年配の方の人生をインタビューして、
雑誌風に仕上げてくれるというものだ。
着眼点が素晴らしい。
今までも人生をまとめる自分史ニーズというのはあり、
主に自費出版会社に数百万円払って、
100冊ぐらいの本にしてもらうサービスはいくらでもあった。
しかし雑誌にするとはよく考えたなと感心した。
16ページなので本ほど作るのは大変じゃないし、
コストも抑えられる。
書くのは自分じゃなく、代わりに話を聞いて書いてくれる。
雑誌風ならカラー写真とかも生かせて、
文字だらけの一冊の本より、気軽に読める。
すごくニーズがあるはず。
これ、フリーの編集者とかライターとか、
カメラマンとかデザイナーとか、
同じようなサービスやったら十分仕事になるんじゃねと思った。
このサービスを見て真っ先に思いついたのが、
今年6月のかさこ塾に来ていた鯰美紀さん。
なんたって彼女の肩書きは、
「家族の思い出記録」ライターだ。
これまで普通のライター仕事が多かったが、
家族の話を聞き、それを文章にして、
家族に思いを伝えるサービスをしたいと言っていたので、
これはまさしく彼女がしたいことじゃないか!と思って、
彼女に「親の雑誌」ってのがあるよっていうのを、
メッセージで伝えた。
「これ、鯰さんが同じようなサービスやったら、
仕事になるんじゃないか」と。
そしたら彼女がこんなコメントを書いてくれた。
今までの私(ビフォーかさこ塾)なら、この会社に連絡して、
「興味あるので、ライターとして採用してもらえませんか」
って聞いていたと思います。
雑誌作るなんて、絶対無理!と思っていましたから。
でも、かさこ塾生の多才さを拝見していると、
「塾生の協力があれば、不可能ではないかも」と思ってしまいます。
いやー、よくわかる。この気持ち。
ライターとかカメラマンとかデザイナーって、基本、受注仕事。
制作会社なり出版社なり広告代理店から、
「こういう仕事があるからこういうものを書いてほしい」
と依頼されて仕事をするというスタイルに慣れている。
だから「そんなにニーズがあるなら、
自分でそのサービスをやってしまおう!」という発想ではなく、
「この会社に営業して、下請けとして使ってもらおう!」
という発想になってしまいがち。
いやそれはそれで決して悪いことではない。
自分がやりたい仕事をするために、
やりたい仕事をしている会社に営業をして、
その仕事ができれば、好きを仕事にできる。
ただここで発想を転換すればいい。
この会社から仕事をもらうではなく、
自分でこのサービスをやれば、
発注主に縛られることなく、
好きなことを仕事にできるのではないかと。
もちろん自分でやるには、
面倒やリスクを抱え込まなくてはならない。
客を見つけるためのルート開拓。
代金をとりっぱぐれないようにすること。
印刷会社やデザイナーの手配など。
だからあくまで一ライターとして、
下請けで仕事をするのも悪くないけど、
自分でやっちゃうという選択肢もあるよね、
という発想ができるようになると、
ぐーんと自分の可能性が広がるわけだ。
私もフリーランスになってほとんどの仕事が受注、請負仕事。
3年目になって楽しい仕事を選べるようになり、
受注だろうが請負だろうが下請けだろうが、
仕事はめちゃめちゃ楽しい。
でもせっかくフリーランスになったのだから、
単に受注仕事だけでなく、
自分から仕掛けて好きなことを仕事にしたいという思いもあり、
また、受注仕事だけだと、担当者が変わったり、
雑誌廃刊になったり、クライアントの予算がしぶくなったりすると、
あっという間に仕事がなくなってしまうリスクが付きまとう。
実際に一部のフリーのクリエイターは、
特定の雑誌とか特定のクライアントに過度に依存していて、
その雑誌がなくなったら、いきなり収入ゼロになり、
仕事獲得に苦しんでいるフリーランスを時々見かける。
でも雑誌がなくなってしまったら、
もはや自分がいくら努力してもどうしようもない。
だから思うのだ。
フリーランスは受注仕事だけでなく、
自分で生み出せる仕事も持っておくといいと。
仕事を生み出すのって着眼点なんだと思う。
自分史サービスはいくらでもあったけど、
本だったからハードルが高かったのが、
16ページの雑誌になったら、なんか新しいよねみたいな。
私の周りにはフリーのカメラマンや、
カメラマン志望の知り合いが結構多い。
しかし近年、カメラマンの仕事の減り具合は半端ない。
なぜならデジタルカメラの登場で、
もはや技術職ではなくなりつつあるからだ。
特殊な撮影なら別だが、今までならプロに頼まなければ、
撮れなかった写真が、誰もがスマホで簡単に撮れてしまう。
スマホでなくてもデジタル一眼の性能がいいので、
私のようにライターなのに撮影もできる人も増えてきている。
そういう状況の中で、カメラマンは、
仕事は減る、報酬も安くなる中、
今まで通り「なんかいい仕事ないか」と、
営業しまくったところで限界がある。
ならば、自分で仕事を生み出せばいい。
例えば、「親の雑誌」のようなサービスをライターと組んで、
撮影仕事を獲得するとか、
あとカメラマン志望の人に私が必ずアドバイスしているのは、
遺影ビジネス。
亡くなった時にお葬式に飾られる写真だが、
意外といい写真がなくて困るということが多い。
ただプロが撮影する遺影写真はもうすでにやっている人も多いが、
右肩下がりの出版社に営業して、
単価叩かれ安い仕事するなら、
