バンドマンをしながらIT企業の社長!CDが売れない音楽業界の変革をめざす~海保けんたろーさんインタビュー

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メジャーデビュー経験もあるバンドマンが、今も音楽活動をしながら、
なんとバンドのメンバーでIT企業を設立!
CDを売るビジネスモデルが崩壊した今、
音楽で食えない時代を変える新たなモデルを構築するためだ。
ドラマーとIT企業の社長という二足のわらじをはき、
音楽業界の変革にまい進する海保けんたろーさん(33歳)のこれまでの人生を振り返りながら、
新たな音楽業界の展望について語っていただいた。
(取材日:2015/1/3、2012/5/10、2007/2/20)

■1:「音楽で食う」を24歳で実現
音楽で食べていきたいという人は多くいる。
でもほとんどの人は音楽だけでは食べていけず、
アルバイトをしながら音楽活動は赤字という人が多い。
海保さんもはじめはそうだった。

そもそも海保さんが音楽に目覚めたのは中学校の頃。
好きな女の子が吹奏楽部でドラムをしていたので興味を持ち、
高校でブラスバンド部に入り、ドラムを始めた。
高校2年生になり、卒業後の進路を考えた時に、
「やりたくないことで人生の時間を埋めてしまいたくない。
アフターファイブだけを充実させるのではなく、
ビフォアファイブも充実させたい」との思いから音楽の道へ進んだ。

ドラム以外にもベースやギターも弾けたが、一番好きなドラムを選び、
プロドラマーとして有名な榎本吉高氏に2年間、個人レッスンを受けた。

はじめは音楽をめざす多くの若者と同じように、
アルバイトをしながら音楽活動の日々。
稼いだお金は音楽に消えていく。

「どうしたら音楽で食えるようになるか」と考えた時、思い浮かんだことがあった。
「他バンドのサポートでドラムをすることでお金を得られるのではないか」と。

いろいろなライブイベントに参加していたが、
ギター、ベース、ボーカルに比べて、ドラムを担当できる人が圧倒的に少なく、
ドラマーはいろんなバンドをかけもちしていた。
海保さんも無料でサポートドラマーをしていたが、
「これは無料ではなく有料にできるのではないか」と考えた。

実際に有料にしてもサポートの依頼はなくならなかった。
そこで2005年24歳の時に「音楽だけで食えるのか」を実証するため、
アルバイトをすべてやめ、サポートドラマーに専念することに。
1年間で10数のバンドのサポートを行い、150本以上のライブをこなし、
アルバイトせずとも音楽だけで食べることができた。
さらにドラムの個人レッスンもスタートさせ、こちらも収入源となった。

多くの若者が持ち出し(赤字)で音楽活動をして、
しかも音楽活動とは関係のないアルバイトに時間をとられている中、
「音楽で食える」を見事に実現したのだ。

■2:メジャーデビューを果たすも音楽業界の異変を感じる
ただ海保さんは2006年以降、サポートドラムの仕事を減らした。
メンバーとして加入している「メリディアンローグ」という、
バンドの活動に力を入れるためだった。

サポートだけで確かに音楽だけで稼げるようになった。
でも夢はそれだけじゃない。
音楽で評価されたい。有名になりたい。影響力を持ちたい。
メジャーデビューしたい。バンドで売れたい。

様々なバンドを見てきた中で、音楽性に共通のものを感じ、
また自分の意見を反映して音楽活動ができる、
「メリディアンローグ」に力を入れたいとの思いがあった。

バンドが売れるためにはどうしたらいいかを徹底的に考え、
ライブハウスより路上ライブに力を入れることにした。
ライブハウスは主に知り合いにしか見てもらえない。
しかも有料なのでお客さんも来づらいし、バンドにも負担がかかる。
でも路上ライブなら自分たちの知らない多くの人に、
音楽を聴いてもらうことができ、ファンの獲得につながる。

路上ライブに力を入れることで多くのファンを獲得。
2006年にはライブハウスではなく200人規模のコンサートホールを借り切り、
200人集めるワンマンライブを成功させた。
こうしたことが業界関係者の目にとまり、
2008年に念願のメジャーデビューを果たすこととなった。

よし、これでメジャーになって売れるぞと思い、
従来の通り、曲を作り、レコーディングをし、
CDを販売し、ライブをするという活動をしていたが、
次第に違和感を覚えるようになった。

このレールを歩いていても、バンドが有名になって、
売れるということはないのではないか?
という疑念だった。
かつてのように音楽を聴く人がCDを買わなくなったのだ。

有名なミュージシャンでも今までのようにCDが売れなくなり、
収入的に苦境にあえぐ姿を何度も目にした。
音楽業界は過去のビジネスモデルを守るために、
CDにコピーガードを施し、コピーできないようにしたり、
音楽を聴く人にCDを買って音楽を聴くようにといった訴えをしていた。

