過疎から回復した奇跡の漁村の情報発信力に学べ~100人漁村に学ぶプロモーション方法
2015年 01月 29日

おまえら本気で地方活性化する気あるんかい?
単に目先の金や仕事をラクしてほしいだけで、
長期的に持続可能な地方の発展なんて何にも考えてないだろ。
自分たちで知恵を絞って体動かし、地域のためにがんばろうなんて、
そんな気、ぜんぜんないだけじゃないのか?
人口減少で地方の衰退が著しい中、定置網漁ぐらいしか産業のない、
徳島県海部群美波町の100人漁村、伊座利という集落がすごい。
独自の取り組みにより、子どもが少なくなった集落に、
子どもを呼び集め、廃校の危機を免れただけでなく、
徳島県の中でも超へんぴな場所にもかかわらず、
人口の約半数が移住者で、しかも人口100人のうち、
子どもが20人ぐらいいるというすごい漁村なのだ。
あまりにもすごいので全国各地から視察に来る人や、
メディアに何度も取り上げられたりしている。
私も思わずまた伊座利に来てしまった。
しかも伊座利とつながるとおもしろそうな人を連れて。
何がすごいか。
いろいろあるけど、一言で言うなら、
しっかりとした理念を持ちながら、
他にはない話題を提供する情報発信力にある。


漁村なのにジャズが流れるおしゃれなカフェ=イザリカフェとか、
住民の顔写真を落書きしちゃった写真を載せるホームページとか、
「田舎deきゃばくら」という謎ののぼり旗とか、
女性用下着に絵をプリントしちゃうとか、まあとにかく他とは一風変わっている。

伊座利の未来を考える推進協議会の草野さんは、
「人からアホだと思われようがいい。
自分たちがまず楽しくなくちゃ意味がない」と話す。
でも下ネタやギャグで悪目立ちしようとしているだけではない。
過疎化、人口減少、高齢化する漁村を持続可能な集落にするため、
ポリシーを持った移住推進策をしている。
いろんな取り組みの中でおもしろいのは「あまちゃん養成(体験)塾」。
アワビやサザエを素潜りで採る海女(あま)さん体験塾を、毎年、夏に開催している。
何がすごいかって、普通、漁村で海女体験なんてさせたくない。
漁村は限られた資源の中でいわば奪い合いのような形で暮らしている。
草野さんいわく「地方でも一番閉鎖的なのはたいがい、山村や農村より漁村。
漁業の場合、一緒に協力して仕事をするというより、
みな一匹狼で魚を奪い合うみたいな気質があるから」だという。
体験とはいえ養成塾と銘打って、海女さん技術を教えちゃうなんて。
でも他の漁村ではなかなか体験できないから、興味がある人もいる。
こうした取り組みで、伊座利を知ってもらうきっかけを作り、
その中で一人でも移住したいと思ってくれればいいというスタンスで、
都会の人との接点を持つ仕掛けを作っているのだ。
いきなり移住してくださいといってもハードルが高すぎる。
そもそも日本には腐るほど町や村があるわけで、
まずは伊座利という漁村がどんなところか知ってもらわなくてはならない。
だから移住してくださいという前に、おもしろいイベントなどで、
できるだけ接点を作り、メディアへの露出をはかり、
まずはこの集落を知ってもらうという地道な取り組みを行っている。
「別にイベントにきた人が移住しなくてもかまへん。
イベントに来れば、こんな集落があったよって、
いろんな人に話してくれる。それでいいんです。
もし気に入ってくれたらまた来てくれる。
それでいいんです。
そうやって伊座利のファンやリピーターを作っていけば、
そのうちその伝手で移住したいという人が来てくれるかもしれない」
見事な戦略だ。
とにかくここにいるおっちゃん、おばちゃんたちがおもしろく、よそ者にもとってもフレンドリーで、
いろんなユニークな取り組みをしているもんだから、私もすっかり伊座利のファンになってしまった。
そもそも私は伊座利へは2009年に新聞の記事広告の仕事で来た。
自分から探してここに来たわけではない。
しかしとにかくここの集落の人やら取り組みやらがおもしろく、
その後も仕事関係なく、自費で来て、おもしろいから自分で取材・撮影し、
ブログに載せているということをしているだけ。
「ほら、エロカメラマンみたいなメディア関連の人間もよ、
おもしろいことやっていると気に入ってくれて、勝手に取り上げてくれるのよ!」
と、私のことをなぜかエロカメラマンと呼ぶ草野さんは、
メディア受けがいい情報発信やイベント運営をしていることを明かす。