遺影写真のニーズを探ってみるのもいい。
とはいえ顧客獲得をどうするかが問題になるので、
例えば、編集者やライターと組んで、
自分史雑誌づくりの切り口で攻めて、
「そうだ、遺影写真も撮りますか」
みたいなアプローチもできるかもしれない。
実際にそうしたサービスをしている人も知っている。
ただ高齢者向けの自分史やら遺影写真やらは、
「儲かりそう」といって参入する人が多く、
競争も激化し、サービスもひどいのからいいのまでいろいろだとか。
結局、継続的に事業として続けるには、
儲かりそうかではなく、
自分がこの仕事をしたいかって観点で考えないと、
うまくいかない可能性は高い。
あとカメラマンにアドバイスしているのは、
撮影仕事は減っても、1億総カメラマン時代なのだから、
写真をうまくなりたいという人はいっぱいいるわけで、
撮影仕事だけでなく、撮影を教える仕事をしたらどうかと。
そうやって自分の持てるスキルをどう活かせるか、
ただ受注仕事ありきの発想から脱却した方がよい。
かさこ塾生にフリーのライターの宮野真有さんという方がいるのだが、
ライター仕事だけでなく、ブログを書いている一般の方に、
文章アドバイスをする仕事も始めて、とてもニーズがあって好調のよう。
書くだけでなく、書くことを教える。
今まで仕事先といえば出版社や制作会社だったが、
持てる技術を活かせば、それ以外にも顧客になるのではないかと、
発想の転換をすれば、自分の好きなことを武器に、
仕事にしていける可能性は高い。
フリーランスのクリエイターが、
社蓄ならぬ家畜となってしまい、
独立したのはいいけれど、
安くて注文が多く、そんなに楽しくなく、
かつ不安定な請負仕事だけに追われて、
奴隷のように土日も深夜もなく働くのでは、
何のために独立し、何のために働いているのかわからない。
若いうちは無理できるから、そのうち体を壊して、
仕事ができなくなり、仕事を一瞬にして失うというオチが待っているだけ。
ならば社会にアンテナはって、ニーズがありそうなものは、
自分でビジネスにして自分仕事を作り出す発想が必要だと思う。
そして個人一人でできないのなら、
他のフリーのクリエイターと組んでやればいい。
そうやって好きなこと、興味があることを、
自分仕事として広げていけば、
フリーになったけど、仕事に追われるだけでつまらない、
ということにはならないんじゃないか。
もしくは新しい仕事の可能性を探るのなら、
今まで付き合いのなかった異業種とコラボした方が、
仕事の可能性がぐんと広がる。
ただフリーのクリエイターって今までの牧歌的な時代を引きずり、
極めて狭い業界の中での分業専門職になっていたため、
なかなか発想の転換もしにくいし、異業種の知り合いがいない。
そういう意味で、「家族の思い出記録」ライターの鯰さんが言うように、
かさこ塾生にはカメラマンもいれば、デザイナーもいれば、
介護施設に働いている人もいれば、
エンディングノート作成アドバイスしている人もいて、
バラエティに富んだ人たちが集まっているので、
自分一人じゃなくても協力して進めることができるかもしれない。
あとは何と言ってもブログ。
請負仕事じゃなく自分仕事をしようと思った時に、
継続的にネットで情報発信していれば、
そこで「こんな仕事も始めました!」と告知できるし、
そこから集客につながる可能性もあるし、
協力者も募ることができる。
請負仕事でなく自分仕事をしようと思った時に、
自分のブランド力・個人力が試されるわけで、
どの程度の力があるのかって、
継続的にネットで発信しているかどうかにかかっている。
そこで安心感を持ってもらったり、
興味を持ってもらえるかどうか。
新しい仕事始めた時にあわててブログで情報発信しても遅いから。
だってそれって営業くさいでしょ。
それに新規で始めてすぐにアクセス数が集まるわけじゃないし。
だから普段からフリーのクリエイターは、
自分がどんなキャラでどんなことが強みなのかを、
日々情報発信しておく必要がある。
ぜひフリーランスの方は、
請負仕事だけしていればいいというスタンスではなく、
自分で仕事を生み出すという発想の転換を持つと、
社蓄ならぬ家畜にならず、
好きなことでお金を稼げるようになるんじゃないかと思う。
・宮野真有さんの文章術レッスンのご案内
http://miya-mayu.com/lesson/
・「家族の思い出記録」ライター・鯰美紀さんのブログ
http://ameblo.jp/miki-um
・かさこ塾生にはいろんな人がいます!
塾生紹介ホームページ作りました!
http://kasako.jp/?page_id=53
・セルフブランディング11か条を解説した無料冊子「かさこマガジン5」希望の方は、
郵便番号、住所(マンション名など省かず)、お名前、希望部数を、
kasakotaka@hotmail.comまでメールください。無料で郵送します。
※Yahooのフリーメールはこちらに届かないので、別のメールでお送りください。
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・京都:9/17(木)~定員18名、申込16名
http://kasakoblog.exblog.jp/23307991/
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