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ママを追い詰める育児こうあるべき論の大害悪

「小さな子どもがいるのにこんなこともするなんてあり得ない」
「子どもがいるんだから育児に専念しろ」
新米ママに対する世間の目は非常にうるさい。
それが正論であったとしても、いや正論であればあるほど、
かえって新米ママを精神的に追いつめ、
育児に悪影響を及ぼすのではないか。

完璧な人間、完璧なママなどどこにもいない。
ましてや何人目かの出産ならともかく、
1人目ともなれば、育児についてはすべて初体験になるわけだ。
いくら熱心に勉強したところで、
完璧にうまくできるとは限らない。

そもそも「育児こうあるべき論」が大害悪なのは、
モラルや価値観で人を断じているだけで、
科学的根拠がないからだ。
科学的根拠があって「小さな子どもにこんなことしちゃいけない」
というのは絶対にしてはならないけれど、
そうでないものって、所詮は人それぞれの価値観でしかない。

しかも昔と今の育児とは違う。
昔は「こうした方がよい」と言われていたことが、
今は「それはよくない」ということに変わっているものもある。
ましてや育児はケースバイケース、人それぞれにまったく違う。
それを通り一辺倒に「ああしてはならない」「こうしてはならない」
というのはバカの壁だ。

こういう正論に賛成し「最近のお母さんはなっとらん」
みたいなことを言う人って、
ようは自分が育児をしていた時、我慢していたのに、
今のお母さんは楽しんでずるい、だから許せない、
みたいな感情論がほとんど。

それはまるで根性論崇拝と同じ。
「昔は校庭100周走るのが当たり前で、
俺たちもやったんだから、おまえらもやれ」とか、
「昔は体罰が当たり前だったから、
ちょっとぐらいの体罰で騒ぐんじゃねえ」みたいに、
自分はイヤな思いをさせられ、それを我慢してきたのだから、
その我慢を若いやつらもしろという、
極めて精神的貧困者の論理に過ぎない。

だいたいさ、完璧な母親、しっかりした母親なら、
子どももしっかりし、
ダメな母親だと子どももダメになるかというと、
そんなことはまったくない。

むしろ親がしっかりしすぎて、
それに反発してグレたり、だらしなくなる子どももいるだろうし、
親がダメだったおかげで子どもがしっかりすることもある。

つい最近「どん底からでも人生は逆転できる」谷口愛著を読んだのだが、
「育児こうあるべき論者」から見たら、著者の母親は最低だ。
9歳だった著者と8歳だった娘を残して、
3日間いなくなってしまったりするなど、
犯罪者レベルのダメ母親だ。

でもこの本を読むとわかるのは、
こんなクソダメ母親だったからこそ、
自分がしっかりしなきゃと思い、
その後の人生を独力で切り開いていく、
著者の力強い人生が描かれている。

だからさ、親がこうしたら子どもがダメになるなんて、
一概にいえないんだよ。
何が子どもにとってプラスで、
何が子どもにとってマイナスになるなんて、
科学的根拠があるものをのぞき、誰もわからないんだよ。
そういうものを昔の価値観や自分の価値観で、
他人に押しつけては絶対にならないと思う。

でもほんと最近しみじみ思うのは、
ダメな母親だろうがなんだろうが、
子どもを産んだ人はそれだけエライということだ。
そういうと子どもを産みたくても産めない人へのハラスメントだ、
なんていうバカがいるけど、
産んだか産んでないかは厳然たる事実であり、
この世にもう一つの命を産むってすごいことだと思う。

もちろんだからこそ、ろくに子どもののことも考えず、
性欲まかせにできちゃって、
できちゃった婚になったりシングルマザーになり、
「こんなはずじゃなかった」と育児に手を抜くのは、
「てめえ、バカじゃねえのか。
サルじゃないんだから少しは考えろ」と思うけど、
でも妊娠して何ヶ月も自分のお腹に命を宿し、
それを産むってやっぱりすごいことだと思う。

完璧なお母さんなんてどこにもいない。
まして育児ノイローゼって半端ないと思う。
自分だってまだ未完成な人間で、たまにはストレス発散したいのに、
と思っているところに、やれ周囲から、
「育児こうあるべき論」を押しつけられたら、かえって逆効果。
さらに育児ノイローゼがひどくなり、
逆に虐待とか育児放棄とかひどい事態に発展しかねない。

正論であってもそれがプレッシャーになれば、
お母さんへもその子どもにとっても大害悪になりかねない。
自分の価値観で「育児こうあるべき論」を振りかざすのではなく、
優しい気持ちで支える、見守る社会であってほしいなと思う。

もちろんこうした方がいい、
ああした方がいいというアドバイスはしてあげた方がいい。
でも絶対善でもないものを自分の価値観を押しつけるのは、
ママへのパワハラに他ならない。

ただ私もそういう思いになれたのは自分に子どもができたから。
子どもができなかったら、きっと育児こうあるべき論を振りかざしていたように思う。
結局、自分が経験してみないとわからない。

・子どもがいない人の子育て論や親はこうあるべきだ論は微妙である
http://kasakoblog.exblog.jp/23087054/

・育児も仕事も中途半端な女性~女性支援の前に人生設計しっかり考えろって話
http://kasakoblog.exblog.jp/20510125/

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by kasakoblog | 2015-07-25 23:29 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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