と鹿児島を行き来しながら、東京で人脈を広げて、事業の立ち上げを準備している。
そして2014年10月から、日本の教育を変え、まともな子供を育てるために、
母親と料理を変えるべく「おだしプロジェクト」をスタートさせる。
「子供を育てる女性がおだしを通じて、和の心を理解し、
感謝と謙虚な気持ちを身に付け、時間をかけずにラクして作る加工食品ではなく、
時間をかけることで子供に愛情を伝える愛情料理を作れるようになる」との理念を掲げた。
具体的には、おだし教室の開催やおだしの使い方などの情報提供を行っていく。
教員時代に気づいた、ダメな子供はダメな母親、
ダメな料理が原因であるとの問題を解決するため、
30歳から10年以上、様々な経験を積んできたことを活かして、
これから本格的に事業をスタートさせる。
得体の知れない底力を持つ土岐山さんの活動に注目していきたい。
<2014.11.25追記>
※銀座ホステス時代のおもしろおかしな話は、
対談番組「かさこでいいかも」で語っていただきました!
https://www.youtube.com/watch?v=E1hkX08lqlk
・愛情料理研究家 土岐山協子の 『料理はしないんだけど料理研究家のブログ』
http://ameblo.jp/toki718/
・おもしろい人を紹介する生き方・働き方インタビュー目次
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