でも、ここがすごいのは、そうやって、
都会の人やメディアにごますって、移住してくださいとお願いしているわけではない。
それどころか移住希望者はすべて面接で決め、場合によっては移住を断ることもあるという。
「小さな漁村やけんな、なんでもかんでも受け入れるってことはしてない。
あくまでうちらも相手も対等な関係。
移住してくれるお客様として迎え入れることはせえへん。
こちらのルールをちゃんと守ってくれるかどうか、
面接で判断して受け入れるかどうか決めている。
でないと他所なんかでは移住者が勘違いしてワガママになってしまい、
地元の人ともめたりトラブルになってしまうんよ」(草野さん)
それにしてもホームページにしても、
集落のセルフマガジンともいうべき町案内パンフレットにしてもとにかくおもしろい。

「田舎はどこも『自然が素晴らしい』なんて売り文句を並べるけど、
自然がいいなんてどこの田舎も一緒。それじゃ個性が出ないわけ。
でもかといって伊座利にはとりたてて得意な特産物や産業があるわけじゃない。
なにもない。だから最後に残ったのは人。
このおもしろいおっちゃん、おばちゃんたちがいる。
それが伊座利の他にはない個性だと思い、
人をおもしろおかしく出した情報発信したり、ツールを作ったりしてるのよ」
草野さんのいう話は、活性化を図りたい地方が参考になるだけでなく、
企業のプロモーション戦略や個人のセルフブランディング術にも通ずる話。
・他者とは何が違うのか。その違いをおもしろおかしく訴える。
・すぐに買ってくれ、移住してくれというプロモーションではなく、
まずは知ってもらい、ファンになってもらうという認知向上に力を入れる。
・客に迎合しない。あくまで自分たちのルールや価値は守ってもらう。
・自分たちが楽しいことしかしない。
・アホだと批判する人がいたとしても、
メディアに取り上げてもらいやすいよう話題づくりになる情報発信に気を使う。
どうですか?
すごい。伊座利。
たった100人漁村なのに。
やる気があればできる。知恵があればできる。
伊座利の人たちは単に自分たちの目先の生活がよくなればいいとか、
そんなことではなく、伊座利が長期的に存続できるために、
何をするかをしっかり考え、戦略を行動に移している。
もちろん中には思い通りにいかなかったことや話題にならなかったこともある。
でも伊座利のホームページには、
「全国の過疎・高齢化に悩む地域のみなさまへのメッセージ」と題し、こんな風に書かれている。
考えること、語ることも必要だけど、
動くことで課題がもっと鮮明に見えてくることも。
とにかく動いてみませんか。
グチを言っても、嘆いても、何も解決しないのでは。
考えるだけで終わらない。
とにかく行動せよ。
動いて失敗して見えてくるものもある。
伊座利という小さな漁村がやっていることは、
過疎自治体や企業や個人のプロモーション戦略に役立つと思う。
・伊座利ホームページ
http://www.izarijin.jp/
・今回同行した土岐山協子さんのレポート記事
http://ameblo.jp/toki718/entry-11983537042.html
・今回同行した石山草子さんのレポート記事
http://blogs.yahoo.co.jp/comecafe305/32412879.html
・伊座利レポート~小さな漁村の奇跡の復活劇
http://www.kasako.com/izaritop.html
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