それにも違和感を覚えた。
CDを買わなくてもレンタルで聴ける。
レンタルをしなくてもインターネットにアップされている音源を、
無料で聴けてしまう。
違法にアップされているものも多いが、
いたちごっこで取り締まるのは難しい。
いやむしろミュージシャンの側もネットにアップされているものは、
宣伝になるとわりきり、黙認しているケースもある。

CDを買ってもらえず、レンタルやネットで聴くようになると、
CD販売収入で成り立っていた今までの音楽業界のビジネスモデルは崩壊してしまう。
でももうこの流れは止められない。
なぜなら自分だって音楽を聴く側の立場になって考えれば、
わざわざ割高なCDを買うより、気軽に安く聴ける方を選ぶと思うからだ。

バンドのメンバーとも話し合い、
もうこのままではダメだという結論に達した。
メジャーにいても食べていくのはますます難しくなる。

そこで海保さん含めメンバー3人は2010年末でメジャーをやめることに。
2011年よりこれからの時代にマッチした、
新たな音楽販売ビジネスモデルを作るべく、株式会社ワールドスケープを設立。
メルマガ登録した人に無料で楽曲を配信する「フリクル」というサイトを立ち上げた。
海保さんは代表取締役社長に就任した。

■3:儲かりそうではなくミュージシャンが食べていけるシステムを作りたい

2011年当時にこの話を聞いて二重に驚いた。
何も曲を無料にしてしまうことはないのではないか。
また無料配信にするにしても、わざわざ会社を立ち上げる必要はないのではないかと。

でも海保さんやメンバーには音楽業界で長年やってきた中で、
確固たる思いがあってこの結論に達したという。

「もう音源を有料で売る時代は終わったと思います。
むしろ無料で多くの人に聴いてもらうことで、
気に入ってもらえる機会を増やし、多くの人にファンになってもらえれば、
ライブ収入やグッズ収入、ファンクラブ収入で食べていけるはずです。
楽曲の音源を宣伝ツールとして利用し、
ライブやグッズを商品にするというイメージです」

わざわざ会社にしたのは、
自分たちのバンドだけが食えるようになればいいだけでなく、
新たなビジネスモデルを他のミュージシャンにも広めて、
音楽業界をいい形で変えていきたいと思ったからだという。

素晴らしい理念と行動力。
でもこうした音楽サービスを手掛けるライバル企業はないのだろうか?

「IT企業が音楽系サイトに乗り出す動機の多くは、儲かりそうだからということ。
でも音楽業界のことを理解しているIT会社はそんなに多くありません。
僕らの最大の優位性は、現役のバンドマンとして、
音楽業界の実情を知った上で仕組みを作れることです。
そして何よりも、CDが売れない時代でも、
アーティストが食べていけるシステムを作るという使命感を持って取り組んでいるので、
どこにも負けないサービスを提供できると思っています」

音楽業界を変えたい一心で始めた「フリクル」は、
ベンチャーキャピタルの出資を受けるなどしてサービスを拡充。
2014年末現在、ミュージシャン約3000組が登録するサイトに成長した。

2015年には、リスナーがいい音楽と出会えるよう、
自分の好みを入力していくと、好みの曲やミュージシャンをすすめてくれる、
パーソナライズド・ラジオアプリ「Lumit(ルミット)」を開発し、公開。
ミュージシャン側だけでなく、リスナー側にも役立つ、
音楽サービスの提供も行っている。

こうしたことができるのは、海保さんが音楽を好きだからこそ。
いい音楽が継続的に生み出せる環境を作るために、
ビジネスで解決することを使命に、今もバンド活動と並行し、
IT企業の社長として「フリクル」の運営ほか、音楽ビジネスに携わっている。

「ミュージシャンは音楽活動だけに集中して、
その他の宣伝活動や営業活動などは、
『フリクル』が丸ごと全自動で請け負える仕組みを作るのが目標」
と海保さんは語る。

バンドマンとIT企業社長の二足のわらじは珍しい働き方かもしれないが、
海保さんの中ではしっかり一本の筋が通った働き方に他ならない。
芸術や文化の問題をプレーヤー自らがビジネスで解決する。
そんな海保さんのようなタイプの人が増えれば、
衰退しつつある分野も復活できるのではないかと思う。

・フリクル
http://frekul.com/

・Lumit
http://teaser.lumit.me/

・海保けんたろーのドラム教室オンライン
https://www.youtube.com/user/DrumLessonOnline

・海保けんたろーのツイッター
https://twitter.com/kentaro_kaiho

・海保さんが参加するバンド「SONALIO」(旧メリディアンローグ)
http://sonalio.com/

・生き方インタビュー
http://www.kasako.com/life1.html

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by kasakoblog | 2015-01-05 15:57 | 生き方

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